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オタクに優しいギャルは実在した!!



漫画もゲームもインターネットもだーいすき
こうやって自分の好きなものに触れている瞬間だけ「命」を実感できるんだよなぁ

はぁ~





ギャルに優しくされたいなぁ!!!!!!!!


前の席に座ってるギャルが、僕の好きなアニメに興味を持ってくれて、次の日に「オタクくん〇〇見たよ~、めっちゃおもろいね!」って言ってくれたので、興奮した僕は「そうなんだよ!特に4話の変身シーンが熱くてさ!キャラクターのバックボーンと物語のテーマが重なっていて…」と思わず熱弁してしちゃってさぁ

話の途中で(ハッ、しまった!興奮しすぎて話しすぎた!キモいって思われていないかなぁ)と気づき、恐る恐るギャルの顔を見ると、ニコニコしながら「それで、それで?」と、嫌がるどころかむしろ話の続きを聞かせてほしいと言わんばかりの表情で頬杖を付きながらこちらを見ていてほしいなぁ。

そう、純粋な子どものような眼差しと母のような慈しみの共存、そんな言いしれぬ深い愛の具象化…

ギャルに優しくされてぇなぁ!!!!!!


ピンポーン

宅配便かな?

そんな私の元に一本のVTRが届いた。

そこには衝撃の映像が記されていた!

そう、オタクと談笑するギャルの姿だ!
人はそれを「オタクに優しいギャル」と呼ぶ!





我々はVTRの真相を確かめるため、そして人類の悲願である「オタクに優しいギャル」を発見するべく、人類の調査の手が行き届いていない密林の奥地へと飛んだ!












「生命の起源たるこの大自然の中ならきっと、オタクに優しいギャルを見つけることができるはずだ!」

オタクに優しいギャルを求める精鋭を揃え、彼ら探検隊一行は未開の密林へと到着した。

「これまで何名もの先人たちが己の胸中にある情熱のみを頼りにオタクに優しいギャルを探し求めてきた。」

「しかし、その内の誰もオタクに優しいギャルの発見は叶わなかった。私はこの調査で命を落とすことになっても、必ずオタクに優しいギャルを見つけてみせる。だから私を信じてついてきてほしい!」

隊長の思いの強さに隊員たちの士気も高まる。

鬱蒼と生い茂る木々をかき分けて探検隊は一歩、また一歩と前身を続ける


調査当日の気温は39度、歩くだけで体力を消耗していく過酷な環境だ。

それでも隊長の目から情熱の炎が消えることはない。

その眼には、この調査に向ける並々なら情熱が映し出されていた。

「この道は…」

何処かへとつながる道を発見した隊長

「この道はなにか臭うな。まるで、どうぞこちらに来てくださいと言われているような、手招きをされているようなそんな感覚だ…」

隊長の第六感が危険を感じ取った。

危機センサーを最大にまで引き上げ、一行はその道を前進する。

「ん?」

足元に違和感を感じた隊長。




「ハッ!これは!?」




「毒蛇だ!!」



「邪!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


FBI時代に培った蹴り上げでなんとか毒蛇を振り払う隊長。

隊長の嫌な予感は的中した。本来、調査地域には生息していない黒い蛇、マムシの黒化個体と思われる。

隊長の蹴り上げが効いたのか、激しく動く様子はないが油断は禁物だ。

「覇!!!!!!!!!!!!!!!!」

すかさず毒蛇の頭の根本を押さえつける隊長。
蛇はその体の構造上、頭を押さえつけさえすれば動きを封じることができる。

「このあたりには生息しないはずのマムシの近縁種だ。おまけに、黒化固体か…これはギャルが日サロに行って体を黒く焼くことと、なにか関係しているかもしれないな。」

この密林特有の環境とギャルの因果関係を紐解いていく隊長。我々は思ったよりもオタクに優しいギャルに近づいているのかもしれない。

しかし、喜ぶの束の間、毒蛇の発見に一瞬遅れたことにより、隊長は右足をマムシに噛まれてしまったのだ。


マムシの毒による死亡率は決して高くはない。

今は傷跡も目立たず腫れもほぼないが、噛まれた場所は徐々に腫れ上がり、放置すると血小板の減少から消化器官や全身の皮下出血につながるため、専門的な治療が早急に求められる。






うっひょ~い

これで問題ないだろう。

「よし!先に進むぞ!」

毒蛇との格闘も隊長の情熱の前では前哨戦にもならない。

我々は怪しく手招きをする道を進みオタクに優しいギャルの痕跡を探す!


道を抜けた先は大きな運河に繋がっていた!

「水辺は野生動物にとっての生命線、それはギャルにとっても同じことだ。この辺りでギャルの痕跡を探してみよう。」

「あの辺りの沢から何か感じる。重点的に探すぞ
!」

予感以上の何かを感じてギャルの痕跡を探すエリアを一点に絞る隊長。


その表情は真剣そのもの。どんな小さな痕跡も流してなるものか!そんな意気込みを感じる。


「これは!」




「スクリューブラシだ!」

『隊長!これはギャルの痕跡なのでしょうか?』

「何とも言えないな。ギャルにとってまつ毛は命。それは間違いないが、これだけでギャルの痕跡と断言するのは難しいな」

興奮する隊員に対して冷静に答える隊長。

どんな小さな痕跡でも、捜索に進展があったのは事実。

もっと核心的な手がかりを見つけるため捜索を続ける一行。


『隊長!そこです!腕のところ!』

「ん、どうした?別の手がかりか?」









『いいえ、リマニーヤドクガエルです』




「散!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

CAI時代に鍛えられた身のこなしで毒ガエルを振り払う隊長。

ヤドクガエルの毒性はフグ毒と同様の神経毒である。アルカロイド系の神経毒は、たった20μgで成人男性を死に至らしめる。

だが、これで大丈夫だろう。

自然の脅威をその肌で感じる探検隊一行。

ほんの一瞬の油断が死に直結するのだ。

我々人間はこの大自然の前ではあまりにも無力、一行は身を引き締めて捜索を続ける。

するとそこには…


これは!!!



「付けまつ毛だ!!」

『隊長、これは…』

「あぁ、ここまでくると偶然ではない。ギャルにとって、つけまは生活必需品だ。先ほどの痕跡と合わせて考えると、恐らくこのあたりはギャルがメイクを落とすのに使っている水辺だろう。」


隊長は気配を消してオタクに優しいギャルを待ち伏せることにした。

しかし、密林の捜索につづき、野生動物との激しい戦闘で体力を激しく消耗した隊長。

激しい疲労に恐れわれ、不覚にも眠りに落ちてしまった。



(は!しまった!眠ってしまった!目を覚まさなければ!)









タランチュラである。


「邪!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


SWAT時代の身のこなしでタランチュラを追い払う隊長。


タランチュラの毒自体に強い毒性はない。しかし、何度も噛まれることでアナフィラキシーショックを起こして死亡した報告も上がっているため、何度も噛まれることは避けなければならない。


これで大丈夫だろう。

「不覚だ、疲労のあまり1時間ほど意識を落としてしまった。」

己の不甲斐なさに奥歯を噛みしめる隊長。しかし、失敗を悔やんでいる暇はない。冷静に現状を分析して次に打つ手を考えることが最優先だ。

「犯してしまったミスを悔やんでも仕方がない、捜索範囲を広げよう。この下流に向かうと、人里が広がる地域に繋がる。」

「だから、警戒心の強いオタクに優しいギャルは、より深い密林の奥地にいるはずだ。急いで向かおう。」

『は、ハイ隊長!」

一瞬、隊員の返事が遅れた。

隊長はその異変を見逃さなかった。

(確かに、ここまでの捜索で私含めて隊全体に疲れが見えてきている。ここで無茶をして進行すると隊員に負傷者を出す恐れがあるな。)

「いや、一旦ここで休息を取ろう。オタクに優しいギャルはもうすぐそこだ。体力を万全にして次のエリアの探索に備えよう。」

『ハイ!隊長!!』

そう、隊長の役目はオタクに優しいギャルを見つけることだけではない。探検隊員全員を無事に故郷に帰すことも隊長の任務の一つなのだ。

『隊長!』

「どうした、お前達?」









『タランチュラです!』

「粉!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

Navy SEALs時代に身に着けた回転蹴りでタランチュラを追い払う隊長。

タランチュラの毒自体に強い毒性はない。しかし、何度も噛まれることでアナフィラキシーショックを起こして死亡した報告も上がっているため何度も噛まれることは避けなければならない。

何度も噛まれることは避けなければならないのだ。

これで大丈夫だろう。

「この匂いは…」

目を覚ました隊長の鼻腔が何かを感じ取った。

「ギャルだ!ギャルの匂いだ!」

ギャルを発見するためだけに特化した嗅覚が微かな残り香を捉えた!



「これは!?」



「ルーズソックスだ!!」

「失礼!」

くんくん…

匂いを嗅ぐ前の一礼も忘れない。どんな環境に置いても礼節をわきまえることは大切だ。

「喝!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



「間違いない!この先だ、この先からギャルの匂いがする!急ぐぞ!」

警察犬顔負けの嗅覚でギャルの匂いを追う隊長。

一行は小さかな手がかりを一つ一つ結びつけて更に密林の奥地へと向かう。

人の侵入を拒み続けてきた密林奥地までやってきた一行。


「見ろ、川だ。このあたりで水分補給をしよう。」

飲水がそこを尽きかけていた一行にとって、湧き水はまさに自然の恵みである。

ほとんど休息を取らずにオタクに優しいギャルの捜索を続けた一行。

皆、既に体力の限界を感じていた。少しでも体力を回復するために水分補給をする。

これまで大自然の猛威に幾度となく苦しめられてきた。

しかし、自然は厳しさと同時に恵みももたらしてくれる。自然の偉大さに感謝しながら、湧き水から水分補給をしようとしたそのときだった!!




スパーン!!!!!!!!!!!!!!!!






「なんだぁ!!!!!!!!!!!!!!!!」



「これは…」

「矢だ、一体だれが…」

何者かが隊長の喉笛めがけて矢を放った!!

ペットボトルがなければ命はなかっただろう。

いったい誰が矢を放ったというのか!?

「何者かはわからんが、我々をこれ以上先に進ませたくないようだな。」

『オタクに優しいギャルの仕業でしょうか。でもこれじゃあ、オタクに厳しすぎます…』

「たしかにそうだな、誰が打ったかはわからないが、どこから打ったかわかった。行くぞ、どうやら私達はあと一歩のところまで来ているようだ。」

矢が飛んでた来た方角に進むと、我々が求め続けたものがあった。

深い地底へと続く洞窟の入り口だ。

洞窟を覗き込むと、まるでこの世の全てから何かを覆い隠そうとしているような深淵が広がっていた。


洞窟探検を想定しておらず、やむなく最低限の装備に着替える一行。


「入口は狭いが、奥はかなり深くまで続いているようだ。足元に気をつけながら進むぞ!」

隊長を先頭に深淵の中に足を踏み入れる一行。

この深淵の奥にオタクに優しいギャルは待ち構えているのだろうか!?


薄い空気、暗闇の世界、一行はただオタクに優しいギャルという一筋の光を頼りに洞窟を進んでいく。




「見ろ!!あれは!!!」



「eggだ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

エイチジェイが運営し、大洋図書が発行するギャル系雑誌であるegg。

1995年創刊し2004年7月号にて惜しまれながら一時休刊となったが、現在では情報の発信拠点をYouTubeやSNSに移しながら年に2回紙面の刊行も復活してる。

毎月出してくれ

「決定的だ。この洞窟はオタクに優しいギャルが居住地として利用しているに違いない。」

密林の中のメイク道具、ルーズソックス、ギャルのバイブルegg、これら全ての物的証拠と隊隊長の嗅覚から辿った残り香から一行はついに、オタクに優しいギャルの住処まで辿り着いたのだ!




「ゆうちゃみ可愛すぎワロタ」




岸壁を降りながら、一歩また一歩と洞窟の深部へ進む一行。

決定的な証拠を発見し、はやる心を抑えながら着実に進んで行く。

(オ、、ク、、、、、、く、、、、、さ、、、)

「聴こえたか!?」

『聴こえました!誰かの話し声でしょうか?』

洞窟のさらに奥から話し声のような物音を聴いた一行は、音を殺しながらさらに先に進んでいく。

(オタ、、、、、く、、、、、、ん、、、、、、、さ、、、)

「聴こえる、向こうだ。」

複数の足跡と何者かの話し声が聴こえる。
洞窟の中は音が反響して正確な方角はわからないが、かなり遠くから聴こえてくるようだ。


洞窟最新部は道幅はかなり狭まっており、前に進むに連れて身動きが取りづらくなる。


「くそ!だめだ!これ以上先には進めない!」

洞窟内は既に、人が通れる幅ではなくなっていた。

『あと一歩のところまで来たのに…隊長、ここまで来て引き返すんですか!?』

隊員の悲痛な訴えに隊長は答えた。



「ここで、待つ」




隊長は多くは語らなかった。

一行に残された方法が一つしかなかったからだ。

【待つ】

ただ待つことは、これまで遭遇したどんな危険な出来事よりも一行を苦しめた。

どれだけつらい目にあっても、前に進んでいるという希望が、隊員の背中を押す原動力となっていたのだ。

洞窟に足を踏み入れてから既に8時間以上経過していた。


そして、


あれから物音は一切才聴こえなくなっていた…


隊員の体力も既に限界を超え、意識を失いかける者も出てきた。

食料も水も尽き、これ以上の籠城は命の危険もあった。




(私はこの旅の最初に自らの命をかけてでも、オタクに優しいギャルを見つけると隊員たちに約束をした。しかし、隊長として、私は彼らを守り抜くという役目も担っているのだ。)

そう、【隊長】として決断を下す時が来たのだ。



(それを学ぶためというのなら、撤退も恥ずべきことではない。)

隊長は撤退を選んだ。

隊員から預かっている命を守るため、苦渋の、そして勇気ある決断だった。



全人未到の密林の奥深く。

人類の侵入を拒み続ける大自然の洞窟に、オタクに優しいギャルは確かに存在した。

我々は、オタクに優しいギャルの数々の物的証拠を見つけ、匂いを嗅ぎ、その声を聴いたのだ。

後にこの調査報告を、極限状態から幻聴を聴いたのだろうと一蹴する者もいたが、確かに我々はオタクに優しいギャルをその肌で感じたのだ。



だが、我々の挑戦は決して終わることはない。

オタクに優しいギャルを目にするその日までは。



~fin~


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