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【009】新しいって何?『ブラッシュアップ』と『プログレス』と『イノベーション』の話

「なんか新しいことやりたい」ってフレーズ、よく聞きますよね。

大体の場合、ただその人がやったことがないだけで、世の中的には「新しくも何ともない」ことが多いのですが (笑) 巷に溢れる、ダメケースはひとまず置いといて・・・。

「新しいこと」と言ってもいくつかのフェーズがあるので、どの「新しいこと」をイメージしてますか?という話。

◆ 既存のものに磨きをかける『ブラッシュアップ』

「焼きそば」を例にしてみます。

「焼きそば屋さんを開業しよう」と思った時にまずやることは、既存の人気店の焼きそばを研究して、その味を出せるようになろう「更に美味しくしてやろう」としますよね?

麺にこだわり、具材にこだわり、焼き方にこだわり、味付けにこだわり、盛り付けにこだわり・・・。出来上がった、他にはない「自分ならではの味」

見た目は「普通の焼きそば」ですが、食べてみたら分かる『新しさ』が、ブラッシュアップです。

余談ですが、ブラッシュアップ=磨きをかける、は日本語独自の用法なので、英語で言いたい時は『Polish up』を使いましょう。Brush upは「汚れやサビを落とす」「悪い現状を改善する」が本来の意味です。

◆ 既存のものを進化させる『プログレス』

いや、味にこだわるのは当然なんだけど、それじゃあ、他の焼きそばと変わらない。俺はもっと「新しい焼きそば」を作りたいんだ!

そんな人たちが生み出したのが・・・

焼きそばに卵をかけた → オムそば
ソースを塩に変えた → 塩焼きそば
具材をシーフードに変えた → 海鮮焼きそば
麺を変えた → 焼きうどん・焼きラーメン

既存のものをベースに何かを加えたり、一部を変えることで創り出す『新しさ』が、プログレス。小さなアップデートを繰り返して<一歩前進>させるイメージですね。

◆ じゃあ『イノベーション』は?

そもそも「蕎麦は、茹でて汁に入れて食べるもの」という既成概念をぶち壊して、「焼いてソースをぶっかけちゃった」ことがイノベーション。

なので、「新しい<焼きそば>を作りたい」というスタート地点から更なる『イノベーション』<革新>起こすのは、至難の技です。

世界中どこにもない「ナポリタン」という<日本料理>は、戦後GHQに接収された横浜のホテル・ニューグランドの料理長が、進駐軍が持っていたパスタとケチャップとソーセージで「どうにかして美味しい料理を作れないか?」と思案した結果生まれたそうです。

つまり、「俺が新しい<パスタ>を作ってやる」と奮起した訳でも、「パスタの麺で<焼きそば>を作ってやろう」と思った訳でもないんですよね。

「焼きそば」や「パスタ」のような既存の完成品ではなく、麺・ケチャップ・ソーセージという素材から発想していくことが、イノベーションの糸口になるのかもしれません。

◆ 『焼き直し』から脱却しませんか?

「新しいことをやりたい」の多くは、ブラッシュアップでも、プログレスでも、イノベーションでもない、既にあるものの『焼き直し』に着地しがちです。

焼きそばで言えば、皿を変えただけ、紅ショウガを乗せただけ。みたいなことが本当に多いんですよね。

というより、パッケージを変えれば新しく見えるんだ、それがクリエイティブだ。みたいな考え方も横行していたりして、僕は結構辟易としてます。(そっちの方が簡単なんですけどね——)

どこかにある焼きそばを、別の皿に盛りつけただけの「新しい」で満足するの、そろそろやめませんか?シーズニングでごまかすの、やめませんか?

「なんか新しいことやりたい」やりましょう!で、あなたにとっての「新しい」って、ブラッシュアップですか?プログレスですか?イノベーションですか??それとも、ただの『焼き直し』ですか?

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