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「デザイン」の力で「スポーツの可能性」を引き出す

 今回は、TSUKUBA LIVE!メインビジュアルの制作を行ったツクリエイトのメンバー田中陽さん(芸専4年)、嶋村圭太さん(芸専3年)のお二方にお話しを伺いました。

左:嶋村圭太さん 右:田中陽さん


メインビジュアルの制作過程

田中
 ツクリエイトとは筑波大学芸術専門学群所属の1~4年生で構成されており、デザインやイラストレーションを行うクリエイティブチームです。

 メインビジュアルの制作過程ですが、まずキャッチコピーを決めて、それに沿って作っていくという流れになります。キャッチコピーに合わせた世界観を表現するということを意識し、それに向けてきちんとコミュニケーションを取らなければいけません。前回のTSUKUBA LIVE!の話になりますが、バスケであったらバスケをするだとか、水球をするのであれば水球をするだとか、そういうことををみなさんにきちんと伝えていかなければならないという課題を解決しながらデザインを決めていきます。
 具体的には、メンバー間でキャッチコピーが決まり次第それに付随してやるべきことが決め、参考資料を作る流れになります。話し合いながらラフをいくつか出してメンバーに投票してもらう候補を作り、それをメンバー間で投票して一つのメインビジュアルを決めるという感じです。その後、改めてメンバー間でブラッシュアップしてメインビジュアルを決めていきました。

ツクリエイトが今回制作したメインビジュアル


メインビジュアルが決定するまでの苦悩

嶋村
 メインビジュアルというのは、会場の装飾やポスターなどいろんなものに発展していく素材だと思っています。単純にポスターを作るのであれば、盛り込むべき情報はおのずと決まってきますが、メインビジュアルとなると話は変わってきます。メインビジュアルを決めるということになると、コンセンプトと1対1で向き合う必要があるんです。そのコンセンプトの言葉では表現できない部分をどう視覚的に表現し、コミュニケーションとして伝わるように持っていくか、ここをしっかりと考えないといけなかったのですが、そもそも「コンセプトと1対1で向き合わないといけない」ということになかなか気づきませんでしたし、その後もメインビジュアルで表現すべきことを見極めることが一番苦労しました。

田中
 前回のTSUKUBA LIVE! (2022年8月7日開催)の時の話になりますが、夏のイメージを伝えながらも競技数が2種類あることに加えてパフォーマンスをする人たちも出演するという複雑な要素をどう表現するか、というところがすごい難しく感じました。全体をうまくバランスを取って表現しないと単純に「バスケの試合なのかな」とか「水球の試合なのかな」とか、はたまた別のイベントだと思われる可能性があります。また、複数の要素を詰め込むとすべてが弱くなってしまうという事態が起こりがちなので、TSUKUBA LIVE! 全体として強いインパクトを持ちながら情報をきちんと伝えるために情報を整理しながら、それでいてかっこよく表現していくという処理のバランス調整が大変だった印象があります。

8月開催のTSUKUBA LIVE! - Summer Tuuune!- のメインビジュアル


メインビジュアルが決定する瞬間はどんな気持ちか

田中
僕はメインビジュアルの案を決定する投票の時にすでに心臓バクバクで…。自分が今まで作り上げてきたものを公開して、メンバーみんなに見てもらうときは本当に心が痛いんですよ。みんなにどう思われるか不安で(笑)。実際、全員があまり納得せずに何かを決定するときは、ものすごく残念に感じることがありました。みんなの中で票が集まったり、決まったりした時に「すごいいいものになったね」と言われると、ずっと重石がかかっていた時から解放されるような感覚とともに、その達成感を覚えましたね。

嶋村
 自分も解放される感じを覚えます。ずっとデザインを作り続けていると自分が作っているものを客観的にみるのが相当難しいので、どこかでほかの人に見てもらい反応をもらうことを繰り返す必要があります。精神的にダメージを受けることもありますが、その作業を抜きにしてしまうと新しい目で見れなくなってしまいます。最終的にいろんな人に見てもらって投票して決めるので、他の人の客観的な視点で決まったとなると、自分で判断するよりも信頼できることが多いです。ある程度まで自分で作り込んだものを出したら、あとはいろんな人が見て多くの人の意見を含んだものが選ばれるのが正しいのだと信じてビジュアルを決定してきました。


2人が考えるデザインとスポーツの関係性

田中
 芸術やデザインをやっている身として、「スポーツ」というのは全体の雰囲気とか統一感、デザインにおいてはあまり洗練されているという印象を受けないことが多いです。スポーツを行っている選手一人一人ははもちろんかっこいいですが、スポーツそのものの「スポーツらしさ」というところに甘んじずにきちんと良い物を届けるということが重要だと思っています。前回同様、TSUKUBA LIVE! に若くて新しいデザインが組み込まれるというのは、もっとスポーツの可能性を引き出せるのではないのかと思います。
 
 また、観客が飽きないようにスポーツのルールが変更されるということを聞いたことがあります。我々は戦っている選手を一方的に観ているようで、ルールなどの起源を見ていると、観客がそのスポーツのルールをかたどっているようにも思えます。このような流れに、デザインも類似するものがあるのかもしれないです。このような流れでデザインを作ると、エキサイティングなものになるかもしれませんね。

嶋村
 スポーツとデザインという関係性で言うと、割とスポーツというのは昔から今まであまり変わらず、選手の皆さんはストイックにやられているというイメージがあります。スポーツの持つコンテンツの力は不変のものですが、それをデザインという形で、ださく切り取ることも出来ればかっこよく切り取ることもできます。それをどう切り取るのかというところを操作できるのが、デザインの面白いところかなと思っています。
 TSUKUBA LIVE! はスポーツが興味がない人にスポーツが広がっていくようにというコンセプトをもって活動していくため、デザインもスポーツにあまり興味がない人に向けたものにしなければならないと思いました。自分の周りでデザインを勉強している人たちの中でも、デザインを見てスポーツの試合行ってみようかなという人もいました。確かなパワーを持っているスポーツというものを、デザインの力で届ける場所を選ぶことができるというところがすごく面白いですね。


TSUKUBA LIVE! について

嶋村
TSUKUBA LIVE! というイベント自体にファンができて、「あの音楽のフェスに毎年行きたいみたい!」な、そういう存在にTSUKUBA LIVE! がなればいいのかなと思います。スポーツへの入り口として、これ以上の機会はないかなと思います。

田中
お客さんの層をどんどん広げていければいいですね。スポーツって内輪的な要素が強いと思っています。自分のようなタイプは、割とそういうところにおびえちゃうタイプで…(笑)。今回作成したメインビジュアルを見て、試合にいきたいという人もいると思います。芸術の枠組みで言うとパフォーマンスの中で音楽もとり入れたりだとか、違う分野もどんどん取り入れて追加していって、誰でも楽しめるコンテンツになっていくといいんじゃないかな思います。
 また、「デザイン=贅沢品」と思われる方も多いと思いますが、課題さえ与えていたただければ予算内で解決できることもあります。デザイナーは課題解決屋みたいな側面もあるので、そういう風な依頼がもっと増えるといいなと思います。大学での起こった悩みや課題なんかを、一旦デザイナーに報告するみたいな文化が生まれたら、筑波大学全体としても面白くなるのではと思います。


開催概要

名称: 筑波大学ホームゲーム「TSUKUBA LIVE!」​
主催: 筑波大学アスレチックデパートメント​
日時:  11月23日(水・祝)15:00開演​
会場: 筑波大学球技体育館​
競技: バレーボール​(男子)
試合: 筑波大学 vs 東京学芸大学​
H P:  https://tsukubalive-volley2022.studio.site/

チケット:筑波大学生・教職員 500円
        一般 1,500円

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