改革活動のノリをしぼませてしまうリーダー
こんにちは。企業改革コンサルタントの小野司です。
企業改革に取り組む若きリーダーさん、そしてウィズコロナなどで、企業改革に取り組まれる企業さまに、改革のヒントをお届けしています。
前回、改革活動のノリを成長させる企業・組織について書きました。
今回は逆に、ノリをしぼませてしまうリーダーについてお話しいたします。
改革活動のノリを成長させるには、以下の3つがポイントがあると前回とお話ししました。
1.各メンバーが自分を表現すること、周りが理解すること
2.小さな成功体験をすること
3.失敗体験をすること
簡単に申し上げますと、ノリをしぼませてしまうリーダーは、組織のためと思ってこの逆をやってしまっているように思います。
1.各メンバーが自分を表現できないようにしている。
ある会社の事例です。
会社のトップの指示で、全部署に対し、ワイガヤを行いました。ワイガヤとは、現場で、自由に、ざっくばらんなに言い会える場を作り、いろいろな「不」(不便・不自由・不安・不平・不満など)を吐き出すものです。改革活動の最初の段階でやることが多いです。
このワイガヤ後、リーダーが、「なんでこんなふうになっているんだ」と騒がました。また、「誰がこのようなことを言っているんだ」と言われました。
その後、現場からは、自由な意見は出てこなくなりました。メンバーの一人は、「リーダーの標的にされるのが怖い」「正直ものが損をする」と言われていました。
これは、ワイガヤでの事例です。ワイガヤでなくとも同じです。その後、メンバーから、自由な意見が出てこなくはました。ノリをしぼませてしまいました。
リーダーとして、メンバーに対し、注意すべきこと、指示すべきことは、しっかり伝えることは大事です。
一方、メンバーが正直に話をしてくれた場合、心を開いて話をしてくれた場合は、それに応えることを第一に考えることも大切です。その方のノリをしぼませないようにするためです。
言うべきことをしっかり伝えることと、正直に話してくれたことに対し感謝を表して応えることとは、分けて考えた方がいいと思います。
2.小さな成功実績を軽くとらえている
会社を改革するということは、現状を大きく変えることです。その中では、小さな成功実績は、取るに足らないように感じます。
ですから、あるリーダーは、「そんな小さなことで喜んでいるようでは困る。」「もっと大きな課題に対して成果を出してほしい。」と言われていました。
(現場の事情やどういう成功事例に対して言ったのかにもよりますが)これは分からなくはないです。
一方、改革活動にとって大切なのは、ノリを成長させていくことです。これも並行して考えてゆきます。
小さな成果に対し、大げさにメンバーと一緒になって喜んだ場合とそんな小さなことで喜んでいるようでは困るという場合では、どちらの方がノリが大きくなるのでしょうか。
この2つのリーダーの反応は、ケースバイケースだと思います。しかし、ノリという視点で比較しますと、前者の方がいいように思います。
3.失敗に対し過剰に反応してしまう
メンバーが失敗した場合、リーダーとして注意することは重要なことです。
注意する目的は、失敗という事実を知ってもらうこと、再発しないように意識づけすることだと思います。
一方、改革活動のノリという点では、できる限りの失敗を許容した方がいいようです。自由にのびのびできるからです。
さらに、改革活動では、できるだけ失敗をさせます。失敗をして、リカバリーしてもらい「なんとかなった体験」をしてもらうためです。
この「なんとかなった体験」が、改革活動のエネルギー源になるのです。つまり、次の大きな課題に挑めるようになるエネルギーになるからです。
改革リーダーのみなさま
改革にはノリが必要です。大きな改革を目指すほど、現場のノリで乗り越えてゆくものです。
ノリを作り上げてゆくことと、現場のメンバーに対し修正すべきことを伝えることのバランスを取れるように取り組んでみて下さい。
改革活動が上手くいっているリーダーは、このバランスが絶妙です。これはリーダーの個性によると思います。
今は難しいと感じるかもしれません。しかし、これもトレーニングでできるようになるとあるリーダーさんは言われていました。そのリーダーは、バランスが絶妙な社長さんでした。
ノリと注意のバランスについて、その社長さんに聞いてみました。
回答は、「今でも上手く出来ているか分からないです。」「でも、日々修正しながらやっていますよと。」でした。
ノリをしぼませないように、そして、現場へいうべきことはしっかり伝える。とても難しい課題です。
参考にしていただけたらうれしいです。
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