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それでも必死に生きようとした貴方から
「僕、この生き方しか知らないもん」
昨晩、一つの記事を投稿し終えてベッドに向かい、寝る際のルーティンとしていつものASMRを聴くためにYouTubeを 開いたところ、一つの動画がトップに飛び込んできた。
特に何か思い当たるような検索をしたわけでもなく、それに関連する動画を視聴した憶えもない。私にとって不意に目が覚めてしまうほどの、突然の出来事であった。
気づけば、スマホを持っていた私の手の親指は、その動画をタップして再生し始めていた。そして冒頭10秒ぐらいでryuchell氏は、オリジン弁当の豚とろ塩丼が好きだということを初めて知ったのであった。
しかし動画内で彼は豚とろ塩丼をやめて、店内に置いてあった惣菜を買ってきている。自宅に戻り、おかずやおにぎりなどを取り出してテーブルに並べながら「人が多かったから時間がかかりそうと思って…」という事の経緯を説明する彼に、どこか人情に溢れるなにかを感じていた。
このときの時刻は、既に深夜1時を回っている。祝日だからといって、健康的な生活を心がけている身としてはずっと起きているわけにはいかない。それにいい加減に眠らなくてはならないにも関わらず、自分の視線はその動画にずっと釘付けになっていた。
動画では「自己肯定感」について語っているが、次に彼が放ったこの言葉が、これまでを含め今もどうにもならない日々を過ごしている自分に突き刺さっていた。
「大人になって自分を好きになるなんて無理さ。
自信のない自分を学生時代から形成しちゃって、
そのまま大人になっちゃってるんだもん」
私もかつての学生時代、周りの同級生たちと比べて勉強も運動もできず、コミュニケーションもまともにとれない自分に対し、嫌気が差してばかりの毎日を過ごしていた。
大事な青春時代を無駄な方へと捧げてしまったおかげで、10代のうちに自信を削ぎ落とされ、自己を肯定するどころか、ありとあらゆる人間らしい感情を次々と欠落してしまったと思う。
そこから20代、30代を経て、それらが自分の中で改善されているかと問われると、必ずしもそうではない。今でも自分が好きではないことに変わりはない。今更になって肯定感を高めることも微塵に思っていない。
だからこそ、そのうえで彼が放った言葉は、改めて自分の心に深く突き刺さったのである。
「キレイごとだけばっかり言うタレントになりたくない。
だからこそしっかりと皆さんの心繋げられるように、
現実味のある発信ができるような大人になりたいです」
そしてすべてを語り終わった直後のryuchell氏は一瞬だけ俯くも、すぐに笑顔を作って動画が終わるまでずっと手を振っていた。
動画は今から3年前に投稿されたものだが、瞬時に見えたあの表情から察するに、ryuchell氏は少なくとも私たち以上に苦しみながら、なお懸命に生きようとがむしゃらになっていたと思う。
芸能界で誰にでも明るく笑顔で振る舞いつつ、その裏で家庭を支え、かつ自分自身を鍛え…。誰も見てないあるいは知らないところで、必死にもがいていたに違いない。
一周忌を経て、突如一本の動画が自分のスマホ画面に舞い降りてきたのは、たぶん…いやおそらく偶然ではなかったと思う。そしてその動画内で見せた彼の、最後の表情がまだ脳裏に焼き付いている。
世の中に蔓延る複数の生きづらさを感じながら、前を向いて歩んできたryuchell氏からの一つのメッセージを受け取ったからこそ、私は私として生きる道を選んでいこうと、ひとりで新たに決意していくのである。
今はまだ自分を愛することができなくても、甘やかしてあげることから始められるようにと。
最後までお読みいただきありがとうございました。 またお会いできる日を楽しみにしています!