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『ぼくらは星を見つけた』(戸森しるこ・著)

 図書館の児童書コーナーにあった『ぼくらは星を見つけた』(講談社・刊)です。

 丘の上の青い屋根のお屋敷に、彼女たちは住んでいました。ご主人のそらさんと、十歳の(セイ)。そしてハウスキーパーのシド、白猫のダリア。そらさんの旦那さんは、十数年前に亡くなった、天文学者の桐丘博士です。専属の庭師と、そらさんの主治医が出入りするほかは、現実から切り離されたように静かなところでした。
 ある日、「住みこみの家庭教師」という募集を知って、お屋敷にひとりの男性がやってきます。それがくん。この物語の主人公です。
 岬くんは元美容師で、手品や楽器という特技も持ち合わせています。そらさんは岬くんを家族の一員として迎え入れ、星は紳士的でユーモラスな岬くんにすぐに懐きました。けれど無愛想なハウスキーパーのシドだけは、なかなか心を開きません。不器用だけど本当はやさしく思いやり深いシドに、岬くんは惹かれていきます。

 その家族にはいくつか不自然な点がありました。「本当の家族」を求め続ける岬くんが、奇跡的な巡り合わせで「運命の人」にであう物語。

 表紙は、青い屋根の洋館の庭で、少年が猫と一緒にベンチ(?)に座っている“夜の絵”です。
 装画と挿絵は、イラストレーターのエミ・ウェバーさんによるもので、幻想的な物語へ誘ってくれています。

 帯に

 「運命の人」×「家族」を求める感涙小説。
 ロマンチックで、ちょっと切ない。忘れられない荷物をひとつ心に残してくれます。

とありました。

 誰が“運命の人”なのか…。
 どんな“家族”なのか…。
 どのように“運命の人”に出会い、気づくのか…。
 どのような“家族”になっていくのか…。作っていくのか…。


 「住みこみの家庭教師」としてやってきた岬くんが出会う家族の“ちょっと複雑な事情”は、児童書を手にする子供に難しい気がしました。
 “○○をテーマ”として、それについての母親の想い、子の想いに、感涙します。
 “家族”にお薦めの一冊です。

   もくじ

プロローグ
1 行合の空
2 星の空
3 眺めの空
4 心の空
5 旅の空
6 名残の空
エピローグ

【関連】
  ◇戸森しるこ (@circo_tomori)(X、旧Twitter)
  ◇EMI WEBBER (@eminaillust)(Instagram photos and videos)

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