貿易統計は、引き続き輸出数量が景気に寄与しています。

貿易統計を見る時、数量を見るか円建て金額を見るかドル建て金額を見るかで、印象が大きく異なる場合が少なくありません。月次統計は振れるので、上半期の数字を見て見ましょう。

通常、注目されるのが円建て金額ですが、これは余り重要ではありません。輸入が増えて黒字が減っていますが、これは原油価格等の値戻しによるもので、それが直ちに国内景気に影響するわけでは無いからです。遠い将来、日本が少子高齢化による労働力不足から経常収支赤字に転落して・・・といった事を考える際に参考になる程度でしょう。

ドル建て金額は、戦後間も無い頃、日本経済が外貨不足に悩み、「国際収支の天井」などと言われていた頃は重要でしたが、最近は気にする人も多くありません。

圧倒的に重要なのは、輸出入数量でしょう。輸出数量指数は順調に増加しています。これが国内生産を増加させ、景気拡大の力になっていると言えるでしょう。アベノミクスによる円安によって増加が期待されながらも、ずっと横ばいであった輸出数量が、ようやく増加しはじめたのです。海外景気の影響もあるでしょうが、長い長いタイムラグを経て、ようやく円安の効果が輸出数量に及び始めた、という事かも知れません。期待して見守りましょう。

輸入数量も増えてはいますが、輸出数量の伸びが上回っているので、気にする必要はなさそうです。

ちなみに、日銀の実質輸出入(輸出入品の品質向上を反映した統計)を見ても、同様の傾向(実質輸入も増えているが、実質輸出の伸びが上回っている)を示しています。

余談ですが、対米黒字は鉱物性燃料の輸入増を主因に、減っています。原因が何であれ、減っているのでトランプ米大統領も満足なさっておられる事でしょう(笑)。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL19H6H_Z10C17A7000000/?dg=1

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