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ひかりのかけらの『のはらうたⅠ』

小学生の頃に出会った本。

『のはらうたⅠ』
くどうなおこ 作

のはらうたⅠ
http://www.dowa-ya.co.jp/books/poem/noharauta/noharauta1.html

国語の教科書でも出てくる詩編なので、
ご存知の方も多いと思う。

当時の担任の先生が、
『のはらうたⅠ』『のはらうたⅡ』『のはらうたⅢ』の本を持っていて、
私は本の装丁と詩編が大好きで、
休み時間になると読ませてもらう、
先生の棚に置かれていたちょっと特別な本。

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かきとめておこう

おれはかまきり/かまきり りゅうじ
おう なつだぜ
おれは げんきだぜ
(『のはらうたⅠ』P70)

子ども心にグッときた。

かまきり りゅうじ君の存在も、
彼の快活な言葉も、
かわいくて可笑しくて心地よい。

『のはらうた』の詩詠みは、
ウサギやメダカ、カタツムリや蝶々などの動物たちと、
スミレやケヤキ、麦や落ち葉などの植物たちと、
風や雲、小川や月などの自然たち。

のはらで出会う様々な存在のささやきや気持ちを、
著者のくどうなおこさんが言葉にして書き留めてくれた。

あるひ のはらむらを さんぽしていますと、
かぜみつるくんが みみもとを とおりぬけていきました。
とおりぬけながら はなしてくれたことばが、
うたのようでした。
「まるで うたみたい」
「そうかい そうかい」
「かきとめておこうか」
「たのむぜ」
(「のはらうた」のできたわけ)

自然に暮らすものたちの
優しい気持ちが言葉になって、
詩になり歌になり、
読んでいると、
彼らと同じ優しい気持ちになれる詩集。

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言葉の心地の原点

とべ てんとうむし/てんとうむしまる
せなかの くろい みずたまが
ぽかぽか ぽかぽか してくると
はねが ぴかりと つよくなる
ばらの つぼみに のぼった とんだ
むぎの ほさきに のぼった とんだ
おひさまよ
おひさまよ
ぼくは あなたが だいすきだ
(同著P46)

この詩が大好きで、
何度も何度も読みたくて、
小学校1年生の私は、
何度も何度も先生に本を借りて、
この詩を覚えた。

それから30年。

おひさまよ
おひさまよ
ぼくは あなたが だいすきだ
(同著P46)

このフレーズだけは心にあって、
何の本だっけ?
検索して思い出した『のはらうた』、
手に入れ当時の記憶が甦る。

今、詩編を全編読んで、
優しくて暖かくて、
心地よくて軽やかで、
どの言葉も心地よく響き渡る。

私は文章を書くとき、
何度も読み返して言葉を確認するのだけれど、
その言葉の心地の原点はここだったのか。

記憶にない記憶。
意識にない意識。
でも幼少期に出会った言葉は、
今でも私の心に響き渡る。

ぼくの ふところに
ひかりの かけらが 
しゃら しゃら しゃら
いっぱい
(同著P86)

やまとことばの優しい響き。

世界のやさしさと、
世界へのやさしさを、
感じる心を作ってくれた言葉たちがここにいる。

小さい頃に出会えてよかったと、
今改めて感じている。

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あなたは なにが すきですか

わたしは ひるねが すきです
あなたは なにが すきですか
(同著P90)

今、おとなになった私たち。
お子さんがいる方は、今も読んでるかな。
久しぶりの方はぜひ、今一度、読んでいただきたい。
のはらむらの誰のどんな詩が心に響くかな?

紹介する本が、たくさんの人に読んでもらえたらいいなと願い書いてます。
気になる本があったらぜひ読んでみていただけたら嬉しいです。


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