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ボトルネックをコミュニケーションで解消する(3)〜自由に動ける人を決める

こんにちは。企業変革コンサルタントの小野司です。

企業変革に取り組む若きリーダーさん、そしてコロナ禍で、企業変革に取り組まれる企業さまに、変革のヒントをお届けしています。

前回、伝達指示係を決めるということを書きました。

今回は、ボトルネック用人員、つまり自由に動ける人を決めてコミュニケーションを図る方法について書きます。

簡単にいいますと「お助けパーソン」を決めるのです。

そして、お助けパーソンには、ボトルネックに入ってもらいます。

もし、その人がボトルネック工程の作業ができなければ、(ボトルネック工程の作業を出来る)他の人がボトルネックに入ります。そして、その他の人の抜けたところに、お助けパーソンが入るのです。

お助けパーソンが入ったところがボトルネックと、メンバー全員が認識できるようになります

そして、メンバー全員がボトルネックの生産性を高めようとする意識を持つようにしてゆきます。

ある工場の事例です。その工場の多くはパートさんでした。最初は、(前回紹介した)伝達指示係を決めて取組みました。
パートさんが伝達指示として、ボトルネックを「伝達」することは機能しました。一方、他のパートさんにボトルネックに入ってくださいと「指示」することは上手く機能しませんでした。
伝達指示係はリーダーや責任者ではなく役割の一つです。そのことを事前に伝えましたが、この工場では、”現場のリーダー”のような位置づけになりました
そのため伝達指示係は責任を感じました。責任は生産リーダーと周知してもです。指示する方も、指示される方も気を遣うようになりました。

そのため、伝達指示係はやめました。「お助けパーソン」に切り替えました。

毎朝朝礼で、お助けパーソンが入る工程を打合せました。最初はA工程、それが落ち着いたらB工程というようにです。もちろん、終日A工程の場合の方が多いです。
そのボトルネックは測定などして厳密に決めている訳ではありません。現場のカンなど決めています。ですから、人によって認識が異なることもあります。
認識合わせも朝礼で行います。しかし、長時間は話しません。まずやってみましょうというように決めます。
そして、次の朝礼で振り返ります。見積が違えば修正します。その経験を積み上げてゆきます。

これを繰り返すうちに、ボトルネックの予測のズレはなくなってゆきました。

朝礼には全員が参加しています。その話し合いに参加しているうちに、みんながボトルネックを理解できるようになってきました。

もう一つ、変化がありました。

お助けパーソンの方は、ボトルネックの工程に入ると、自分なりに小さな工夫をされていました。
また小さなチャレンジをしていました。そして、上手くいかなければ、元に戻すことをしていました。
ボトルネック工程のオリジナルメンバーは、それを見て新たな発見がありました。いい意味で影響を受けました。
工場全体としては、ボトルネックの生産性を高めるようにみんなが動くようになってきました。ボトルネックの生産性を高める小さなアイディアも生まれてきました。
現場は、小さなチャレンジをしてみるようになってきました。そして、上手くいかなければ元に戻すだけという空気も生まれてきました。

お助けパーソンを介して、工程間に交流を生みました。

生産性は20%以上上がりました。繁忙期をノー残業で乗り切りました。

前回の事例は、伝達指示係。今回の事例は、お助けパーソン。目的はともに、ボトルネック工程の周知とその解消です。

一方、業種、ロット数、品種数が異なれば進め方は変わることがあります。
年齢や正社員とパートさんの比率などの構成メンバーによっても進め方は変わることがあります。
ワイガヤなどて分かる現場の「不」(不平、不満、不安など)によっても変わることがあります。

ですから、考えてみて、やってみて、振り返ってみて、次にやることを決めることを繰り返します。PDCA(plan-do-check-action)を回すともいいます。

若き変革リーダーのみなさま

お助けパーソンにより、ボトルネックを見えるようにして、解消するイメージはわきましたでしょうか。

これは、広い意味でのコミュニケーションでもあります。

お助けパーソンがボトルネック工程に入り、その工程の方とコミュニケーションを取れる仕組みにしています。

お助けパーソンがどこに入るかを朝礼で話し合いをしています。そこでは、ボトルネックを想定し、特定しています。この話し合いもコミュニケーションを取るための仕組みです。

ここまで、3回に渡り、コミュニケーションの仕組み作りについて紹介してきました。どれも、ボトルネックを見えるようにして解消する目的は同じです。

工場によって、作るものも、作り方も、作る量も違います。人の構成も違います。ですから、ボトルネック解消の進め方も異なります。

ですから、PDCAを回して現場に合う方法を探るようなことをします。

現場からは、進め方が変わるという声が出ることも予測されます。

それを最初からゼロにすることは難しいです。大事なことは、PDCAを回して進めるものと最初からお伝えすることです。

リーダーは、PDCAを早く回すことに知恵を絞ることはとても重要な役割です。

参考になりましたら、ありがたく思います。







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