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政治講座ⅴ585「米国の政治的報復は韓国と50歩100歩」

韓国の大統領は退任後に刑務所行きになるケースが殆どである。韓国大統領の権力の座から降りたときに大変な報復を受けるのである。トランプ氏の報復で「バイデン大統領」の弾劾は果たしてあるのであろうか。「バイデンジャンプ」の証拠固めであり得る。今後の展開を早く見てみたいものである。」

         皇紀2682年11月11日
         さいたま市桜区
         政治研究者 田村 司

共和党の下院奪回が招く米議会の「機能不全」 バイデン大統領「弾劾」の可能性が高まる

渡辺 亮司 2022/11/11 06:30

© 東洋経済オンライン 中間選挙後にバイデン政権に対する逆風が
強まる(写真:2022 Bloomberg Finance LP)


11月8日に行われた中間選挙の開票作業はまだ終了していないが、下院では共和党が僅差で多数派を奪還するとの見方が支配的だ。上院も大接戦で先行き不透明であり、12月6日実施のジョージア州決選投票で勝敗が確定する可能性もでてきた。

現在の大方の予想通り共和党が僅差で下院に勝利した場合、2023年1月開会の次期連邦議会「第118議会」では、トランプ前大統領を強力に支持する「MAGA(Make America Great Again、アメリカを再び偉大に)共和党員」が影響力を拡大する。

下院選挙ではマージョリー・テイラー・グリーン議員(ジョージア州第14選挙区選出)やマット・ゲイツ議員(フロリダ州第1選挙区選出)をはじめ多数のMAGA共和党員が再選を果たした。2020年大統領選の不正を訴えるマイク・コリンズ次期下院議員(ジョージア州第10選挙区選出)やアンナ・パウリナ・ルナ次期下院議員(フロリダ州第13選挙区選出)なども初当選し、議会ではMAGA共和党は一大勢力となる。

バイデン政権の責任追及に大半の時間を割く

とりわけ動向が注目されるのが、MAGAの多数が所属する超保守派議員連盟「フリーダムコーカス」だ。

フリーダムコーカスには約35人が所属しているとされており、彼らが下院共和党指導部を揺さぶる公算が大きい。その結果、共和党によるバイデン大統領および政権高官に対する報復が始まり、議会の大荒れになるのは必至だ。

次期下院議長就任が有力視されているケビン・マッカーシー下院共和党院内総務は、9月末、「アメリカとの約束」と題し、(1)強い経済、(2)安全な国造り、(3)自由に基づく将来社会、(4)責任を果たす政府といった次期議会で共和党が取り組む公約4本柱を打ち出した。

2024年大統領選に向け、共和党指導部は民主党に対抗する政策の議論を目指しているかのように見える。だが、この中で共和党は4点目の責任を果たす政府との名目で、バイデン政権の過去2年間の責任追及に大半の時間を割くことが想定される。

マッカーシー院内総務が同公約を発表したわずか3日後、ゲイツ下院議員は共和党が多数派を奪還した後、「まずは(バイデン大統領・閣僚の)調査が最優先」とし、本来、議会の役目である政策立案については「優先事項としては相当低いところにある」と語った。

ある元連邦議会議員は、今日の議会は政策議論の場ではなく、ソーシャルメディアを通じ自らの支持基盤にアピールする場となっていると筆者に語った。次期議会ではますますその様相を強め、議会は劇場と化すであろう。

そもそも、共和党単独で提出する法案は上院で阻止されるか、大統領の拒否権が発動されるため、法制化することはほとんどない。あくまでも2024年大統領選に向け、共和党はメッセージを発信することを目的とした廃案の運命にある法案を提出することになる。

トランプ弾劾に対する報復が始まる

次期議会で、まず共和党指導部はバイデン大統領の各種問題を洗い出し、調査委員会を設置するであろう。バイデン政権閣僚そしてバイデン大統領の弾劾を望むMAGA共和党員を抑えるためにも、共和党指導部は同委員会設置が不可欠だ

開会当初、マッカーシー次期下院議長をはじめ指導部は、MAGA共和党員が求める弾劾手続きの審議に反発する可能性が高い。マッカーシー氏は10月、バイデン大統領の弾劾の可能性について、「国民は政治目的で弾劾が利用されることを望んでいないと思う」とメディアに語った。現状、下院共和党議員の大半は弾劾手続きを望んでいないのは確かであろう。

だが、いずれ支持基盤からの圧力により、フリーダムコーカスを中心とするMAGA共和党員は弾劾手続き開始を指導部に押し迫り、指導部はその圧力に屈することになるであろう。

アメリカ合衆国憲法上、「反逆罪、収賄罪、その他重大な罪や軽罪」を理由に大統領などを弾劾そして罷免できることが定められている。弾劾は共和党と民主党の双方の政治的ツールとなっており、日本のように議院内閣制をとる国の内閣不信任決議のような意図で乱発されつつある。弾劾理由の詳細は規定されていないため、多数党である共和党が政治的判断で弾劾することが可能だ。

前出のゲイツ議員バイデン大統領と閣僚の弾劾手続きを始めなければ「有権者は裏切られたと感じる」と主張。昨年末、自らのポッドキャストで共和党のテッド・クルーズ上院議員は「雌ガチョウにとって良いことは、雄ガチョウにとっても良い(目には目を、歯には歯を)」と語った。

同氏は共和党が下院を奪還した場合、共和党は史上初めて2回も弾劾されたトランプ前大統領の報復措置としてバイデン氏を弾劾する可能性を予想した。

さらには各種司法問題を抱えるトランプ氏が連邦政府などに起訴されれば、報復措置として弾劾を後押しするであろう。したがって、現在も事実上共和党のリーダー的存在であるトランプ氏のトップダウンによる強力な圧力もかかることになる。

マッカーシー次期下院議長の前任となるジョン・ベイナー氏とポール・ライアン氏といった共和党出身議長2人はいずれもフリーダムコーカスによって議長職を追い出された。その教訓から、マッカーシー氏はMAGA共和党員を敵に回すことを避けるであろう。

ベンガジ調査委員会の再来

共和党が真っ先に弾劾を狙うのはアレハンドロ・マヨルカス国土安全保障長官だ。2024年大統領選に向けて支持基盤の関心が高いことが見込まれる移民政策を担う同長官を議会に召喚し、テレビ中継の公聴会で「口撃」するであろう。その後、弾劾手続きに入る公算が高い。

共和党はアフガニスタン撤退の失態パンデミック対策などの公聴会も実施し、バイデン政権の責任追及をする。アントニー・ブリンケン国務長官やハビエル・ベセラ保健福祉長官なども、弾劾候補の閣僚として共和党の一部は語っている。

2016年大統領選前、民主党のヒラリー・クリントン候補の国務長官時代の失態を追及したリビア・ベンガジのアメリカ総領事館襲撃事件に関する独立調査委員会を彷彿させる。次期議会は「ベンガジ2.0」と化す。またバイデン大統領の次男ハンターの海外ビジネスについて、副大統領時代のバイデン氏が便宜を図った疑惑がないかなど公聴会などを通じ共和党は追及していくことが必至だ。

閣僚に始まり、いずれ大統領の弾劾手続きに入る可能性もある。共和党有権者のうち6割以上がバイデン氏は不正に2020年大統領選に勝利したと捉えている(モンマス大学調査、2022年9月)ことからも、下院共和党が弾劾手続きを始めるのは当然の流れでもある。

とはいえ、下院での弾劾の後3分の2の賛成票を必要とする上院での有罪判決は容易ではない。自らの再選目的にウクライナ政府に圧力をかけた疑惑や2021年1月6日議会襲撃事件を通じた実質クーデター未遂の弾劾でも、上院でトランプ氏は無罪判決が下された。二極化社会の今日、反対政党による魔女狩りとして国民を説得し自らの政党で団結を維持すれば、大統領は罷免を逃れることが容易だ。

大統領を罷免できないといった結論は見えていることからも、共和党の真の狙いは2024年大統領選に向けてバイデン大統領そして民主党に対する国民の信頼を蝕むことであろう。

有権者からしっぺ返しをくらうリスク

彼らが気をつけるべきことは、共和党は支持基盤からの圧力で弾劾手続きを開始せざるを得ないとしても、次期選挙で有権者からしっぺ返しをくらうリスクだ。1998年、共和党はビル・クリントン大統領(当時)を弾劾。しかし、その後の中間選挙では、有権者が過度な共和党の行動に反発し、下院で民主党が議席数を増やした。2024年、同じことが起こりうる。

現状、バイデン大統領あるいは政権幹部が憲法上の弾劾要件に該当するものが見つかるかどうかは怪しい。共和党が過度な追及で立法などの本業を怠っていると国民が受け止めれば、2024年大統領選で民主党を手助けすることになるであろう。


参考文献・参考資料

共和党の下院奪回が招く米議会の「機能不全」 バイデン大統領「弾劾」の可能性が高まる (msn.com)

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