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未経験からブックライターになるための5つの方法(コエヌマ)

前回の記事『たぶん一生安泰 需要が尽きないライターの分野』は、予想以上の反響をいただいた。要約すると、「ビジネス・実用系のブックライターは需要があるよ、ビジネスチャンスだよ」という内容だ。

続編にあたる今回は、未経験からブックライターになるための具体的なノウハウを書いていく。ちなみに実践するには、

①ライターの経験、最低限の能力がある
②書籍編集者と何かしらの繋がりがある

に当てはまることが前提である。②は、友達の友達に書籍編集者がいて、コンタクトしようと思えばできる、というレベルで構わない。

できる限り再現性を意識してまとめたが、あくまで僕の個人的な経験がベースなので、全てのライターに有用なわけではないことを、理解のうえ読んでいただければと思う。

改めて、ビジネス・実用系のブックライターの需要はめちゃくちゃある。この分野は、仕事や生活をより良くするための内容なので、お金を払ってでも買う人が多く、常に売れ筋で市場が大きいのだ。

そして対応できるライターが少ないため、売り手市場になっているのだが、ブックライティングの経験者でないと参入するのはなかなか難しい。

一般的な書籍は、文字数が約10万文字もある。制作スケジュールも数カ月~年単位で、印刷代・倉庫代・郵送代などコストも数百万円単位でかかる。

文字数1000~2000文字程度で、執筆~公開まで数日~数週間、紙に比べてコストも低いWEBの単発記事とは、プロジェクトの規模やリスク、さらに言えば性質そのものが全く異なるのだ。

そのため編集者は、ブックライティングの実績があり、安心して任せられるライターに執筆依頼をすることがほとんど。

では、そこにどうやって参入すればいいのか、具体的に書いていく。


①一冊丸ごとではなく、一部だけ任せてもらう

ブックライティングは前述の理由に加え、全体の文章に統一感を出すため、ライターの管理がしやすいから、などの理由で一人のみが任されることが多い。

だが、章ごとに違うライターが執筆するケースもある。複数人で書き進めれば、スピードが早いというメリットがあるからだ。これは編集部や編集者個人の方針によってまちまちである。

そこで、編集者に「一章だけでも書かせてもらえませんか?」と打診してみよう。後者の方針で本づくりをしている編集者で、ライターにある程度の能力があると判断されれば、ブックライティングは未経験でも任せてもらえることがある。

編集者からすると、いきなり一冊丸ごと任せるのはリスクが大きいけれど、お試し的な感じで一章だけまず書いてもらおうかな、と任せるハードルが低くなるのだ。実際に僕も、

・甲子園で活躍したプロ野球選手たちの、甲子園でのエピソード集
・飲食店を始めたい人向けの本
・個人事業を始めたい人向けの本

などの本で、一章~数章だけ書かせてもらったことがある。そういった小さな実績を積んで、ゆくゆくは一冊すべて任されるようになることを目指す、というわけだ。


②長い文章を書けることをアピール

繰り返すが、本は約10万文字もある。なので、長い文章が書けること、実際に書いた経験があることを編集者にアピールしよう。そうすれば、ブックライティングは未経験でも、任せてもらえる可能性が出てくる。

書籍以外の長い文章とは、例えば連載記事。一記事は短くても、10~20回分たまれば、本に近い(あるいはそれ以上の)分量になる。

僕もブックライティング経験がなかったころ、あるメディアで約10回の連載をした。それをWordにまとめて編集者に見せたところ、長い文章が書けると認められ、ブックライティングの依頼につながったことがある。

「連載を始めるのはそう簡単ではないでしょ」と思う方もいるかと思う。その場合は、形は連載ではなかったとしても、統一感のある記事を書き続けることを意識すればいいだけのこと。

具体的には、自分の得意なテーマや、書きたいテーマで記事を書き続ければ、点が線になって、自然と連載に近いテイストが生まれるからだ。このとき、編集部から依頼が来るのを待つだけでなく、自分から「こういう記事を書きたいです」と企画提案していくと手っ取り早い。


電子書籍のライターで経験・実績をつくる、という選択肢もある。今、電子書籍は個人でも比較的容易に出版できる時代だ。クラウドソーシングを見ると、企業や個人が独自に制作するものと思われる、電子書籍のライター募集案件もたくさんある。

そしてその多くは、出版社の案件よりも応募ハードルが低い(ギャラも低いが)ため、任せてもらえるチャンスも大きい。

もう10年以上前、僕が最初に書いた長い文章は、7~8万文字の情報商材だった。内容は「出会い系サイト攻略法」と、あまり誇れるものではなかったが、後日ある編集者にそのデータを見せ、長い文章が書けることをアピールし、ブックライティングの依頼につながったことがある。


③先輩ライターor編集者に手伝わせてもらう

ブックライティングや書籍編集をしているフリーライター・フリー編集者が身近にいたら、「勉強のために手伝わせてください、何でもします。可能なら一部でもライティングをしたいです」とお願いしてみよう。

もちろん断られるかもしれないし、手伝わせてもらったとしても、雑用がメインになるだろう。ギャラも出ないかもしれない。だが、後に「この本のライティングをお手伝いをさせてもらいました」と堂々と言えるようになれば、売り込みツールとしてかなり強い武器を手に入れたことになる。

次のステージに進むためと割り切って、条件には目をつぶり、「ブックライティングに関われる機会」を積極的につくっていこう。

ちなみに世の中には、「やりがい搾取」といって、無料もしくは格安で労働力を得ようとする輩がいる。そういった人には引っかからないようにしたい。利用されるのではなく、こちらが利用する、くらいの気持ちでいよう。

ただし一方で、必ず相手に貢献する、という意識は忘れてはいけない。無償のお手伝いであっても、メリットがないと邪魔なだけで、先方も受け入れてくれないし、その先につながる信頼関係も生まれないからだ。


④本の企画から考え、提案する

書籍編集者は、常に本の企画を考えている。その企画が社内の会議で通過すれば、実際に本づくりが始まるというわけだ。

ライターが本の企画を考え、編集者に提案することもある。その企画が通れば、自動的にライターも任されるケースが多いので、本の企画から編集者に提案してみよう。

企画提案と言っても、最初からきっちり企画書を作り込もうとすると、ハードルが上がってしまうので、まずは「こんな本はどうでしょう?」「面白い人がいるので、著者候補にどうです?」と、雑談の延長くらいで打診するのがよい。

企画が通ったとして、ブックライティングの経験がないということで、「ライターは別の人にお願いする」と言われたら、お願いしてせめて一部だけでも関わらせてもらい、「この本の制作にかかわった」と言えるようにしたいところだ。


⑤ブックライティングをしたい!と発信する

「ライターをしていて、ブックライティングの経験はないけれど、今後していきたい」ということを、オンライン&オフラインの両方で発信し続けよう。

知人や友人に会ったとき、SNSやブログでなど、できるだけ多様な場所・場面が良い。すると、ブックライターを探している編集者を紹介してもらえるかもしれないし、SNSで編集者から直接連絡が来るかもしれない。

もちろん、簡単にそうはならない可能性の方が大きいが、行動しなければチャンスはゼロだ。ダメ元くらいの気持ちで、積極的に発信し続けよう。

そのほかにも、書籍専門のライター講座に通う、編集プロダクションでバイトする、などの方法もあると思うが、僕は経験がないので何とも言えない。あくまで自分がしてきたことをベースに、泥臭く着実にブックライターになるための方法として上記を紹介した。

ポイントは2点ある。

①自分から積極的に、時に図々しいくらいガツガツと行動していくこと 

②すぐに結果につなげようとしないこと

そして時間をかけて小さな実績・経験を積み、ゆくゆくは一冊丸ごと任せてもらえるブックライターを目指すのが、遠回りなようで一番近道なのだ。ショートカットはないので、上記5つを意識して、地道に活動をしていけば、必ずチャンスは巡ってくるはずである。

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