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政治講座ⅴ1798「中国の銀行員の受難の時代」

 資本主義経済の中心は金融業であると言われて銀行に入行して、銀行業務46年間、護送船団方式から金融自由化へと銀行も変貌をした。紆余曲折を経て、銀行の倒産や銀行の合併も経験した。今度、福沢諭吉氏から渋沢栄一氏の変更される。実は吾輩は渋沢栄一氏が設立した第一銀行に入行した最後の年度(昭和46年)の行員である。その後、第一勧業銀行からみずほ銀行へと合併を繰り返した。このような弱肉強食の金融界で生き残り競争を経験してきたのである。
 翻って、現在の中国の経済状態と中国金融業界を俯瞰すると、日本が経験したこと以上の受難(隠れ債務)が待っているようである。
 そして、習近平氏の「中国経済の光明論」に従えば、経済が悪いことを隠し、都合の良いことを報道機関に指示し、従わなければ罰するという刑罰を科している。今報道されている以上に実態は悪化して、捏造報道が繰り返されているようである。だから、正確な統計は望めそうもないが、経験に基づく推測を交えて話すと、中国は二度と立ち直ることができないほど経済は疲弊している。中国共産党が解体されて、今の中華人民共和国を構成する民族に分割独立の上に新たに国家再建を立ち上げなければならないと考える。国家の財政の破産・清算・配当分配などの強硬手段を取らざるを得ないと考える。
今回は少し真実らしい報道記事を紹介する。

     皇紀2684年5月29日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

蛇足:新旧の紙幣(見本)

(上)新紙幣 (下)旧紙幣

中国の銀行員に「減給の嵐」、“残るも地獄、去るも地獄”の現実―中国メディア

Record China によるストーリー

中国では銀行員の給料が激減している。職に留まっても給料がさらに下がる可能性は否定できない。離職にはリスクが伴う。一時は「この世の春」を謳歌した銀行員が厳しい状況に直面している。© Record China

中国メディアの澎湃新聞はこのほど、中国の銀行では職員の給料が激減している話題を紹介した。銀行に残っても、賃金がさらに下がる可能性は否定できない。「これではやっていけない」と離職する選択肢もあるが、リスクが伴う。いずれにせよ、一時は「この世の春」を謳歌した銀行員は、厳しい状況に直面している。

幹部の発言とは裏腹に改善待遇は期待できない状況

中国西部のある地方銀行で顧客マネージャーを務めるZさんは、保険料などを差し引いた5月の給料の手取り額が1000元(約2万2000円)に満たない計算になった。4月には2000元を超えていたから、半減以下だ。Zさんの手取り給料は、過去には1万元(約22万円)を超えることも珍しくなかった。

中国のインターネットSNSでは、銀行業界の賃金引下げを論じる投稿が激増し、あるSNSでは閲覧回数が100万回を突破した。上海に拠点を置いて関連企業や一般向けに金融情報を提供するWindによると、2023年にはA株上場銀行の42行のうち14行が行員一人当たりの報酬を引き下げた。下げ幅は最大で13.95%だった。

鄭州銀行の趙飛董事長(会長)は業績説明会で、資源の最適化とコスト削減と効率向上を実施すると述べ、役員報酬は24年から2年に分けて毎年10%引き下げ、現場の行員の賃金を引き上げるなどで収入格差を圧縮すると説明した。

しかし現場行員の説明では、手取り賃金の増加は望めそうにもない状態だ。前出のZさんによると、担当する業務のうちで預金関連では、預金を獲得するたびに「歩合」が得られる。しかし金額は以前に比べて9割以上も下がった。

給料減額のあの手この手の仕組みが


また、Zさんが務める銀行では、毎年の業績給のうち一定割合は翌年以降に支払われる。この方式自体は労働契約に明記されているが、今年の場合は契約の基準より減額された状態が続いている。銀行側は、減額分は後で支払うと説明しているが、具体的な時期は知らされていないという。

Zさんによると、銀行側の業績考課の方式も変更された。複数のタスクが設けられるが、かつては一つのタスクが未達成でも他のタスクが超過達成していれば、差し引きで計算されるので、全体としてタスク達成と認められることがあった。しかし現在は、差し引き計算は行われていない。また、銀行側が達成困難なノルマを設けるようになった。

また、個人融資関連の業務でも、契約を獲得すれば数百元を得ることができるが、不良債権が1件でも出ると、給料が半年連続で減額される。銀行側は融資業務を伸ばすために「大胆に融資せよ。不良債権を出しても責任を問わない」と言っているが、とても信用できないという。Zさんは、務めている銀行について、貸し倒れ率はこれまでとほぼ同様だが、貸し倒れ件数は増えており、新規貸し倒れの多くが個人向けの小口融資と説明した。銀行側が融資を伸ばせと求めても、初めて会った人が優良顧客かどうか見極めるのは極めて難しいいので、自分自身のリスクを考えれば、上からの求めに応じることは「基本的に不可能」という。

また、銀行の企業向け業務でも収益性は落ちている。銀行間で優良企業の顧客を奪うためには、貸出金利を下げるしかなく、顧客を引き抜くために、企業に対する与信枠を大きく設定し、低い金利で融資を出す銀行もあるという。Zさんは、多額の融資を行うことはできるが金利が低いために収益にはつながらず「仕事を回しているだけ」と説明した。

本社との関係もあり人件費を縮小せざるをえない支店の事情

現場の行員の給与水準の低下について、国有系大手銀行の中国南部にある支店の責任者であるWさんは、本社の上級管理部門による分配の方式に関係すると説明した。本社は各地方支店に対して、設定した基準を達成できたかどうかで、利益の還元を行う。しかし現在は経済悪化のため地方支店の基準達成は困難で、本社から地方支店に還元される報酬が減少した。このことが行員に対する報酬の総額に影響が出ている。

また、本社から地方に対する「還元」の計算方式も変更された。Wさんによると、かつては支店が利益を1万元(約22万円)増加させれば、本社から200元(約4300円)が還元された。しかし現在では還元額が180元(約3900円)になった。このため、行員が以前と同じ実績を達成しても、給与は減額される可能性があるという。

若手行員は「新天地」を目指しベテラン行員は残留

銀行員の多くは、今の職を続けるか、銀行を出て別の職に就くのかを考えざるを得ない状況だ。一般的に言って、若い人は銀行を去る傾向が強い。若手の行員は激務をこなさねばならない割に報酬は低いという状況が関係しているとみられる。

昨年に大学を卒業して銀行に就職したYさんは、離職の道を選んだ。勤務していたのは中国東部にある銀行店舗で、在職した9カ月間の月給は2000元(約4万3000円)前後だったが、このままではローンの返済が困難だからだ。退職を申し出たのは今年4月で、入行当初の行員に支給される「スタートアップボーナス」の権利も放棄した。Yさんは現在「ある試験」の準備をしているという。Yさんによると、彼女と同期の新卒行員6人のうち、すでに4人が退職を決めた。

一方で、年配の人は銀行に留まる場合が多いという。まず、別の職についてもよい報酬を得られるかどうか先のことは分からず、自分の両親を含め家族を養えるかどうかに不安を感じるからだ。

また、これまで慣れ親しんだ業務を続けたいとの思いもある。銀行で30年近く働いてきたLさんは定年退職も近く、今の職場に留まることを選んだ。Kさんには、かつて大みそかにも店舗に行って残業をした思い出もある。給料は下がったが、今はそれほどまでに忙しくなく、苦労はしていないという。

前出のZさんも、銀行員の仕事をこのまま続ける考えだ。給料は今後もさらに下がる可能性があるが、銀行員は立派な仕事であり、福利厚生の水準も満足でき、保健制度もしっかり適用されているからという。Zさんは「ほかの仕事をしても、ひどい目に会うのは同じ」「お金は立ち去ってしまいました。お金と言うものは、永遠に手元に置いていけるわけじゃありません」と心境を披露した。(翻訳・編集/如月隼人)

中国の「隠れ債務」問題が日本のバブル崩壊より危うい理由、中国格付け見通し“ネガティブ”に

2023.12.19 6:00 真壁昭夫:多摩大学特別招聘教授

Photo:PIXTA

12月5日に信用格付け大手ムーディーズが中国の国債格付けの引き下げを発表すると、中国本土株市場は下落し、外国為替市場では人民元が売られた。当面、中国からの資金流出が加速しそうだ。今後は地方政府の財政破綻リスクが上昇し、雇用・所得環境の厳しさは高まり、個人消費も伸び悩むだろう。企業の業績悪化やデフレ経済も懸念されるが、それだけではない。中国は、わが国すらバブル崩壊後に経験しなかった事態に直面する恐れを抱える。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

中国地方政府の“隠れ債務”が深刻

 12月5日、大手信用格付けの米ムーディーズは、中国国債の信用格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ」(弱含み)に引き下げた。中国の不動産バブルが崩壊し公的債務の増加が懸念されることに加えて、地方政府の財政が悪化していることは見逃せない。特に、地方政府の資金調達の組織である融資平台の“隠れ債務”の問題は深刻さを増している。

 振り返れば2020年8月、中国政府は不動産バブルの拡大を止めるため、不動産関連企業に対する融資規制を強化した。その措置によって、多くの不動産関連企業の資金繰りが悪化し、不動産バブルはもろくも崩れた。それに伴い地方政府の歳入は減少し、融資平台の業績および財務内容は悪化しデフォルト懸念も上昇した。これが、いわゆる地方政府の隠れ債務問題だ。

 直近の話に戻ると23年12月6日、ムーディーズは地方融資平台26社を「格下げ方向で見直す」と発表。「問題解決に中央政府の財政出動は不可避」とも指摘している。

 中国全体で地方融資平台や不動産企業の不良債権処理が遅れると、財政破綻に陥る地方政府が増えることが懸念される。中国経済全体に信用不安が広がり、海外への資金流出は増大する可能性もある。中国経済の先行き懸念の高まりは避けられそうにない。

高まる中国地方政府の信用不安

 ムーディーズは中国経済全体で下振れのリスクが高まったと判断し、国債の格付け見通しを引き下げた。さらに近い将来、中国の格付けをA1(シングルA+に相当)から引き下げる可能性もある。

 懸念されるのは、中央政府よりも、むしろ地方政府の財政状態だろう。リーマンショック後、中国政府は4兆元(当時の邦貨換算額で約57兆円)の経済対策を打ち出したが、財源の確保を担ったのは主に地方政府だった。

 地方政府は、税収に加え土地を碧桂園(カントリー・ガーデン)や恒大集団(エバーグランデ・グループ)など不動産デベロッパーに売却してきた。政府が投資促進を呼びかけマンション建設などを支援する中、デベロッパーは需要を上回る勢いで住宅を建設した。政府の支援や、高い成長期待を背景に、住宅価格の上昇は間違いないといった過度な楽観がまん延した。

 価格上昇により、地方政府の土地譲渡益は増えていた。そして、道路の建設や鉄道の延伸などインフラ投資に資金を再配分することによって、雇用を生み出した。また、半導体やEVなどの産業補助金政策も強化した。

 銀行からの借り入れが規制された地方政府は、より多くの投資資金を獲得するために、融資平台と呼ばれる企業を増やした。地方融資平台は、債券発行や投資ファンドから資金を調達することで、不動産やインフラ投資を増やした。こうして不動産バブルの熱狂に浸り、中国経済は投資に依存した経済成長メカニズムを確立した。

 しかし20年8月、事態は一変。中国政府は不動産融資規制を強化した。不動産デベロッパーの資金繰りは枯渇し、建設が停止し、未完成のまま放置される物件も急増した。新築・中古の住宅価格は下落。土地需要は減少し、地方政府の主要財源である土地譲渡益も落ち込んだ。不動産バブルは崩壊し、地方融資平台の信用不安が顕在化した。

不良債権増加“負の連鎖”が鮮明

 地方融資平台の債務は、地方政府の予算に含まれない。公式統計にも計上されないため、隠れ債務と呼ばれている。国際通貨基金(IMF)によると23年、地方融資平台の債務残高は中国のGDP比53%、66兆元(約1320兆円)に達する見込みだ。地方政府の手に負えない水準に隠れ債務が膨張している。

 中国では、地方融資平台の債務に“暗黙の政府保証”が付く、との見方が多い。元利金の返済の遅延、不履行(デフォルト)が起きた場合、政府が返済を保証するはず、と国民は妄信しているのだ。

 23年夏、中国政府は隠れ債務問題への懸念を抑えるために、地方政府の債券発行枠を拡大した。報道では1.5兆元(30兆円)程度の債券発行が指示された。中国政府は地方政府に目先の元利金返済の一部を肩代わりさせようとしているが、財政悪化により地方政府が隠れ債務問題を解決するのは難しい。

 懸念されるのは、地方政府の隠れ債務問題が、家計のバランスシート調整を激化させる恐れだ。地方融資平台は、いわゆる“シャドーバンク”(預金を受け入れずに資金調達を行う投資ファンド)から資金を借り入れた。それは高利回りの投資商品である信託商品に組み入れられ、中国の個人にとって重要な資金運用手段になった。

 ところが11月、シャドーバンク大手である中植企業集団の債務超過が判明した。不動産バブル崩壊による地方政府の隠れ債務問題は、不動産分野の不良債権増加とともにシャドーバンク業界を侵食し始めた。シャドーバンクのバランスシートの劣化によって、信託商品のデフォルトリスクは上昇している。

 不動産バブル膨張に伴う先行きの楽観、暗黙の政府保証の思い込みに浸り、信託商品を購入した個人の一部は、中国の金融当局に事態解決に向け介入するよう要請した。不動産市況の悪化に端を発する地方政府の財政悪化、隠れ債務問題の深刻化、経済全体での不良債権増加という負の連鎖が鮮明だ。中国からの資金流出は増加の恐れ

 経済環境の悪化を食い止めるために、中国政府は公的資金を用いて不動産や地方融資平台の不良債権処理を進めなければならない。しかし、中国政府はその考えを示していない。むしろ、新規の融資増加など銀行の負担で不動産や地方融資平台の不良債権問題を解決するよう圧力を強めた。

 わが国の教訓に基づくと、その政策では景気が底打ちに向かうことは難しい。約30年前、日本では住専問題が表面化した。政府は公的資金を用いた金融機関への資本注入に消極的だった。不良債権処理は遅れ、デフレ圧力は高まり景気は長期停滞に陥った。

 今後の中国もそうした状況に直面する可能性は高い。地方政府の財政破綻リスクが上昇し、経済対策としてのインフラ投資の実行も難しくなるはずだ。若年層を中心に雇用・所得環境の厳しさは高まり、個人消費も伸び悩むだろう。需要が減少することで企業の業績懸念も高まり、経済のデフレ傾向も鮮明となるだろう。

 それだけではない。中国は、わが国が経験しなかった事態に直面する恐れもある。社会保障制度への不安上昇だ。中国では、農村戸籍と都市戸籍によって、市民が享受できる社会保障制度(医療や年金など)に差がある。財政悪化によって、年金支給額の削減などを行う地方政府は増える可能性が高い。相対的に経済基盤が健全な都市と地方の経済格差は拡大し、住民の不満は増大するだろう。

 12月5日にムーディーズが国債格付けの引き下げを発表すると、中国本土株市場は下落した。外国為替市場ではドルが軟調であるにもかかわらず、人民元が売られた。中国の不動産市況は下げ止まりの兆しが出ていない。地方融資平台や不動産デベロッパー、過剰生産能力を抱える鉄鋼メーカーなどの連鎖的なデフォルトや経営破綻が増加するだろう。

 そうした懸念から、中国関連の株や債券を売り、人民元を手放す投資家は増えた。当面、中国からの資金流出が加速し、景気下押し圧力が強まる展開は避けられないだろう。

中国で「隠れ債務不履行」 不動産不況、地方投資会社綻び

2024年5月29日  日経新聞

不動産不況に直面する中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が、民間住宅在庫の買い取りに乗り出す。背景には土地売却収入に頼る地方政府の財政難がある。一部の地方では傘下の投資会社「融資平台」が富裕層などから調達した資金を返せなくなるなど、ほころびを隠せなくなっている。

東南アジアとの国境地帯に位置する中国雲南省。省都・昆明市の融資平台「昆明交投城市投資発展集団」が資金繰りに苦しんでいる。

参考文献・参考資料

中国の銀行員に「減給の嵐」、“残るも地獄、去るも地獄”の現実―中国メディア (msn.com)

中国の「隠れ債務」問題が日本のバブル崩壊より危うい理由、中国格付け見通し“ネガティブ”に | 今週のキーワード 真壁昭夫 | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)

中国で「隠れ債務不履行」 不動産不況、地方投資会社綻び - 日本経済新聞 (nikkei.com)

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