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スタートアップが「良い採用」を実現するための、3つの大切な意志

今回は採用活動の中でも特に大事な、「良い採用」を実現するために経営者が忘れてはいけない“3つの強い意思”について書きます。

とても基本的なものと感じるポイントが多いかもしれませんが、これらを徹底するだけでもスタートアップの採用にありがちな失敗の大部分を防げるはず。ぜひ確認してみてください。


「目先の課題を解決し、早く前に進みたい」という焦りに打ち勝つ

スタートアップの場合、初期のフェーズではとにかく人材が足りません。あらゆる業務を兼務で回していることがほとんどです。経営者も組織づくりから営業まで、常に走り回っていることでしょう。

そんな状況下で、「目先の課題を解決してくれる人材かどうか」だけに目を向け、採用ハードルを下げてしまうケースがとても多く見られます。

これをやることの問題は、自分の「忙しさ」が解決されるため、一見、採用活動がうまく進んでいると勘違いしてしまうことです。

求める人材についての「等級表」を用いてイメージするとわかりやすいと思います。

出典:【給与決定の基礎】アーリーステージの給与プロセスを、採用・評価の専門家である金田宏之さんが解説

あるポジションで、マネージャー候補になりうる人材を探していたとします。

もちろん当初は6等級の候補に絞って探しはじめるのですが、気づけばいつの間にか「目先の課題」を解決できる4等級の人材の採用にフォーカスしていた、というミスがスタートアップにはありがちです。

なぜこのようなことが起きるのでしょうか。

それはどうしても日々発生する直近の課題解決にとらわれてしまうからです。営業でいえば、全体の戦略を指揮できるマネージャー候補を欲しているのに、毎月の売上を埋めてくれる即戦力のメンバーに目が向いてしまうのです。

残念ながら、この失敗はすぐには気づきません。入社いただいた当初は目先の課題が解決され、組織が成長したように感じるからです。

しかし、長期的には「メンバーの成長が伸び悩んでいる」という形の見えない課題につながっていきます。

6等級の人材を期待するうえで、5等級の人材に成長を求めるのと、4等級の人材に成長をもとめるのでは到達に必要な時間がまったく異なります。

出典:【給与決定の基礎】アーリーステージの給与プロセスを、採用・評価の専門家である金田宏之さんが解説

採用を成功させるために大事な意志の1つ目は、「目先の課題解決を急ぐあまり、決断を焦らないこと」です。

◯:将来を見据えた高い水準で採用を進める強い意思を持つ
× :目先の課題を解決するために近視眼的な基準で採用する

「これ以上良い人材に出会えないのでは」という不安に惑わされない

これは初期の起業家が抱えやすい課題です。

少し先をいくスタートアップ企業と比較してしまったり、何度か内定辞退が続いてしまったりすると、採用力に自信を失ってしまう経営者が多いようです。

その結果、本来採用したい人材像よりも少し期待値に届かない人材と出会った際に、「いまこの方を採用しなければ、もう当分機会はないのでは…」という不安にかられてしまうのです。

本当にその人を採用すべきか否か、常に明確な基準と冷静な意志を持って判断するのが重要です。

そのために大切なのは、「本当に正しいペルソナを設計できているか」「ペルソナに出会うための十分な行動量は足りているか」この2つにしっかり向きあうこと。

ペルソナが正しく設定できていなければ、そもそも本当に出会いたい人材になかなか会えなかったり、出会っていても気づかないといったことが起きます。そして経営者自身がそのペルソナを十分理解できていなければ、オファーを承諾してもらうことも難しいでしょう。

自分たちの採用力に対して自信を失ってしまっているとしたら、それはそもそもペルソナ設計を誤って設計してしまっている可能性が高いです。

ペルソナ設計に必要なのはこれらの項目です。

ポイントは、まずは具体的に解決したい課題を”具体的に”特定することです。意外と多いのが課題を特定せずに、いきなり採用をスタートしてしまうこと。

「何となくこれからのことを考えるとCOOがいた方がよいかも…」

こんな曖昧な理由で採用活動をスタートしている企業が実は案外多いです。特に職種の定義が曖昧なCOOをはじめとした、CxOなど上流の職種の採用でありがちです。

同時に気をつけないといけないのは、目先に課題解決にとらわれず、課題が解決したその先もしっかりとイメージすることです(「3」の内容 )。

ここまで整理できれば、あとは「先ゆく企業」からペルソナになり得る方を見つけてみることです。ポイントは実在する人物をペルソナにおくこと。

具体的な人物がなかなか見当たらない場合は、エージェントやお知り合いの人事に1〜4の情報を伝えると、何人かペルソナになりうる人材を挙げてくれるはず。

ペルソナが正しく設計されているのであれば、あとは行動量です。採用をうまく進めている会社は、経営者が自分の時間の8割近くを採用に費やしているとも言われます。

「これ以上良い人材に出会えないのでは」という不安に惑わされないためには、それを払拭するに足る行動量が大切でしょう。

◯:正しいペルソナ設計と行動量で、基準を満たす採用活動を徹底する
× :「他に良い人材に出会えないのでは」という不安から安易な決断をする

「面接が苦手」という悩みをひとりで抱えない

とはいえ、起業してはじめて採用活動にかかわる経営者も少なくありません。そのような場合、往々にして「面接に自信が持てない」という方も多いものです。

しかし面接というものは、結局のところ「見極め」「惹きつけ」の2つの要素で成り立っていることを理解しておくといいでしょう。

採用活動に苦手意識を持つ経営者のほとんどは、人材をどう見極めたら良いのかという「見極めの要素に対して不安を持っています。

一方で、求職者の方に自社の魅力を伝える「惹きつけ」の観点では、みなさんとても素晴らしく、魅力的な惹きつけができています。

もちろん慣れていない方もいらっしゃいますが、場数が足りていないだけ。何度か面談を繰り返せばすぐにできるようになります。

ちなみにコツは何かというと、営業活動でお客さまに自社のサービスの魅力を伝えるのと同じ捉え方をすると、すんなり理解でき、かつすごい熱量で「惹きつけ」をなされる方が多いです。

※この「惹きつけ」のポイントについては、こちらのBlogにまとめているのでご覧ください。

さて、問題となるのは多くの方が苦戦する「見極め」です。

具体的に何をどのように見ればいいのか、そこからわからないという方もいると思います。

※ここは書き始めると長くなるので、次の機会に解説します。

この「面接における見極め」の部分は、外部の協力を得ながら質問項目を作ってもらったり、面談に同席してもらったりして、徐々に自分なりの型と経験をつくっていくのも近道です。

得意な方や専門家に協力を仰いだり、任せたりすることも1つの手段として上手く使い分けていく。「苦手意識をひとりで抱えない意志をもった経営者は、採用活動を上手く進めています。

採用に関わる事柄はプライバシーにも関わるので、なかなか人と共有しづらい部分もありますが、その方法論についてはいろんな方からアドバイスが得られるはず。

ひとりで抱え込まず、専門家に必要に応じて意識的に相談する意思を持つことをオススメします。

◯:苦手意識を抱えない。まずは「価値観」の見極めから挑戦し、
  自身がない点は積極的に専門家を頼る
× :苦手意識を抱えて、解決しないまま採用活動を進めてしまう

今回は私がVCで採用に関わるなかで気づいた、「良い採用を実現する大切な3つの意志についてご紹介しました。

勇気をもってこの3つの意志を徹底するだけでも、採用が間違いなく良い方向に変化していきます。自社の採用を成功させるために、もう一度見直してみてはいかがでしょうか。

SaaS企業の経営者・責任者の皆さんと「採用」に関わる情報交換をしたい。

最後に、ちょっとしたお誘いです。

2024年は私自身のテーマとして、「SaaS業界の採用の失敗を少しでもなくす」をモットーに自分をアップデートしていきたいと考えています。

そこでこれまで接点のなかった、SaaS業界で採用に挑戦中の経営者や、部門の採用をリードする部門責任者の方々とも積極的に情報交換できればと思います。

採用相談の壁打ち」「採用トレンドの紹介」「採用手法などのご提案」など、いろいろざっくばらんにお話しませんか。

私からも積極的に情報提供をしながら、皆さんの直面する採用課題や成功事例などヒアリングさせていただきたいです。

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< 条件 >
・SaaS企業の経営者もしくは、部門責任者の方
・テーマは「採用」に関わることだと何でもOK

< 得意なテーマ >
・CxO、VP採用に関わる相談
・面接フローの設計 / 面接力向上
・CxO、VPクラスのキャリアに関わること


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