政治講座ⅴ889「ロシアの求心力低下傾向」
帝政ロシア、旧ソ連、ロシア連邦、を俯瞰して、盛者必衰を感じる。必衰する姿が目の前のロシアである。
今回は報道記事から衰えていく「阿鼻叫喚」するロシアの姿を垣間見よう。
皇紀2683年3月2日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
「あすはわが身」沈黙破る旧ソ連圏=思惑裏腹、ロシア求心力低下―ウクライナ侵攻1年
ロシアのプーチン大統領は、ソ連崩壊を「20世紀最大の地政学的惨事」と呼んだ。西側諸国が懸念する「大国の復活」は目指さないとうそぶくが、帝政ロシア以来の「版図」で軍事・経済ブロックを強化してきたのが実情だ。勢力圏死守のためにウクライナに侵攻したが、プーチン氏の思惑と裏腹にロシアの求心力は低下。旧ソ連構成国の中には侵攻に関し「あすはわが身」と感じる国もあり、相次いで沈黙を破り始めた。
◇「カザフもなかった」
ウクライナやモルドバなどは欧州連合(EU)加盟を目指し、脱ロシアが顕著なのは不変。侵攻開始後の1年間で顕在化したのは、運命共同体とみられた親ロシア国の微妙な変化だ。
「(ウクライナ東部ドンバス地方の独立は)認めない」。中央アジア・カザフスタンのトカエフ大統領は昨年6月の国際会議で、プーチン氏を横に断言した。「偽の住民投票」(欧米)に基づくロシアへの一方的な「併合」は同9月。トカエフ氏は「民族自決」が無制限になれば、地球上に600もの国が誕生して大混乱に陥るとロシアを戒めた。
背景にあるのは、プーチン氏に対する根強い不信感だ。「ロシアがウクライナをつくった」という身勝手な歴史観を持つプーチン氏は2014年に「(ソ連崩壊まで)カザフに国家は存在しなかった」と発言した。カザフはロシア系住民を抱えており、今回の侵攻はひとごとではない。ロシアの核威嚇も旧ソ連核実験場の被害が残るカザフとしては容認し難い。
今冬、空爆で電気や暖房を失ったウクライナ国民にカザフから円形テントが寄贈された。ロシアが「説明を求める」(ザハロワ外務省情報局長)と不快感を示すと、カザフ側は「民間の活動だ」と突っぱねた。
◇相次ぐ苦言
中央アジアの最貧国タジキスタンのラフモン大統領は昨年10月の会議で、プーチン氏に向かって「小さな民族だが、歴史も文化もある。尊重してほしい」と訴えた。経済発展に協力してこなかった「旧宗主国」への苦言。プーチン氏は最近、欧米への対抗軸として「反植民地主義」を掲げているが、ラフモン氏にロシアの問題点を指摘された。
一方、ウクライナ侵攻でロシア軍は外国駐留部隊もかき集めており、旧ソ連圏で存在感の低下が著しい。南カフカス地方ではナゴルノカラバフ紛争が昨年9月に再燃。アルメニアのパシニャン首相は同11月、「アゼルバイジャンの侵略を防げなかったのは残念だ」として、ロシア主導の軍事同盟に疑問を呈した。アルメニアは今年予定された軍事同盟の演習に関し、自国での開催を拒否した。
欧米はウクライナへの主力戦車供与を決め、ロシアは長期戦を視野に入れる。仮にプーチン政権が親ロシア国の参戦を求めたくても、ドンバス地方などの「併合」を認めた旧ソ連構成国はない。戦争協力するベラルーシも派兵までしておらず、軍事同盟は「機能不全」に陥っている。
ロシアがベラルーシを吸収?:内部文書リークで判明したプーチン政権の計画
Zeleb.es によるストーリー •
2030年までに国家統合?
プーチン大統領の側近が記したとされる文書が流出、2030年までにベラルーシをロシア連邦に統合する計画があるらしいことが判明した。
「ベラルーシ併合の概要」
両記者によれば、「この文書には、欧州の非自由主義国家として独立を保っているベラルーシを、ロシアが近いうちに政治・経済・軍事的な手段で併合する計画の全容が詳述されている」という。
最終的な目標は?
2021年に作成されたこの内部文書によって、プーチン政権は最終的な目標として2030年までにロシアとベラルーシの政治的な統合を推し進めることを掲げているらしいと判明。
ロシアとベラルーシの政治的統合
前出のMichael Weiss記者とHolger Roonemaa記者は、両国の統合に関してどのようにベラルーシの法体系をロシアの法体系に適合させるかといった課題について多くの議論が交わされていることがわかる、と指摘した。
国家統合の狙いは?
また両記者によれば、ベラルーシとロシアは新たな同盟関係を通じて国防や外交政策といった面で連携を図るほか、貿易や経済政策における協力を通じてロシアの権益を確保し、一帯におけるロシアの覇権を広げることを目指しているとされる。
ベラルーシの主権を停止
しかし、同記事によれば「これは実際には、ベラルーシにわずかばかり残された主権を取り上げるということであり、930万人の人口を抱えカンザス州ほどの広さを持つこの国をロシアの衛星国の地位に落とすことに他ならない」という。
ベラルーシ政治にロシアが介入
同記事はまた、「農業や産業、スパイ活動、戦争といった政策について、ベラルーシはロシアの意向に振り回されることになるだろう」と付け加えている。
近隣諸国にとっては脅威
ベラルーシとロシアの新たな同盟関係は、両国と国境を接するNATO諸国、つまりラトビア、リトアニア、ポーランドにとって大きな脅威となりうる。
再確認に過ぎない
ただし、同記事によれば、「今回明らかになったプーチン政権の国家戦略について、一部の専門家たちはロシアとベラルーシが以前から公言してきた内容を再確認したに過ぎないと見ている」とのこと。
想定外の早さ
政治アナリストたちは以前から、ロシアが政治的・文化的影響力を利用して最終的にベラルーシを吸収するのではないかと懸念していたが、それが近いうちに現実のものとなるとは誰も予想していなかった。
エストニアの元スパイ
一方、エストニア対外情報局のRainer Saks元局長はYahoo Newsに対し、「全体としては、ロシアの対ベラルーシ政策として誰もが予想していたものと変わりません」とコメント。
「なぜそれほど時間がかかるのか?」
Saks元局長いわく:「もちろん、ロシアはベラルーシを支配するでしょう。しかし、そのためにベラルーシの独立まで奪う必要があるかというのは疑問です。私としては、2030年という遅すぎる期日は驚きです。ロシアがそんなに待たなくてはならない理由はないのですから」
ベラルーシの野党指導者は?
ベラルーシの反体制派指導者で亡命中のスヴャトラーナ・ツィハノウスカヤは、今回の内部文書リークで明らかになった国家統合計画について、ベラルーシと同国市民に対する脅威だとして反対の立場を表明した。
ツィハノウスカヤのコメント
ツィハノウスカヤいわく:「これは対等な国家統合ではありません。ロシアがベラルーシを吸収するという筋書きなのですから」
ベラルーシに民主主義を取り戻す
ツィハノウスカヤはさらに、「私たちの目標はベラルーシに民主主義を取り戻すことです。しかし、ロシアとの国家統合では達成することができません」と付け加えた。
ルカシェンコ大統領のコメントは?
ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は今のところ、今回リークされた内部情報についてコメントをしていない。しかし、同大統領はこれまでロシアおよびプーチン大統領に忠実に振舞っており、なんらかの反応はあるものと見られている。
中国、ベラルーシ首脳が共同声明採択
共同通信社 によるストーリー • 昨日 20:13
北京で会談した中国の習近平国家主席とベラルーシのルカシェンコ大統領は1日、両国の戦略的パートナーシップの発展に向けた共同声明を採択した。ベラルーシ国営ベルタ通信が伝えた。(共同)
参考文献・参考資料
「あすはわが身」沈黙破る旧ソ連圏=思惑裏腹、ロシア求心力低下―ウクライナ侵攻1年 (msn.com)
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