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11月の読書記録 ~拡がる興味と迫りくる締め切り~

こんにちは。
京都芸術大学 通信教育部 空間演出デザインコースに在籍するひじきです。

TR科目「生活空間デザイン史」を出せずに終わった10月。
「取りかかった勢いで書き上げるぞ!」と決意したのものの、ほとんど触らずに11月が終わりました。
まぁそんなもんですよね、人間のやる気なんて。

一方でTW科目はというと、3月ごろからずーーーーっとやり続けている「ローカルデザイン」のゴールがやっと見えてきたものの11月の提出には間に合わず、いよいよもって来年度の卒制着手までに余裕がない状態です。
さっさと片付けて次に移りたい気持ちと、ここまできたらとことんやりたい気持ちのせめぎ合い…。

そして、11月は「伝統とプロダクトデザイン」という、伝統工芸の業界に身を置いて仕事をしている自分にとって全力で立ち向かわなければいけないスクーリングがありました。
とはいえ、業界のことはそれなりに知識もあるので新たに本で調べるようなこともなく、今月は割と自由に読みたい本を読んでいた感じです。

というわけで、今月のオススメ本の紹介です。

ニューフォークアート デザインコレクション 世界の新民藝グラフィック


ふらっと本屋に行ってデザイン書コーナーを眺めるのが好きなのだけど、ある日たまたま手に取って一目ぼれしたのがこの本。
FOLK ARTとはその土地固有の文化を反映したアートのことらしい。
この本には地域に伝わる文化や文様から着想を得て、新しい解釈でデザインに落とし込んだ事例が掲載されている。

自分はシンプルなデザインが好きなのだけど、「白背景に文字だけ」のようなミニマルなデザインが好きかといわれるとそれも少し違う。
この本に掲載されている、シンプルでありながらも他とは明確に違うオリジナリティを持った民藝的なデザインを見て「そうそう!こういうやつ!」と衝撃を受けた。
有名ブランドのロゴタイプが総ゴシック体化し、シンプルなデザインが主流になる中で、モダンでありながらストーリー性も伝わるFOLK ART的なデザインは今後増えていくかもしれないなと感じた。


ちなみにこの本は香港に拠点を置くヴィクショナリーという会社が出版しているのだが、この本の他にも非常に魅力的な本を出版している。

例えば、動植物をモチーフとしたデザインばかりを集めた『ネイチャー・デザイン 自然のかたちが生んだ動植物グラフィックス』や、商業施設などの案内看板ばかりを集めた『世界の美しいサインデザイン』などは切り口が独特で面白い。

イラストをデザインに活かしたいと思っている人には『イラストで心をつかむブランディングデザイン』がおすすめ。


『コンセプトストア&ポップアップショップス グラフィックス・インテリア』はショップのコンセプトを斬新な手法でデザインした事例が多く、3年次スクーリングの「ショップデザイン」を受ける前に読みたかった。

ヴィクショナリーが出版した本でまだまだ面白そうな本がたくさんあるので、今後も紹介するかもしれません。

やわらかい頭の作り方: 身の回りの見えない構造を解明する


こちらは本のタイトルに惹かれて読んだ本。
内容をざっくりまとめると、「先入観を外して考える癖をつけようね」という感じ。

「アイデアとは既存のアイデアの組み合わせである」というのはよく言われることなんだけど、この本ではその組み合わせについて「身近なもので済ませない」と書かれている。
いくらアイデアを組み合わせても、誰もが想像するような「近くのもの同士」では革新的なアイデアにはなりづらく、「遠くのものを無理矢理つなげてみる」ことでより強いアイデアを生むことができる、という言葉はとても腑に落ちた。

それから、この本では「やわらかい頭」=「身につけた知識を再構築する力」と定義しているのだが、知識や経験を身につけることは同時に「自分が正しい」という自己中心的な思考になる危険性もはらんでいると書いている。
特に課題に関していえば自分の興味ある分野を題材に選びがちで、「視野が狭くなっているかもしれない」ということは常に意識しなければいけないなぁと改めて感じた。


道具のブツリ


身の回りの生活道具にある原理や法則といった物理をイラストとともに非常にわかりやすく解説した本。
なぜスプーンは丸く、なぜハサミは紙を切ることができるのか。
普段われわれが何気なく使っている道具の形にはきちんとした理由がある。
プロダクトデザインにおいて、目新しさだけを求めて形をデザインすることの危険性と物理を理解することの重要性、その奥深さを知ることができる良著。

なぜスプーンが四角ではいけないか、あなたはわかりますか?


不滅のデザインルール 圧倒的な感動を生み出すアイデア群


タイトルからしてかなり自信満々な本なのだけど、名前負けしないくらい内容も充実しているデザイン解説本。

レイアウト、配色、写真とイラスト、タイポグラフィの大きく分けて4つの章からなり、その中でさらに「日の丸構図」や「文字とジャンプ率」といった具合にポイントごとにわかりやすくまとめられていて、デザインする上で押さえておきたいポイントはほぼほぼ網羅されている。
これを理解した上で巷のデザインを見るとより理解しやすいかもしれない。
デザインをするときの辞書あるいは参考書的に一冊置いておいておきたい本。


以上、今月の読書記録でした
11月の総読書数は12冊。
今月は気になるデザイン書を片っ端から読めたので大満足です。
特にヴィクショナリーの本はめちゃくちゃ面白いのでおすすめです。
推し出版社、ヴィクショナリー。

積読は増える一方ですが、12月こそはTR科目に取りかからねば…。
それではまた来月。

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