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映画『シカゴ7裁判』

凄かった。映画の持つ力を改めて感じました。ベトナム戦争の抗議運動から逮捕・起訴された7人の裁判の行方を描いた実話です。裁判劇ですがエンターテイメントとして大変解かりやすく、ラストでは観る人の体温を上昇させます。監督・脚本は「ソーシャル・ネットワーク」のアーロン・ソーキン。Netflixオリジナル映画。アップリンク京都にて鑑賞。2020年製作。

1968年、シカゴで開かれた民主党全国大会の会場近くに、ベトナム戦争に反対する市民や活動家たちが抗議のデモのために集まっていた。当初は平和的に実施されるはずだったデモは徐々に激化し、警察との間で激しい衝突が起こる。デモの首謀者とされたアビー・ホフマン(サシャ・バロン・コーエン)、トム・ヘイデン(エディ・レッドメイン)ら7人の男(通称:シカゴ7)は、暴動をあおった罪で起訴され、裁判にかけられる。(映画.com参照)

この裁判には7人以外に、もう一人召喚されています。ブラック・パンサー党の創設者であるボビー・シール(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世)です。今回の暴動に関与しているという名目です。

ブラック・パンサー党とは、黒人解放を目的とした政治団体で、1966年カリフォルニア州で創設されました。

ブラック・パンサー党創設者で黒人であるボビー・シールを召喚し加えることにより、全員に対する陪審員の心象を悪くすることが目的であったと思われます。

とにかくこの裁判は酷い。黒人であるボビー・シールには弁護士があてがわれません。彼は終始堂々とした態度を崩しませんが、ボビーが口を開き反論すると、判事は「法廷侮辱罪」を何度も叫びます。目を疑うような、人権を無視する辱めにあわされます。1968年の法廷で。

もともとは異なる団体に属している7人なので、反戦活動のアプローチの仕方も異なり、口論も起こりました。そんな中、レニー(アレックス・シャープ)は、本来の目的を忘れないように、毎日ベトナム戦争で死亡した若者たちの名前をこつこつとノートに書き写していました。

「手を先にだしたのはどっちだ?警察隊かデモ隊か?」と酷い理不尽な裁判進行が続きますが、7人は信念を曲げることはありませんでした。映画は法廷シーンの連続では無く、実際は何が起きていたのかが映像として入り、非常に理解しやすく作られています。

2020年現在も、ニュースで見る映像は、この作品の警察隊とデモ隊の衝突映像と変わっていません。連日のように報じられる、警官による発砲事件も、1968年の法廷での酷い人種差別と何ら変わっていないことに愕然とします。

この映画のラストはぜひ体感してもらいたいです。圧巻のラストです。世界は少しでも良い方向に進むと信じたい。今の時代に、この作品の製作にたずさわった方々に感謝します。











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