「恐怖?〇〇爺さんの怪」の話
⚠怖いのが苦手な人は怖いかもしれません⚠
⚠怖いのが好きな人にはなんじゃこれ?となるかもしれません⚠
⚠あの夏つくねが見た夢の話⚠
小5の夏のある日。
私は当時から、怖い話が苦手であった。
別段、妖怪、幽霊の類に興味がある訳でもなかった。
そんな私が一体何を思ったか……
弟が小学校の図書館で借りてきた、水木しげるの「妖怪大百科」を目にして、読んでみる事にした。
ドキドキしながら本を開く。
アニメの少し綺麗に可愛く描かれた妖怪と違い、ねっとりとして、じめっとした暗い陰鬱な雰囲気の妖怪達……
(こ、こ、怖くなんてないんだからね!)
と、自分を奮い立たせ、次のページをめくる。
そこで……出会ってしまう。
妖怪
手長足長
あれ?
あんまり怖くないけど……
昔見たのはもっと、おどろおどろしくて、結構怖かったんじゃけどな。
おかしいな。
あ!
巨人を想像してもらったらいーわ!
進撃の!
モブの巨人!
(あ、こいつモブの巨人違うわ、まあいーわ)
うーん……
怖いっちゃ怖いけど、最早この子、貞子化しとるから……
有名になり過ぎるとな。
あ、これは?
⚠結構怖いかも⚠
(ひぇっ!何がそんなにおかしいん!目がヤバい)
さて。
一冊読み終えた私は……
(ぜ……全然こわくねぇし)
そう思いながら、夕暮れ時に、うとうとしてしまう。
気付くと雨が降っていた。
ひどい土砂降りだ。
辺りは真っ暗で、だだっ広い平野に枯れ木が点在している。
そうだ、我々以外は皆やられてしまった。
私は自分達が追われていた事を思い出した。
誰に?
ヤツだ。
「肩喰い爺さん」
手長足長の進化系妖怪。
二人組。
人間の肩を喰らう(超つよい超はやい)。
喰われた人間は……即死
(出典:はらつくねの妖怪辞典「なんか妖怪」より)
(ビジュアルは万極に近い狂気を感じさせる)
「キャー!!」
はっ!
妹の悲鳴だ!
「ユカっ!」
振り返ると既に肩を喰われている。
「ねーちゃん、もうダメじゃ!逃げよう!」
弟にそう言われ、ひたすら走る。
私と弟とは大きな枯れ木によじ登り、難を逃れようとするが、
「ぐはっ!!」
「マサト!!」
弟までも……
すごい速さでこちらにやってくる。
そして、ヤツの顔が近付いて来た……
(あ……ダメだ、もう私も喰われる)
…………。
…………。
はっ。
(夢か……マジか)
良かった……本当に。
心臓はバクバクしてるし、何より、大号泣していた。
「ねーちゃーん」
「なに?」
「えっ?どしたん?」
「どしたじゃないわ!あんたが妖怪大百科なんか借りてくるから!!」
「何の話?」
「もう……いいわ。無事で良かった……」
「はぁ?」
あれ以来……
私は怖い話がダメになった。
そういう類の物を避けて避けて生きてきた。
リングも呪怨も見ていない。
きっと一生見ない。
この前、ノンストップで怪談師が怖い話をしていた。
確かに怖くてゾッとした。
その日、寝るときは少し怖かった。
しかし、最早記憶も薄れ、怖くもなんともない。
強くなったのか……
はたまた記憶力が弱まっただけか……
(それこそが………こわい話)
ちなみにかっちゃんは、幽霊の類が全く怖くない人。
ホラー映画も何ともないらしい。
モニタリングでヤンチャ系のパパにしかけるドッキリで、髪の長い女の子が
(あそぼ……)
とか言う類のありますわな。
自分にしか姿は見えないし、声も聞こえない。
ヤンチャ系であればある程、すごくビビって、とても良き反応で、楽しくて仕方がない。
あれをかっちゃんにしかけたら、100%失敗する。
(あそぼ……)
「いーよー。何する?」
(……えっ)
「スマブラする?」
(え…………さわれない)
「そっかー。あ、古今東西は?」
(…………)
こんな感じになる。
ちなみに息子は……
とても怖がり。
5歳頃。
室内の物置の扉の取手が
一回押すとツマミが引っ込み、
もう一回押すとツマミが出てくるタイプなのだが
いつも気付くと
そのツマミを引っ込ませるので
「丁寧な事をするんじゃなあ」
と言うと、息子は少しモジモジしながら
「ココを出しっぱなしにしてたら、ゾンビが出てきそうで怖いんよ……」
こう言った。
「え?ゾンビが怖いん?」
「お母さんはゾンビ怖くないん?」
「あー、全く怖くないな……」
「すごいな!」
「ここは日本じゃから、ゾンビって外国のオバケじゃから、海を渡って来るのは不可能」
「うーん、でも怖い……」
「そうか……仮にゾンビがいたとしたら、こんなツマミの出てる出てない関係なしに、ゾンビは襲って来るじゃろうしな」
「お母さん!ゾンビがもし出たら、守ってな」
「任せて!」
あれから5年……
今の所、ゾンビは出てない……
きっと、息子がツマミを引っ込めているからだ。
日本の幽霊が出た時は……
かっちゃんに丸投げするとしよう。
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