あの子がほしかったハグ

小さい頃、ずっと寂しかった人。

小さかったあの子は、親の愛が欲しくて欲しくて、たまらなかったみたいだ。
ある程度成長してから、そう感じていたことに気づく。

まさか自分が、寂しい、と思ってるなんて子どもの頃は分からなくて。
分からなかったのかな、分かりたくなかったのかな。

褒めてなんて言えるわけなくて、自分からハグをしに行けるわけもなくて。

親の愛が、親が子どもに無償でくれるはずの「大好き」が、欲しくて、欲しくて。

愛されていることを、自分の母親、父親の肌からしか感じ得ない体温を、感じたくて。

素直に甘えられず、無愛想にしてたのがよくなかったのかな。接しにくい子どもだったかな。なんであんなに強がっていたんだろう。なんで寂しいと言えなかったんだろう。
なんで、ハグしたいとき、自分から勢いよく抱きつきに行けなかったのだろう。

そんなシチュエーションが成立するようなキャラクターの子どもではなかったけど。

ただ、

ハグしてほしかった。


この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?