見出し画像

「ちょっと思い出しただけ」

ちょっと思い出しただけ。

劇場で観てからもう2ヶ月ほど経ったが、いまだに余韻に浸ることができる。

元々、この映画は観よう観ようとは思っていたものの、仕事や用事の関係で行くことができていなかった。

そんな中、映画友達の一人から、これはぜっったい私好みの映画だと。

劇場で観れる時に必ず観てほしいと言われ、それなら観なければと思い仕事終わりに行こうと、TOHOシネマズで席の予約をした。

危ないことにその日が、劇場公開の最終日だった。

ギリギリセーフで20時の回を観てきた私は、まず教えてくれた友達に感謝をした。

なんと言っても、池松壮亮がかっこいいのなんの!

終始ダウナーな声で、しかしながら聴き心地の良い、癖になる声が演技ではなく、本当にその場にその人がいたような実感を与えてくれる。

伊藤沙莉も侮ってはいけない。女性のタクシードライバー役の彼女は、なぜタクシードライバーをやっているか乗客に質問される。

その時の回答が、今の私にはとても刺さるものがあった。

物語の進み方も工夫された演出で良かった。池松壮亮演じる照生の誕生日の1日を通して、6年間を遡る。

現代の社会も反映されていてコロナ禍になり、皆が鬱憤とした社会で暮らしている様子が、場面こそないものの、ピリピリとした雰囲気が伝わってきた。

時間が遡れば遡るほど、二人は幸せになっていく。

もし今、付き合っている恋人と上手くいっていないのであれば、是非この映画をおすすめしたい。

よく周りの人に

「花束みたいな恋をした」みたいな内容でしょ?」

と質問をされることがある。


言われてみればそうかもしれない。でも私にとっては、食らい度でいえば遥かに

ちょっと思い出しただけが勝るんだわ…

花束みたいな〜は幸せのジェットコースターのような展開だが、それでも最後は

とてもすっきりとした、嫌味のない終わり方だ。皆が考えるハッピーエンドではないであろうがそれでも、文字通り花束みたいな恋をしたと思えるエンディングは、近年の日本の、いや世界基準でみてもなかなかない。

それに対して、今回のちょっと思い出しただけはダウナーな雰囲気の中でも、

またこれからも頑張ろう、今まで頑張ってきた自身に対してささやかな賞賛をしたくなる気分に無条件でなってしまうんだこれが…泣

自分も今まで出会ってきた誰かに対して、ちょっと思い出してもらえるような人になれているだろうか。

なれているといいな。

エンディング、主人公の照生はベランダで何かを見ながら立ち続ける。

一瞬、エンディングは静止画になったのかと錯覚してしまうくらい何かを凝視して

しばらく見続けた後、その場を後にする。

照生が何を見続けていたか、分かった瞬間

上手いねえ、、泣 

映画としても上手いし、普通に良い、、!泣

と劇場でストリート泣きしてしまった。

劇中流れるクリープハイプの「ナイトオンザプラネット」は失礼ながら知らず

映画館に行く前に観た予告で初めて知った。


映画を観てからもう一度聞くと、しっかり涙腺に染みる、私の人生の歌リストに

豪速球でリストインした。

クリープハイプの尾崎世界観が映画「ナイトオンザプラネット」に触発され、作曲したこの曲に、さらに松居監督が触発されこの映画を作ったとのこと。

役者、監督、スタッフ、音楽全ての歯車が合い、最高の1作になったと思う。

まだ5月だが今年ベスト級の映画が来てしまった…

現に2ヶ月経った今も私はこうやって映画の余韻に浸り続けている。

今日も夜の散歩をしながら、「ナイトオンザプラネット」を聴いた。

曲は知っているが、この映画を見たことがないという人は

是非この映画を観てほしい、きっと観た後ではさらに感じるものが増えるだろう。

早くDVD発売されないかな…発売されたらすぐ買う!すぐ観る!笑

「ちょっと思い出しただけ」をちょっと思い出しただけでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?