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LDLバディ対談 ~学びの巡礼者 又吉章仁さん~

LDL(Locally Driven Labs)とは、『まちづくり幻想』『地元がヤバいと思ったら読む凡人のための地域再生入門』『福岡市が地方最強の都市になった理由』『地方創生大全』『稼ぐまちが地方を変える』などの著者で、約20年にわたって全国各地で経営とまちづくりに取組んでいる木下斉さんが所長として立ち上げたラボです。

毎回とても楽しみにしている対談です。私にとって4回目の対談となるお相手は、又吉章仁さんです。今回は対談相手を希望できるとの事でしたので、私の方から又吉さんを指名させて頂きました。

又吉さんの自己紹介を兼ねたプロフェッショナルスクールの受講報告を是非ご覧ください。↓

又吉さんと対談をしたかった理由は3つあります。

❶金融機関に勤めていること。私も職業柄、金融機関の方とはよく仕事をするものですから色々と他の地方の金融機関の話を聞いてみたいなと思ったのがひとつ目の理由です。
❷そして、仕事をしながら都市経営プロフェッショナルスクールを受講されていたとの事でしたので、スクールではどんなことを学べたのかを聞いてみたかったというのがふたつ目の理由になります。
❸そして3つ目の理由は沖縄在住である事でした。
国内旅行の人気エリアと言えば沖縄か北海道が不動の1位、2位といても過言ではありません。そんな沖縄がどんな観光実態なのかを聞いてみたいと思ったのです。

■現在、銀行ではどんな仕事をされているのですか?

沖縄の地方銀行にお勤めで、融資業務効率化をメイン業務としながら、現在はエコハウスの普及活動を地元の業者さんを巻き込みながら一緒に行っているとの事でした。沖縄はエコハウスの普及が低く、再来年にはエコハウスの基準が義務化されるため、先を見据えて地元の業者さんと一緒にエコハウスについて学んでいました。その学びが楽しくて、休日を利用して断熱ハウスの最先端でやっている人がいる兵庫県西明石市まで視察に行くという驚きの行動力をお持ちです。

自分自身がこり固まらないように能動的に情報を取りに行っていて、沖縄の基地返還の跡地の活用も見据えて震災復興後の神戸市にも視察に行っており、課題の見つけ方や行動力は銀行員というよりむしろ経営者の目線をお持ちで、さすがは都市経営プロフェッショナルスクール生だと感嘆しました。

そうなると一体どのようなことを学んでいるのかがとても気になるところで次の質問をさせて頂きました。

■都市経営プロフェッショナルスクールではどんなことを学ぶのですか?

都市経営プロフェッショナルスクールのホームページをみると、
スクールで学び、 実務者となる。ことがスクールの目的のようです。
具体的には座学で基礎知識や全国各地の事例をインプットし、課題を抽出し実践まで行うことをやっていくという事をやるそうです。
とはいえ、課題を抽出するのは簡単にできる事ではありません。なので座学で様々な実例や知識をインプットし体系立てて頭の中を整理していくことをひたすら行っていくそうです。当然参加者の中には個人差もあるようなので、すべての人がすらすらと実践までできるわけではないようです。
目標設定前の課題抽出力ってなんだかんだで場数が必要だと思うんですよね~。なので疑問をもったらまずは現場を見に行く事をとても大事にされていて、疑問と実際の起こっていることを照らし合わせていく事で物事が立体的に見えるようになってきていると又吉さんは仰っておりました。
そこで終わらず、さらに素晴らしいのは実践まで落とし込んでいる事です。
すでにご自身の所有している物件の活用もすでに実行されており、ちらっと写真を見せて頂きましたが、この物件活用の手法が地域一番店をスカウトし誘致するというまさにエリア再生のお手本をやっていらっしゃいました。いや~本当に行動力がすごい!このすぐやるっていうのが本当に大事だと思います。完成が楽しみです。

■沖縄観光の実態はどうなんですか?

そして最後に気になった沖縄の観光事情について聞いていきました。
まずは直近の沖縄の観光客人数を調べてみまたところ、あわら温泉の直近1年間(2022年)の宿泊客数が42万4千人だったのに対して、沖縄は昨年12月の単月で観光客数が63万5千人でした。この数字を見たときの私の感想は、やっぱり沖縄すげぇ!でした(笑)

令和3年度 沖縄県入域観光客統計概況より

エリア別で入込数をみてみると、約半分は東京方面からでした。

令和3年度 沖縄県入域観光客統計概況より

又吉さんはお子さんを連れて一緒によく空港に行かれるようで、この数字と又吉さんが実際に体感している感覚にずれが生じていないか聞いてみたところ、全国旅行支援の影響もあって集客はかなり戻ってきているのは間違いないようです。また、羽田空港からのフライト時間は2時間35分~2時間45分とのことで、移動時間を3時間切るというところがまた絶妙だなぁと思いますね。ちなみに、大阪、名古屋からのフライトは約2時間なので、これってもう3大都市圏からの移動時間は福井県に行くのと変わらないんですよね。

又吉さんの分析では沖縄の集客の強さには大きく3つの要因があって、一つ目は航空インフラの整備がされていること、二つ目は宿泊施設がかなり増えたこと、三つめは安定した国内のリピーター客と約3割のインバウンド客(コロナ前基準)がある事だそうです。以外だったのは冬場に集客が多い事でした。コロナ前の集客も気になったので調べてみました。

平成30年度 沖縄県入域観光客統計概況より

地方観光の課題のひとつに繁閑の差が激しいことがありますが、コロナ前の沖縄は繁閑の差がほとんどありません。
ちなみにあわら温泉の入込客数をみると8月に偏っています。

あわら温泉月別の入込客数比較

話を戻しますが、沖縄の入込推移をみていると意外だったのが、冬場も集客が多い事でした。自分の勝手なイメージでは沖縄も夏に集客が偏ると思い込んでいたので、これには驚きでした。又吉さんのお話によると9月、10月は台風が上陸するので集客は少なく、11月~6月には多いのは、リピーター客の利用が多いようです。また、12月は修学旅行、2月はプロ野球やJリーグのキャンプ、3月には卒業旅行と何かしらの旅行のきっかけをしっかり結び付けて集客に成功していることがわかりました。
ただ、消費単価でみると月によってかなりばらつきが出るのではないかと指摘されており、冬場などはかなり料金を下げて集客しているようです。

木下所長もVoicyで解説されていますが、こんなに集客があるにのもかかわらず、沖縄経済には課題が多くあるようです。このちきりんさんとの対談は是非聞いて頂きたいです。続々と新設されているホテルも外部の資本が多く、マネージャークラスの採用は県外や海外からくるので、観光従事者の所得はなかなか上がらないのが実態。

又吉さんに教えて頂いた記事を読みましたが、地元の若い人もホテルで仕事をしたい人というのがほとんどいないようです。この問題は沖縄に限らず、宿泊業全体の課題です。観光業はスタッフの賃上げを行っていくかという事から目を背けてはいけないのです。

観光を取り巻く 現状及び課題等についてより抜粋

■対談を終えて・・・

今回の対談は2回にわたって行わせて頂きました。
1回目の対談で又吉さんのお話を聞いたうえで沖縄の観光について調べていくと表には見えない部分で多くの課題があることがわかると同時に、自分のエリアの課題も沖縄と企画すると整理されて、非常に内容の濃い対談となりました。
私は大学時代に1度だけ沖縄に行ったことがあります。しかも台風の時期に行ったものですから、観光の思い出より、台風で帰れなくなったという思い出の方が強く残っています(笑)
当時はまちづくりとか観光の視点などありませんでしたので何も感じませんでしたが今回感じた課題をもって沖縄に行くと見え方が全く違ってくるんだろうなと思います。
移動距離は成長に比例するとはよく言いますが、今回の対談で又吉さんの学びに対する貪欲な姿勢と、圧倒的な行動力にものすごく刺激をうけました。まさにラーニングジャーニーの実践者でした!
そんな又吉さんに素敵な称号がないだろうかと思い、CHATGPTにこんな質問をしてみました。

ラーニングジャーニーを実践している方に素敵な称号はありませんか?

「学びの巡礼者(Learner Pilgrim)」という称号はいかがでしょうか?「巡礼者」は、宗教的な旅行をする人を指す言葉ですが、「学びの巡礼者」としては、学びの旅に出かける人を表すことができます。この称号は、学びに対する熱意や探究心を象徴すると思います。また、「旅」のイメージから、学びの過程での成長や発見が含まれているとも解釈できます。

しっくりくる!(笑)
学びの巡礼者 又吉章仁さん。本当に実りのある対談の時間を頂きありがとうございました!次はリアルでお会いできるのを楽しみにしております!

Locally Driven LABs ではメンバーが様々な記事を書いています。
過去の対談記事も読めますので、ぜひ下記をクリックして記事を読んでみてください!

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