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建築家が消える世界

最近なぜかモチベーションが下がり気味だ。

2年間続けてきた月3回のこのnoteもサボりがちになってしまっている。気分が上がる時もあれば、下がる時もある。そういったある種のバイオリズム的なものだとは思う。おそらく時間が解決してくれるだろう。のんびり時が過ぎるのを待つのがいいのかもしれない。

しかし、近況を振り返ってみると、原因に少しだけ思い当たる節がある。

去年の夏から春先まで続いた、ハイパーストレスフルな案件がなんとか区切りがつき、燃え尽き症候群的な状況になってしまっているのかもしれない。多くのストレスと多少のお金を手にした代わりに、建築家・デザイナーとしての役割を見失ってしまったほろ苦いプロジェクトだった。同業者の方はお察し願いたい。

はたまた、最近話題のchat GPTやAIの世界を目のあたりにし、建築家・デザイナーとしての生存本能をチクチク刺激され過ぎて、疲れてしまっているのかもしれない。あなたの仕事の大半はAIに代替されますよ。と。

実際にクライアント自身がAIを駆使できるようになれば、建築家・デザイナーという「中間業者」をすっ飛ばし、物理的に空間を作り上げる施工業者に直接依頼する未来は簡単に想像がつく。

さすがに1年、2年後ではないと思う。しかし3年後くらいには、顕著になってくるだろうと肌感覚が教えてくれる。

現時点でさえ、クライアント側がpinterestなどを使い、世界中の膨大の参考事例やイメージを簡単に集めることが出来ている。自分の想像するデザインのイメージを作り上げることできる。明らかに10年前にはなかったリファレンスの量と質になったと日々実感している。

これまではクライアントが、曖昧なイメージしかできなかった空間やデザインを、的確に時に想像を超える形で「具現化」をするのが、建築家・デザイナーとしての大切な役割だった。

しかし、その「具現化」の作業はAIが行ってくれる。何度も学習を重ねながら、何回でも秒で再提案してくれる。もちろん文句ひとつ言わずに。お願いする側も気を遣う必要なんて一切ない。前言撤回万々歳だ。

では建築家・デザイナーは何ができるのだろうか?

強いてあげるなら、作り過ぎてしまった100個のAI案の中から、どの案が良いか、現実的か、こんな感じにupdateしたらどうか?などのアドバイザー的な仕事が残るだけかもしれない。

はたまた、自分でAIを駆使できない人、もしくは自分のセンスに自信がないクライアント、自分で考える時間がない人に寄り添っていくことだろうか。
(イメージを検索するのも、AIに指示するのにもセンスが必要だ。)

お金を持ち、センスがある人  →  AIに依頼。
お金を持ち、センスがない人  →  建築家に依頼。
お金を持ち、時間がない人  →  建築家に依頼。
お金を持ち。時間がある人  →  AIに依頼。

それぞれのタイプのクライアントがどのくらいの割合でいるかはわからないが、
建築家の仕事が半分くらいに減ってもおかしくはない。

別の視点で見てみると、建築家にはイメージを「具現化」するデザイン作業以外にもやることはある。「具現化」したデザインを、実際に作るあげるために、図面や法律、諸条件に合わせて調整し、施工側に伝える作業がある。

しかしこれこそAIの十八番だと思う。最終的に作るのは空間(物質)だが、建築家の成果物は図面だ。つまりはデジタル情報。ここを見落としてはいけない。

更に、これからはセルフビルド的な建築家が増えるのかもしれない。クラフトマンシップを兼ね備えた建築家。どんどん図面の価値は下がり、実際の空間を自分で作れる建築家の価値が高まる。施工会社が設計を行っているところはあるが、その逆はまだ少ない。

一般的には
建築家 _ デザイン:○ / 工事:×
施工会社 _ デザイン:× / 工事:○

これからは
建築家 _ デザイン:○ / 工事:○
施工会社 _ デザイン:○ / 工事:○

こうなるだろうし、でないと生き残れないのかもしれない。ただの図面書き的な建築家には厳しい未来が待っているだろう。

今回は挙げたのはあくまで全体論的な話なので、個人単位では、AIでは出来ないクリエイティブを目指していくことや、AIを駆使した新しい表現などを模索していくとは重要だと思う。

しかし、冷静に現状把握することも大切だと思う。

まずは敵を知り、(敵かどうか知らないけど)、傾向と対策だ。受験勉強と同じだ。(人生で一度も受験したことないけれど)

あとは人として“ナイス”であり続けることも、より重要になってくるだろう。

と、ここまでは下がり気味のモチベーションに体を委ねて、ネガティヴな側面ばかりをあえて書き出してみたが、僕自身は未来を悲観しているわけでは一切ない。未来は常に明るいと信じている。

今回は長くなってしまったから、次回にでも、僕なりにこれからの未来をどう捉えていけば良いを書いてみたいと思う。

どちらにせよ、AIは友達だ。


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