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改革活動は、総務・経理の方も巻き込む。その成果は消耗品費や修繕費に現れる。

こんにちは。企業改革コンサルタントの小野司です。

企業改革に取り組む若きリーダーさん、そしてウィズコロナなどで、企業改革に取り組まれる企業さまに、改革のヒントをお届けしています。

前職時代、リーマンショック後は、研究開発部門で、改革活動とともに、予算担当をしていました。予算規模は、小さめの自治体の予算くらいでした。

リーマンショック後、上場企業の多くは減収減益でした。また、赤字決算や人員削減計画を発表するところも珍しくありませんでした。どこの企業も、断腸の思いでコスト削減に尽力されていたと思います。

私の社内でもコスト削減に追われていました。

以下に、そのコスト削減の一般的な削減アプローチを示します。

費用は大きく、材料費、人件費、経費の3つに分けられます。そして、削減順位の多くは、額の大きいものからになります。

一方、人件費は、額が大きいのですが、固定費のため、削減は難しいです。残業代くらいです。また、雇用を守るためにも、最後まで手をつけません。

経費は、額が小さいので優先度は低いです。

結局、材料費を削減する方針になります。研究開発の場合、材料費は、試験材料費が多くなります。そのため、材料費を削減すると、試験ができなくなります。そのため、製品開発が遅れる傾向になります。

そこで、研究開発者は知恵を絞り、試験回数の削減、その他の手法を考えることになります。

開発者は、試験回数を減らすため知恵を絞ります。実験計画法を使うとまではいかなくても、試験条件を精査します。以前よりも、事前に念入りに検討時、試験するようになります。また、コンピューターシミュレーションの比率も高くなりまず。

当時の開発者からは、予算がないから大変だったぞ、と言われそうです。不自由をお掛けしました。。

当時、そういった開発者の苦労を、総務・経理の方たちが、側面からみていました。そして、自分たちでできるコスト削減は何かを考え、動かれていました。その総務・経費の方は、女性社員の方が多かったです。

その女性社員の方たちの多くは、子育て世代の30代、40代のお母さまたちでした。主婦感覚を生かしての経費削減などのアイディアの豊富さ、そして行動力にはびっくりします。改革活動では欠かすことのできない存在です。

その中で、総務・経費の現場から、細かな経費をみえるようにしてほしいと、強い要望を受けました。光熱費は部署毎に分けることは難しかったです。しかし、消耗品費や修繕費などは経理システム上、分けることができました。

見えるようになると、総務・経理の方たちのアイディアと行動力が発揮されているました。

消耗品費の比率は、TKCなどの中小企業の財務データでは、数%程度から1%以下です。この事例でもほぼ同等です。予算担当としましては、本社からのコストダウン要請の額からいいまして雀の涙です。

そのため、最初は、申し訳ないのですが、関心は薄かったです。しかし、現場の総務の方たちは、知恵を出され、小さな削減を積み上げられていました。

本社からの数度目の削減要請があり、さすがに絞り出せるものがなくなりました。ここまできたら開発を止めるしかないと思いました。

しかし、最後の最後で、消耗品費と修繕費が、思った以上の削減額に積み上がっていることが分かりました。総務の方たちの意識や行動が、現場の開発者をも動かしていたのです。開発者の行動が変わらなければ、消耗品費などは削減されないからです。

予算担当として、総務の方たちに感謝して、それらを削減計画に盛り込みました。当初、本社の担当者からは、消耗品費や修繕費など経費の削減額が比較的大きかったため、苦し紛れのプランではないかと、疑問を持たれました。

しかし、具体的な根拠とそれまでの取り組みを伝えましたところ、理解していただけました。びっくりされていました。

消耗品費、修繕費、その他経費が、改革活動や企業努力とは、関わりが薄いように、思う方が自然です。額が小さいからです。


次に、ある地方の整備工場の事例を紹介いたします。コンサルとして、最初に、ワイガヤをして現場の実情を把握しました。そして、多くのムダがあることがわかってきました。決算書(財務諸表)を見ますと、同業と比べ、消耗品費と修繕費が2倍になっていました。

額は、売上高対消耗品費率1%以下の少額でした。普通は見ないことが多いです。しかし、私がその数値が気になり、それを企業さんに伝え、原因などを掘り下げようと思いました(修繕費については割愛します)。

その場には、金融機関の役職クラスの方が同席されていました。私に、小さな額にはこだわらなくていいですよ、と遠回しに言われました。コンサルタントが重箱の隅をつついていた、あるいは誤差の範囲のように思われたのでしょうか。

それが普通なのです。金融機関の方でも、小さな額の優先度は低くなるのです。しかし、企業改革リーダーは、ムダを探し、そのムダが費目のどこに現れるかをウォッチするのです。

その費目が、(私の経験上ですが)消耗品費と修繕費の場合が多いのです。


若い企業改革リーダーのみなさま。

改革活動は、総務などのスタッフを巻き込んで行なった方がいいです。そして、ムダが蓄積していそうな、消耗品費と修繕費などには注目されるといいと思います。

前者について、

改革活動は、工場、店舗、営業など(いわゆるライン)だけではないのです。総務・経理などのスタッフも巻き込むのです。

多くの改革活動は、ラインへの「現状を変えて」という働きかけがメインになります。一方、ラインの方は、会社を背負っている自負が強いです。そのため、「変えると、成果が出ない!」というような、改革リーダーへの強い主張があります。

この時、総務・経費の方の理解を得て、その方たちの支援を受けるのです。リーダーにとって、力になります。キーパーソンは、スタッフの中にも作るのです。また、改革活動によって、意識や行動を変えた総務・経費の方が増えれば、ラインも変わってきます。

後者について、

改革活動の最初は、経営効果の額が小さいことが多いです。成果が現れていないと感じる方が多いです。しかし、改革活動の取り組みと費目との関係をみるといいと思います。特に、消耗品費と修繕費です。その時、(削減)額ではなく(削減)率で比較します。

わずか額でも、数値で変化が見えれば、現場の達成感だったり、小さな成功体験につながります。それが、改革活動のエネルギーになります。

改革リーダーは、キツい場面が多いです(それだけやりがいも大きいです)。仲間は出来るだけ多い方が、前に進みます。総務・経理の方は、縁の下の力持ちと思われますが、主役にもなるのです。参考になればと思います。


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