ドラグナーの本分017

インプットしてアウトプットするから成長する

(約 3,900文字の記事です。)

*線画を上手く描きたかった

絵が上手くなりたかった。線画はシンプルでいて難しい。何気なく見ることができるアニメーションののワンシーンの線画もプロが描いている絵だから、素人がいきなりマネしても全然違う物ができる。そして挫折、というか断念(笑)

ある時期、アニメ絵の模写や写真から線画にする練習などしてみた。だんだん上手くなってきた反面、どこにゴールがあるのかが分からなかった。線画の練習をして身につくのは、線画を描く能力。当たり前だ。だが私は線画を描きたいわけじゃなかった。1枚絵の完成型を作りたかった。だから、塗りもあるし、背景も描かなければならない。人物の線画だけに時間を投資できないと思ったわけ。趣味なんだし。

*疑問点の発見

そのときたまたまpixivで、ほぼ毎日投稿で1日に4,5枚投稿している人がいた。その人はアニメのワンシーンの線画を模写してアップしていた。確かに上手く見えた。上手く見えたけど、感動がなかった。なぜ?そう思ってその人のpixivページを最初からざっと眺めてみることにした。

ざっと計算して8千枚あった。凄いね。どれだけアニメ線画を模写してきたのだろう。だが、最初の1枚から眺めていて気付いたことがある。

それは「手の表現」が8千枚全部ごまかしだったのだ。

*300枚目までは順調に成長

その人の絵を観察していると、300枚目まではぐんぐん成長していた。後は手の表現だけが課題だな、と素人から見てもそう思った。だが、そこから先、いくらページを送っても、手の表現がよくならない。8千枚目に到達しても、手の表現は変わっていなかった。上手くなったのはごまかしのテクニックだけだったが、やはり綺麗な手にはなっていなかった。

*ごまかし表現は8千枚描いても変化しない?

そう、ごまかし。うま~く目立たないように描いているが、やっぱりごまかしなのである。手以外がコンパクトでシンプルに、だが力強い表現にまとまっている分、手のごまかし表現が目立つのである。

絵を描けば分かるが、手の表現は難しい。線の入れ方が難しい。関節が多いし立体的にも複雑な形だから。存在しない稜線を線画で表現するという高度な作業。だから手を手っぽく見せるには画力が必要だ。だから手を描かせてみればその人の画力がすぐに分かる。

なので、その人をサンプルにとって考えてみると、どうやら絵は、ごまかし表現を8千枚描いても進歩しない、という結論に達した。

ではなぜごまかし表現にしてしまうだろう。恐らく、手は表現が面倒だから、手を観察して描くのをやめたのだろうと推測。となると、手の観察なしに手らしき物を想像で描くことになる。つまり、インプットなしにアウトプットをする事になる。となると、観察対象は自分の心の中にあるわけだから、現実の○○に似ているか似ていないか、○○らしい表現かどうか、を検討せずに済む。楽だ。

*インプットなしのアウトプットはすぐに停滞する

そんなわけで、インプットなしのアウトプットは、どうやら8千回繰り返しても向上しない、という仮説を立てることにした。もちろんその人が何をどうやりながら8千枚のアニメ線画を模写したのかは分からない。なので推測・仮説でしかない。ただ考えてみると、多分正しい。これを自分に応用すれば、「観察なしに『自分の思う・考える』だけに基づいて創作活動をしても、表現力は向上しない、今ある表現方法の習熟=表現力の頭打ち」なのだろう。ツールの使いこなしに達した時点で、自分の表現力が止まると思っている。

CLIP STUDIO PAINTを100%使えるからといって画力が向上するわけではない。紙と鉛筆の落書き以上に何も発揮されない。

もちろん、最初のうちは無邪気に自分のイメージを表現できることを楽しんで没頭していいと思う。その過程でツールの使い方を覚えることになるし、表現できることの楽しさが分からないと続けられない。

だが、中級者になると、表現力の問題ではなく、表現技法そのもののについて考えないと進歩できなくなる。つまり、現実の物を観察したり、他者の表現技法について頭を使う段階だ。これをやらないと表現力は停滞する。もちろん趣味ならそれでもいい。永遠に自分の世界を表現したい、というのも欲求だからいいと思う。

だが、もし向上させたいなら、それだけでは頭打ちだ。成長の限界が早い。なので、学習というインプットがあって、その学習結果を自分の表現に生かせるかどうかのアウトプットがあって、初めて表現力が向上する。だから初心者だろうが中級者だろうが、表現についてインプットとアウトプットを繰り返さないと、表現力は向上しない。

もちろんお金を稼ぐという手段としての労働ならばインプットなしでコンスタントにアウトプットできるのが最強だ。「インプットの労力ゼロ」で「価値あるアウトプットを量産できる」なら、それが天職ということになる。天才・才能とも言えるだろう。それはそれでアリだ。だがだいぶ例外的なのでここでは割愛。

*飽きるというのはインプット開始のシグナル

ある時期に身に付けた知識をどんな風に駆使できるかは試行錯誤の期間が必要だ。やり尽くすまでとことん実践すればいい。そしてたいていの場合は、飽きる。やれることがすぐにイメージできて手順まで想起できる状態だ。

この状態は技術的に飽和しているので、新たな「何か」を求めるいい頃合いだと思う。オススメなのは「新たな表現技法の模索や学習」と「既存の手順の効率化」の2大柱だ。

新たな表現技法は自分で学ばないと身につかない。それが枯れた手法であっても自分の身に付いていなければ新たな技術である。

既存の手順の効率化は単純によいものを短時間で作るための手段である。浮かせた時間を作れないと新たな技術を学ぶための時間を作れない。

*インプットとアウトプットを億劫に思うなら今の時代のクリエイトに向かないよ

そんな人はアナログな手法で創作した方がいい。絵の具だとか、粘土だとか、陶器作りだとか。デジタルな手法は最初からインプットありきだ。ツールの使い方が既にインプットだし。

もちろんアナログ手法でも自分の表現力の向上についてはインプットとアウトプットが必須だが、自分の手を対象物にダイレクトに触れさせることで、ある程度のインプット(フィードバック)があるから、インスピレーションに繋がりやすい。

だがデジタルツールは、触る物は常に一定だからそういうフィードバックがない。キーボードとペンタブは買い換えない限り不変だ。

*デジタルツールでの創作は言い訳のチャンスが多い

というわけで、言い訳のチャンスが多いのがデジタル創作の罠です。でもね、できない理由に価値が生まれる日は来ない。やらないならやめればいいと思う。娯楽に溢れている時代だ。辛い思いをしてまで創作する必要ってあるのかぃ?できない理由を日記にするのもいいけれど、その時間でGoogleで検索すれば答えが見つかるんじゃないかな?

*もがきながらも楽しんで前進することを文字にする

まぁ、別に誰がどんな情報をどのメディアで発しようとも自由だが、私は他人の「できなかった日記」に興味はない。時間の無駄だからだ。「ここまではできたけれどここからが無理だった日記」は読んでいて面白い。いずれブレークスルーする日が来るのだろうなと思えるからだ。その過程でクリエイトの悩みや葛藤もあるが、前進する意思が感じられるから、そこにポジティブなエネルギーを感じる。

ただ単に「クリエイトの悩みや葛藤」に興味はない。他人事だからどうでもいいし、楽しくない。お好きなだけ悩んで文字にすればいいと思うけれど、前進する意思のない人の意見はつまらない。それだけだ。

*アウトプットは最高の学習効率

よくある話だが、人に教えるつもりで学ぶと最も学習効率が上がる、という話。そうだと思うよ。よく知っていないと説明できないし、説明するためにはきちんと理解していなければならない。もちろん、わざわざ執筆時間をかけてまで人に教える必要はないけれど、メモ書きを公開する程度でもいいと思うけれど、何にしても成果を発表しようと思うと、それだけで行動にメリハリが付く。

今日は何ができて何ができなかったか、を書くだけでも、次回どこから手を付けるべきかが残る。自分が忘れても、自分のコンテンツを見ればそれを思い出せる。自分のコンテンツなら、製作途中を書ける。

ただしTwitterはだめだ。時間の無駄だ。144文字はあまりにも短すぎる。独り言に近い。独り言だと「人に教える」という意識がゼロになるから、記憶に残りにくいし情報整理にも繋がらない。Evernoteに詳細に自分用メモを付けていた方が役に立つ。

*言い訳日記を書くくらいなら早く寝よう

ま、これだな。できない理由に価値はないので、書かずに睡眠時間に充てた方がいい。書くなら進捗日記の方がいい。そうじゃないと、(私は)書いても楽しくないし、読む側も読んでも楽しくないだろう。要らないコンテンツはそもそも作らないのが一番いい。

ネガティブな話になったので元に戻そう。

*インプットとアウトプットをしていればポジティブなネタは毎日ある

「できた!やった!」「できなかった。なぜだ?」この2つは常にある。だからポジティブな日記に困らない。

だから創作活動をするなら、インプットとアウトプットの両輪を常に意識して活動してみてはいかがですか?noteはその過程を書いていい場所です。


今回の創作活動は約30分(累積 約1,113時間)
(353回目のnote更新)

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