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【LDLバディ対談】船上コックと旅館のはなし

LDL(Locally Driven Labs)とは、『まちづくり幻想』『地元がヤバいと思ったら読む凡人のための地域再生入門』『福岡市が地方最強の都市になった理由』『地方創生大全』『稼ぐまちが地方を変える』などの著者で、約20年にわたって全国各地で経営とまちづくりに取組んでいる木下斉さんが所長として立ち上げたラボです。

■船舶調理師=船上コック

私にとって3回目の対談となる今回のお相手メンバーは、船舶調理師である日下伸彦さんでした。父が経営されていたバーを継承し7年。その後、母経営の居酒屋を14年 経営していたが、コロナを機に廃業し、日下さんの師匠である方に現在の船舶調理師を紹介されて現在に至ります。
あたりまえですが、船舶調理師って船上コックの事なんですよね。
船上コックと聞くとやはり思い浮かべてしまうのが、ワンピースのサンジ。
なんだかそれだけでワクワクしてしまうのは私だけでしょうか?
サンジが仲間になるシーンはワンピースの中でもクソ大好きです!
しかも旅館は料理人ととても深い関係性があり、料理人の育成と獲得は重要課題でもあるので、聞きたいことが山ほどありました。なのでテーマは特に決めずにお互いに質問をしあいながら話を膨らませていく形式での進行となりました。

■船上コックさんの世界に興味津々

船上コックさんって何人いるのですか?
最初はこの質問をしました。日下さんの答えは、、、なんと、1人!
日下さん以外にも調理人がいるのかと勝手にイメージしていたのでかなり驚きました。そうすると続いて気になるのは、、、

船員さんって全部で何人いるのですか?
日下さんの乗っている船は商業船という貨物の運搬を行う船だそうで、船員は日下さんも含めて全部で7名との事。
つまり、日下さんは自分も含めて7名分の食事を作っているという事です。
当たり前ですが、船に乗っているから朝昼晩の食事を作らないといけないわけです。それを聞いたときの私の率直な感想は、すごく大変そう・・・です。なぜなら、飲食店だと来るお客さんは変動する(固定客もいますが)のでメニューは固定でもいいと思うのですが、船員は固定されていて何日間かずっと一緒に過ごすのでメニューは変えないといけない。これはもはや家庭料理に通ずるものがあると感じました。そんな事を聞いたらやっぱりすごく気になったので聞いてみました。

朝昼晩のメニュー考えるの大変じゃないですか?
しかし、日下さんは前職で居酒屋経営をされていたこともあり、そこは苦にならないそうです。和食、洋食、中華のジャンルからレパートリーを回しているとの事でした。なんだか興味津々で質問があふれてきてしまいます。
航海に出たら食材管理も非常に大事になるはずで、食材はどのように調達するのか気になるところです。3日に1回は港とまるので買い出しに行けるそうです。当たり前のように陸地で生活しているけれど、航海に出たらきっといろんな不便があるんだろなと思いつつも、先人たちの航海生活に思いを馳せながらおはなしを聞かせていただきました。航海の世界ってなんだかロマンを感じます。
日下さんのTwitterでは、船めし献立をアップされているので是非チェックしてみて下さい(^^)

船めし献立のアップを見ていたら、献立作りに困ったときにすごくいいツールだなと感じました。今後はレシピ公開を有料化にしていけるのではないでしょうか。

■料理人の人材確保について

お互いの話が弾み、話題は料理人の人材確保と育成の難しさに移りました。
船舶調理師の仕事は、どちらかというと社食や給食センターに似ていると日下さんが言われました。それを聞いたときに、最近給食センターや社食に就職や転職を希望する若い子が多いことを思い出しました。
まだまだ飲食サービス業はブラックなイメージが色濃く根付く業界で、調理スタッフも安定志向を求める傾向が増えています。旅館の採用も一番苦労するのはやっぱり調理スタッフです。
日下さんと意見が合致したのは調理スタッフの獲得も二極化しているということ。普通の採用をしているとやはり大手企業に人材が採られてしまう。中小企業や個人店が狙うのは、ピンポイントでバイトなどから雇用して育てていく超家族的な手法。そして中小で成功しているのは後者の手法。木下所長が戦後日本の自営業について言われていますが、今地方に必要なのは戦後のような自営業の手法がかなり参考になるのではないかと痛感しています。所長のvoicyの自営業比率シリーズとお金を出しても美味しいものが食べられない社会の回がとても参考になりますので是非聞いて欲しいです。

■労働環境の改善と賃上げへの飽くなき挑戦

確実に進行している労働力不足。人手不足と嘆く前にやらねばならぬは労働環境の改善です。良い労働環境を整えてこそようやく良い人材が集まる。
低賃金で醜悪な労働環境を脱却しなければサービス産業に未来はない。正しく休みを取って、賃金を上げていく。
生産性向上とは単なる効率化ではないことをしっかりと理解しなければならないのです。日下さんにはホテル八木で取り組んでいる事をおはなしさせて頂きました。

■LDLのメンバーの多様性と学びの深さを再認識

対談を終えて、改めてLDLのコミュニティのメンバーの学びの深さを感じています。船舶調理師と旅館って共通点がないように思われましたが、日下さんとの対談はとても心地良かったです。
LDLのメンバーは普段から木下所長の文献やvoicyをインプットしています。誰かに言われてやるのではなく、自発的に学んでいる。
だからこそ初対面でも深く議論できるし、自分も勉強になる。
遠慮なく質問もできるし、質問にもちゃんと返してくれる。
年齢、地域、職業、本当に多様なメンバーが在籍するLDL。同じ地域で同じメンバーだけだと凝り固まってしまう思考を毎回ほぐしてくれます。
日下さんで3回目のバディ対談でしたが、毎回対談を終えた後、次の対談は誰だろうと楽しみになるのです。

■過去の対談記事

過去対談した田中さん、村井さんの記事も併せて読んでいただけると嬉しいです!

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