ヒメアノ~ル

ネタばれます。よかったシーンをピンポイントで拾い上げてるとこもあるので観てない方は気を付けて。
というか観てない人には観て欲しい。

この先何十年か何年かは知らないけど生きるとして。
邦画で一番好きな映画は人生で変わらないだろうなと思ってて、それは「青い春」で不動なんですが、この映画に出会って、衝撃がすごくて…、この映画はもうあれだ、人生で二番目に好きな邦画に決定だ!

青い春は揺るがないんです。

2020年に観た映画で一番の映画になりました。
面白いというより衝撃だった。

濱田岳とムロツヨシのちょっとおふざけパートと、森田剛のダークで重苦しいパートに分かれてる感じで、どうして雰囲気を統一しなかったのかなと思う部分もあるものの、そのアンバランスさが逆によかったのかもしれない。どっちかに振り切れてなくてよかった。

情報を入れずに観たので、ムロツヨシがやばい奴になっていくのかな(最初からヤバい奴ではある)と思ってたら森田剛がどんどん怖くなっていって、真顔で嘘ついたりためらいなく人を殺したり、そもそも森田剛が森田君役を演じるのでちょっとなんかこれ森田君本人じゃないよね?ってくらい演技してる感がないというか、いや演技なんだけど無差別殺人犯を演じるってなったときにもうちょっとわざとらしい「くっくっく」みたいなの出すじゃないですか。それが森田剛にはないんですよ…。すごく肩の力が抜けた「殺人者」の演技をするんです。
まさに「怪演」だと思う。
森田剛ってこんな演技するの?
2016年の映画?
この四年間、何してたの?
この才能を使わないの損じゃない?

役者としての森田剛をもっとください。

と激しく思いました。

あの、濱田岳とムロツヨシのコミカルな部分が、必要だったのかというのがいまだに本当にわからなくて、必要と言えば必要で不要と言えば不要で非常に難しい…。
シリアス一辺倒じゃなくてよかったのか。よかったんだな。
童貞卒業が嬉しくてセッ…に励むところとか、ムロツヨシが絡むところは全部ギャグだったんだけど、暗い過去を持つサイコなシリアルキラーパートとのこのギャップ…なに?ってもったいな…という気持ちが無きにしも非ずで、でも、森田君に銃を突き付けられたシーンで「モデルガンだろ?見たらわかる」ってあの「そういう人っぽい」セリフはすごくよかったし、ムロツヨシの一番の見どころというか、いてくれてありがとう、って瞬間でもあった。

つまりムロツヨシは必要だったのか。

そんなことは置いておいて。
後半ですよ、これ。
彼女が帰宅後、家の中に風が吹いて、見上げたら窓が割れてて、「ア!」てなる。森田君がのそ、と奥から現れて、そっからもう怒涛ですよね。
倒れてる人の頭をわざと轢いていったシーンで「ひあっ!」って声が出ました。ゾッとする~~~。
人の頭は平気で轢くのに、犬を避けて電柱に激突、御用となるわけですが、さらにすごいのはここから。

「岡田君、来てたの? そうだ、ゲーム返さなきゃいけないんだった」(うろ覚え)

って、「昔の森田君」に戻るんですよね。

「お母さん、麦茶持ってきてー」ってこのセリフ…。うああ。
警察に車内から引きずり出された森田君、なんかビシャビシャ音がしてる…おしっこ漏らしたのかなって思ったら脚がすごいことになってて血の音でした。うああああ。

そして最後、学生時代の二人の映像。
一緒にゲームしてて。
庭には犬が。
「お母さん、麦茶持ってきてー」

ですよ。
鳥肌立つわ、何かがこみあげて泣きそうになるわ。
やべえええそうかあああ、犬、犬は殺せなかったかああああそういうことかあああ、麦茶あああああおかあさあああああん!

って観終わったあと「すげえ、この映画すげえ、すごいものを観てしまった」とあばば状態になりましたとさ。

いや、ほんと歴代2位ですわ。二回観るかっていうとわからんけど…(笑)。
またそのうち見返してみようと思います。

とにかく、声を大にしてもう一度これだけ言っておきたい。

森田剛はすごい役者。

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