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コールセンター勤務の思い出

大学を卒業して新卒で入った会社を3か月で辞めて、
就職氷河期の最中であったから、しばらく再就職できなかった。

不況とはいえ、私も20代前半だったし、非正規の仕事はいっぱいあったから、食うには全く困らなかった。
というか、そうしてフリーターとして働く方が融通もきくし、自由を謳歌できていたのだけれど、私がよくても、世間が許してくれなかったのだ。

具体的に言うと、親とか心配してくれる友人たちだったが、
そこそこの四大を出て、フリーターだというのも、本人的にも居心地が悪くないとは言えなかった。
というわけで、無数の求人に応募し、ようやく再就職できたのは、外資の保険会社のコールセンターだった。

世界的にそれなりに有名な会社だったし、正社員としての正規採用である。
だが当時だと、コールセンターと言えば、常に求人があって…その意味することは誰もやりたがらないし、回転率が速い、ということで、
非肉体労働の中では、ブラックな業種だったのだ。

正規採用とはいえ、給料は安いし、福利厚生も乏しい。
なので、私のような行き場のない第二新卒とか、ずっと専業主婦だったけれど離婚して社会復帰しなければならない人、
旦那さんが失業したので、自ら一家の大黒柱となって、保険等のために正社員になる必要がある人、など皆わけありで、
とにかく、どれだけ給料が安くても、正社員の身分が必要だ、という人が集まっていた。

休み時間の話題といえば、この会社の待遇がどんなに悪いか、という他の会社の経験がある人達の不満とか、次は誰が辞めるか、の予想だったりだった。

最初の会社を研修期間中の3か月で辞めているから、このコールセンターが私にとっては初めての社会人としての職場となったので、
比べる対象がなかったため、同僚たちと違って、さほど不満を感じることはなかった。

正規採用だったけれど、月ー金、9時ー17時の仕事ではなく、シフト制だったので、毎日ラッシュ時に通勤しなくてもいいし、平日も休みになるのが嬉しかった。
この辺は、今の看護師の仕事も同様なので、どうやら私は定時の仕事の方が不自由に感じてしまうようだ。

さらにシフト制の素晴らしいところは、自分のシフトをカバーしてくれる人が見つかれば、好きな日に確実に、有休を使わずして休める。
そして、有休を使えば2週間ほど連続で休日にしてしまうことができ、これを利用して旅行を楽しんでいる同僚がいっぱいいた。
比較的旅好きが多い職場だったから、人見知りの私でも簡単に打ち解けることができ、同僚とヨーロッパ旅行にも行った。

私が働いていたのは、セールスではなく、カスタマーサービスのコールセンターだったから、ノルマなどはなく、ストレスはさほど感じずには働けた。
もちろん、モンスタークレイマーにあたってしまった時などは、数日引きずったし、どこの職場にもある人間関係にも悩んだこともあった。

だが、こうして数年「コールセンターの中の人」として働いた経験は、自分が客の立場で、コールセンターにかける時には役にはたっている。
どのタイミングで、「上の方にかわってもらえませんか」というのが一番効果的とか、ごね方とか、そういうことがわかるのだ。

そして、一生懸命に対応してくれるエージェントさんを、労うのは忘れないようにしている。

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