![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141253600/rectangle_large_type_2_852eb3c843d6a6f51c204ba41536eed1.jpg?width=800)
優しさ
面接に向けての準備を始めた。
子ども時代の夢であった職業から離れてみたものの、とある人とお話をしていたら、戻るのもいいかもしれないと感じるようになった。
「この業種で働くの、疲れちゃった?」
この声掛けに、仕事そのものは好きなんですと答えた自分がいた。
私が勤めていた仕事はキラキラしていたし、ギスギスもしていた。
新卒で勤めて1ヶ月も経たないうちに、一緒に仕事を進めていた上司が退職した。新卒で何も分からない私が原因なのかと心配していたが、理由は違ったようだ。
上司とは、よくメールでやり取りをしていた。文面から感じる仕事への真っ直ぐな情熱を、ひよっこながらに当時の私は感じ取っていた。それに、素敵な方と働けているんだと、嬉しさもあった。
辞めると私に告げたメールは、今も記憶に残っている。どうやら上司が望んでいた環境ではなかったようだ。私に何度もすみませんと伝えてくれたが、その言葉たちに、無理なさらないでくださいと、返事をすることしかできなかった。
上司がいなくなった隙間は、私が埋めることになった。あの時の私に「葛藤しながらもよく頑張ったね」と声を掛けてあげたいぐらい、本当によく働いていた。
2倍働いた分、良い経験も苦い経験も、たくさん積み重ねた。今となっては、どちらも私の大切な経験値に過ぎない。
あの時の私は、もういないだろう。右も左も分からない中、仕事は毎日こなしていた私が、数年後に適応障害になったからだ。頑張った私へのご褒美を無理矢理渡すために、病気になったように感じる。体は丈夫でも、心は脆くなっていたから仕方ない。
私がご褒美と呼んでいる休職期間は、とても楽しかった。読書や宇宙への興味に再会したり、淡々と流れていく時間に美しさを感じたり、それはそれは毎日が充実していた。
そうなの、疲れちゃったんです。だから離れたかった。
とある人にこの言葉も伝えて良かったかもしれない。
進むことと、逃げること。どちらも経験した私だからこそできることがあるだろう。
周囲の方に優しくありたい。
その人が何を感じているのか、何を食べて、どう生きていきたいのか、できる限り受け止めたいし、応援したい。
もちろん、人としてやってはいけないこともあるから、それは良くないよと真っ直ぐ伝えたい。
誰かに優しくすることと一緒に、きっと私自身にも優しくなりたいんだと思う。
今はどんな気持ちかな。
嬉しい?楽しい?悲しい?イライラする?
今日の晩ごはんは何がいいかな。
中華もいいし、和食もいいし、それに洋食だって好きだから、これもあれも……
これからどう生きていきたいのかな。
家で愛猫とゆったりと休日を過ごしたいし、時々ご褒美デーを作ってカフェに行くこともしたい。
上司が、あの時辞めてよかった!って、そう思えているといいなと、今も密かに願っている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?