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『ミライの武器』(吉藤オリィ・著)

 若者向け(?)の書架に,似た書体のカタカナで「ミライの○○」と題名のついた本が並び,その横に「○○の武器」とある本がありました。
 「ミライ」や「武器」がブームといい訳ではないではないでしょうが,目立ちました。

 その両方が題名の『ミライの武器 「夢中になれる」を見つける授業』(サンクチュリア出版・刊)を読みました。
 著者は,分身ロボットOriHime(オリヒメ)を生み出した吉藤オリィ氏です。

 著者は,“全世界が注目する次世代の発明家”ですが,数学も物理もプログラミングもできないひきこもりの子供だったそうです。
 そんな彼が,夢中になるものを見つけ,それを活かし,もっと先へと歩み続けています。これまでの出会いと経験,そして気づきや想いを語っています。

 「黒い白衣」にこだわる吉藤氏ですが,ミライの文字が黄色,見返しや扉など黄色い装丁になっています。
 著者が,どのようなステップで,どんな経験,気づきをしたのかを,4時間 31Lessonの「夢中になれる」を見つける授業をしています。
 各Lessonは,扉に「テーマ」と「コメント」を示し,あなたの一歩を示します。そして,本文には“ゴシック”と“黄色ライン”で強調したところがあり,著者の想いを伝えています。

「したいこと」が見つからない。
「したいこと」はあるけど,やり方がわからない。
やり方はわかるけれど,活かし方がわからない。

 そんな子供,中学生,高校生にお薦めの一冊です。
 先生,子供達の手に取りやすい場所(書架)に置きませんか。

読書メモより

○ 私たちの生活の「当たり前」が,「当たり前」になったのは本当に最近のことなんだ。
○ 「でもさ」と問題点を考えるよりも,先に手を動かしてしまった方が早いことも多い。
○ きみが我慢していることだって,その我慢に気づいているなら,それを解決すれば「価値になる」ということ。
○ 「できないことがある」という点だって,自分の武器になることがある。
○ その時点で満足せずもう一歩こだわるからこそ,次からはそれが「当然」になり,さらにもう一歩こだわることができるようになり,どんどんレベルが上がっていく。
○ できないことは悪いことじゃない。重要なことはその価値を知ることなんだ。
○ 逆ピラミッド状態のいま,若者にとってはむしろチャンスなんだ。
○ 学校やインターネットで知識を身につけること。経験を積むこと。人と出会うこと。自分の困りごとを解決するために知恵をしぼり,工夫すること。そしてその想いを発信すること。
 これらは先人から受け継ぎ,次の世代へ託していくバトンとなり,未来を切り開くことができる,私たちの生きる武器だ。


   目次 Contents

まえがき
1時間目 自分の違和感に気づく力
 Lesson1 みんなと違っても,自分が思ったやり方でやってみる。
 ……
 Lesson10 人と違うことをおそれない。
2時間目 とりあえず試す力
 Lesson11 さわるのが先,知識は後。
 ……
 Lesson21 なんでも触れてみて「自分」を知ろう。
3時間目 「できない」を価値にする力
 Lesson22 できないことは,分解して考える。
 ……
 Lesson26 「すごいもの」より,「できたもの」をまず見せる。
4時間目 誰かに発信する力
 Lesson27 この広い世界で,人に会いに行こう。
 ……
 Lesson31 あきらめずに,発信し続ける。
さいごの時間 託す力
あとがき

【関連】
  ◇吉藤オリィ@新ロボット開発中 (@origamicat)(Twitter)
  ◇オリィ研究所
  ◇分身ロボット「OriHime」

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