【006】マネージャーがタレントに言えない「売れる」とは何か?という話
俳優やミュージシャン、タレントのマネージャーさんと話していると、しばしば、こんなボヤきが聞こえてきます。
「あいつ、口では売れたいって言ってんだけど、
全然売れる気がないんですよ・・・」
これってどういう意味か分かりますか?
今回は「売れる」って何だ?というお話。
あ、その前に。趣味や楽しみでやっている方は、この話は全く気にしないで下さい。これは、あくまで「売れたい」人が、超えなければいけないハードル についてのお話です。
◆ スタートラインはコアファン100人
「売れる」とは、読んで字の如く「お金になる」ということですよね? 歌でも演奏でも演技でも喋りでも、何かしらの 自分の芸で稼げるのがプロ 。
では、「売れる」ためのスタートライン はどこか?
「あなたのためにお金を使ってくれる、
お客さん100人」です。
あなたが出演するライブ、公演、イベントに必ず来てくれて、あなたのCDやDVDを心待ちにしている100人のファンがいる。これが入り口です。
この状態をお金に換算すると・・
仮に、100人のファンが毎月あなたのために5千円使ってくれたとすると、月商は50万円。
何をするにしても経費がかかるので、どんなによくても利益は半分の25万円。事務所と折半したら 12万5千円。 (実際はもっと少ないと思います)
これが、マネージャーが言えない、
あなたの商品価値 です。
もしかしたら、不快に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、これが「売れる」のベース概念 になります。
◆ バンドなら800人キャパから
俳優はピンと来ないかもしれませんが、バンドや芸人がワンマンライブで100人集客できなかったら「売れる」って夢物語 ですよね?
対バン(複数バンドとの合同ライブ)を経て、何とか 100人の独自ファン を形成し、小さなライブハウスから、次は300人の箱、500人の箱を目指してステップアップしていくのが (レバレッジをかけない) 地道な正攻法だとして・・
ギリギリ 興行(=ビジネス)として成立するのは、800キャパ を埋められるぐらいから。
それでも、前の項のザックリ計算式に当てはめると、800人×5000円÷4 = 100万円。チケット代の他に、グッズや握手券でも売らないことには、会社としてはやっていけません。
会社が儲からない = 成長しないと、タレントにかけられるプロモーション費 (=レバレッジ)も増えません。※ レバレッジは、時間と労力をお金でショートカットすることだと思って下さい。
ということを踏まえて、自身を振り返ってみると・・。あなたのお客さんは何人いますか? ファンを増やす努力をしていますか?
◆ 興行は、タレントの集客力頼み
日本の「興行」は、どんな計算をしているか?
5000人集客できる主役1人、3000人集客できるヒロイン1人、1000人集客できる主要キャスト2人。よし1万人いける。じゃあ、500キャパの箱で20公演打とう。みたいなことをやってるんですよ。
仮に演技が下手くそでも、Aさんのお客さんがたくさん来てくれるんだから、Aさんは良い役にしますよね?
そして、初めは下手くそだったAさんも、主要な役で場数を踏むことで、だんだん上手くなっていったりします (笑)
「日本の興行システムは腐ってやがる!」と言いたくなる気持ちも、よーく分かりますが、興行主も生活がかかってるので
お客さんのニーズに寄り添わざるを得ない ということを理解するのも「売れる」ために必要なマインド の1つ です。
◆ セルフブランディングで「円の時間」を「螺旋の時間」に
活動を続けていくと、ある段階でふと気づく時が来ると思います。「あれ、私同じところをグルグル周ってる・・」と。来た仕事を丁寧にやっているだけだと、同じ軌道を回り続ける「円の時間」に陥っていることがままあります。
「円の時間」を、少しでも上に昇っていく「螺旋の時間」にするために、欠かせないのが、セルフブランディング によるファン形成。
まもなく 5G がスタンダード化する高速ネット時代。自分の魅力を発信して、ファンを獲得できるツールがこれだけ揃っているのですから、専門分野のスキルアップと共に、独自のファン形成にも少し意識を向けてみませんか?
オンライン→オフラインのファン作り については、また機会を改めたいと思いますが、熱心なファン がいないと成り立たないのは、アイドルグループも、ミュージシャンも、俳優も一緒。
「売れる」= あなたにお金を使ってくれる
独自ファンの数を、今よりも増やす
という大前提の下で「売れるにはどうしたら良いか?」をマネージャーさんと話し合ってみたり、日々の活動を見直してみたりすると、何かが変わるかもしれません。
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