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政治講座ⅴ1597「中国の財政破綻」

 墓穴を掘っているとしか見えないのが中国であろうか。
戦狼外交などと言い横柄な態度と覇権主義の牙を見せて、近隣諸国に領土問題で嫌がらせ、しかも、日本には「処理水」を「汚染水」などと科学的根拠のない嫌がらせで魚介類の輸入禁止をしたり、敵をつくって自分の首を絞めているのである。因果応報・自業自得であろうか。10年前から予期した通りの事態になったのである。今回は中国の財政に焦点を絞り報道記事を紹介する。

     皇紀2684年1月17日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

“成長幻想”引きずる中国 過去12年間の固定資産投資1.3京円 津上俊哉

2023年4月3日

高成長を追い、膨大な借金で投資を続けたツケを、中国経済は払うことになる。

「中国の高成長は2030年ごろまで続く」……今は荒唐無稽(むけい)に聞こえるが、10年ほど前までは、中国だけでなく世界中がそう信じていた。たしかに01年世界貿易機関(WTO)加盟後の10年は黄金期だった世界中から殺到した外資企業が資本、技術、マネジメントを持ち込んだ。1億人以上の貧しい農民が沿海部で工場労働者に変身した。輸出が激増、09年には世界一になった。高速道路、コンテナ港など優良インフラが続々整備された。

 しかし夢のような時期は10年代には過ぎ去った。世界第2位になった中国経済が2桁以上の成長をいつまでも続けられるはずはない。ところが中国は高成長持続の幻想から抜けられず、成長が低下する度に投資のアクセルを繰り返し踏んだ。産業の設備投資、不動産投資、政府の公共投資などを合算した「固定資産投資」を10年から22年分まで累計すると654兆元(約1京2500兆円相当)で、大半を有利子負債で賄ってきた。

 総債務(企業、政府、家計の債務の合計)のGDP比を表す。効果の乏しい投資をすると、そのためにした借金の返済に時間がかかる。中国は景気減速の度にそんな投資を重ねたので、負債残高が急増したのだ。

借金頼みから脱却できず

 10年前に登場した習近平政権は当初、投資と借金頼みの成長パターンからの脱却を目指した。就任早々GDP成長ばかりを重視する風潮を批判し、「新常態(成長が低下していく新しいノーマルに慣れよう)」を標語に掲げた。

 しかし、14年から始めた「新常態」は16年にまた投資アクセルが踏まれて最初の挫折、17年から始めた「デレバレッジ(債務圧縮)」はコロナ後の20年の景気回復策で2度目の挫折を経験した。10年前に比べGDPは2倍になったが、負債総額は3倍、不動産価格は全国で1.5倍、北京にいたっては3倍と状況はかえって悪化した。

 さらに20年にコロナ後の景気回復策に伴い不動産バブルが再燃したことを重く見た政府が、デベロッパーの資金調達を締め上げたことが裏目に出た。デベロッパーの経営危機が買い控えを誘い、22年の住宅販売は前年比マイナス27%、新規着工はマイナス40%、土地の仕入れはマイナス53%と惨憺(さんたん)たる状況で、「不動産繁栄の時代は終わった」との見方が強まった。

 不動産はGDP成長の4分の1を担ってきたとされるだけに、前例のない不動産不況は景気を大きく落ち込ませる。22年は、この落ち込みだけでGDP成長率を3%前後押し下げた上、ゼロコロナ政策消費や経済活動が更に落ち込んだ。習近平政権はこの落ち込みを埋めるために2兆6400億元の減税、地方政府のインフラ地方債発行枠4兆元、政策銀行による地方政府向け貸出枠8000億元、社会保険料の徴収猶予3200億元など、大規模な景気下支え策を講じた。財政から実体経済への資金投入はGDPの9%に及んだ(減税分を含む)。おかげで「通年成長率は3.0%まで回復した」とするが、投資と借金頼みから

中国の地方都市 高まる財政破綻リスク 債務1800兆円の衝撃

2023年11月15日 12時12分

不動産大手の「恒大グループ」や「碧桂園」などが相次いで経営危機に陥り、不動産不況の波が押し寄せている中国。

経済成長が失速する中で、さらに中国経済の長期低迷を招きかねない大きなリスクが隠されていました。1800兆円を超える、地方政府の債務です。

それにより、財政破綻のリスクを抱える地方都市がいくつもあることが、NHKの独自取材で見えてきました。

(NHKスペシャル シリーズ調査報道・新世紀File1 中国“経済失速”の真実 取材班)

“財政悪化” 貴州省の実態

ことし2月、中国の貴州省政府のシンクタンクが、緊急を知らせる声明を発表しました。

「債務の問題は重大で緊急に解決すべきだが、財政が限られているため、この問題を解決するための進展が極めて難しい。自分たちだけでは、効果的に解決できないことが明らかになった」

貴州省の地方政府で、返済不可能にまで膨らんでいるという債務。一体、何が起きているのか。私たちは、中国内陸部に位置する貴州省の省都・貴陽に向かいました。

貴州省 貴陽

もともと貴州省は、中国の中でも貧しいとされてきた地域の一つでしたが、2000年以降、貧困脱却を目指す中央政府のかけ声のもとで開発が進められてきました。

その結果、この20年にわたりGDPが年平均で10%を超える成長を遂げてきたのです。

貴陽の中心部

しかし、街の郊外に出てみると、目についたのは工事が中断して放置された道路や橋、建物の数々でした。

道路ができてもあまり車が通らないため、農地の代わりに使っている農家もいました。

農家の人
「ここはまだ道路が完成していないし、車もほとんど通らない。だから唐辛子を干しているんだ。道路ができることを期待するのはやめた。道路ができても、生活が便利になるとも思えないし

背景に「特殊な投資会社」

なぜ、このような事態に陥ってしまったのか――。
GDPを成長させるために、道路や橋などのインフラ開発を推し進めてきた貴州省。しかし、開発のための財源には限りがありました。そこで地方政府が出資して作ったのが、「地方融資平台」と呼ばれる特殊な投資会社でした。
中国の地方政府は、中央から認可された債券発行以外、資金調達が認められていません。それを回避して、資金をより集めるのが融資平台です。
銀行からの融資や債権の発行によって資金を集めインフラ開発を推し進めてきたのです。


このスキームは、じつは中国全土の地方政府が利用してきたもので、融資平台は今では全土に1万以上あると言われています。

しかし、ここにきて、開発による収益が思うように上がらず、資金繰りが悪化する融資平台が相次いでいます。

特に、貴州省の融資平台の中には、銀行からの融資の返済が困難となり、返済を20年間繰り延べにすると公表したところも出てきているのです。

融資平台の資金繰りが悪化すれば、影響を受けるのは地方政府です。

公式の統計では、地方政府の債務の中に融資平台の債務は含まれていませんが、実際には地方政府が返済に関して保証しているとみなされているため、融資平台の債務は地方政府の「隠れ債務」と言われているのです。

地方政府の債務 1800兆円

では、地方政府の債務はどれくらいにのぼるのでしょうか。

IMF=国際通貨基金の試算によると、地方政府が公式に発表している債務は35兆元、日本円にすると約700兆円です。「隠れ債務」については56兆元、日本円で約1100兆円となり、合計1800兆円にものぼっています。

しかし、この金額がそれぞれの地方政府にとってどのくらいインパクトがあるのか、個別の債務がわかるデータについては、ほとんど公表されていません

そこで私たちは、隠れ債務である融資平台の債務データをどうすれば入手できるのか、シンクタンクや大学の研究者など、複数の専門家を取材。そして、中国の民間企業がこうしたデータベースを保有していることを知り、入手しました。

まず、地方政府ごとの「債務比率」を調べました。債務比率とは、地方政府の収入に占める債務残高の割合のことで、財政の悪化状況をはかることができます。

31の省や直轄市のうち、債務の比率が最も悪い10と、最もよい10を調べた結果が下記の表です。

ワースト1位は沿岸部にある天津です。ただし債務比率が悪いのは、ほとんどが中部地域や西部地域の内陸に位置しています。これは、依然として、沿岸部と内陸側で地方政府の収入に大きな差があるためです。


例えば、中国南東の沿岸部に位置する広東省IT産業で急速に発展を遂げた深セン※などがあり、債務の総額をみると全国6位ですが、政府の収入が多いため、債務比率にすると全国28位。債務の負担は少ないことがわかります。(※セン=土へんに川)

広東省 深セン

一方、内陸に位置する貴州省は、債務総額約55兆円。債務比率にして667%で、ワースト4位となっています。

さらに、貴州省の債務比率の推移を見てみると、2021年から22年にかけて急速に悪化していることが分かります。調べてみると、貴州省に限らず、多くの地方政府の収入が21年から22年にかけて減少していました。


なぜ、急速に債務比率が悪化したのでしょうか。

大きな要因の一つが、地方政府が依存してきた「土地収入」の減少です。中国では土地は国が所有していますが、地方政府は土地の使用権を不動産開発会社に売りその収入をインフラ開発などの財源にあててきました。
しかし、昨今の不動産会社の業績悪化に伴って、この使用権の売却収入が落ち込み、不動産業界に依存して経済を成長させてきた地方政府にとって、大きな痛手となったのです。

“財政悪化の警戒ライン” 80以上の都市

地方政府の財政状況が悪化することに、中央政府も危機感を募らせています。

中国国務院は「地方政府の債務リスクに対する緊急対応計画」という文書を発表。地方政府の債務が危機的状況にある場合、財政再建計画を開始しなければいけないとしています。

その基準については「債務の利息支払いが政府の支出の10%を超える場合」となっています。この基準は財政破綻につながりかねない、“財政悪化の警戒ライン”と考えられています。

では、中国の都市(地級市)レベルで見たとき、どれくらいの都市が警戒ラインを超えているのか。

私たちは、アメリカのシンクタンク・ロディウムグループで中国の債務問題を分析しているローガン・ライト氏に協力を依頼。利息の支払額のデータの提供を受け、分析を試みることにしました。

ローガン・ライト氏

分析対象の利息の支払い額には、「隠れ債務」の利息も含まれています。すると、データが利用できる205の都市のうち、財政再建を必要とするレッドラインを超えているのは、87都市にのぼることがわかったのです。

ローガン・ライト氏は、最悪のシナリオも想定する必要があると、警告を鳴らします。

「今まで融資平台が発行する債券は、地方政府が“実質的に保証”していたため、安全で債務不履行となることはないと考えられてきました。しかし、実際には、一部で支払いの遅延が起きています。もし、債務不履行に陥る可能性が出てくると、債券の信用は一気に落ちてしまうでしょう。確かに、債務不履行に陥る融資平台が出てきても、2~3社くらいであれば、強引に政治の力で押さえ込むことができるかもしれません。しかし、いったんそういうことが起きれば、債務不履行の連鎖の波が押し寄せることになります」

その上で、今までのように投資に頼った成長モデルを維持することは難しいと指摘します。

建設工事が中断された道路

「融資平台を使った投資の成長モデルは、地方政府にとって自分たちの懐を痛めずに公共インフラへの投資ができるため、都合のいいものでした。しかし、もはや投資の拡大を見込むことはできません。多くの人は、中国はこれからも、政府の掲げる目標通りGDP成長率5~6%を維持できると考えているかもしれませんが、それは非常に非現実的です。中国の成長ペースは今後、鈍化していくでしょう」

データ分析から判明した「危機的状況」

中国の地方政府の財政が悪化していることは、近年多くの研究者が指摘し続けてきました。しかし、特に「隠れ債務」に関するデータは、あまり表には出てこないため、その詳細な実態が分かってきませんでした

今回分析できたのは一部ではありますが、中国の地方財政の危機的な状況、そして、従来の投資に頼った成長モデルを変えなければ、中国経済は長期低迷につながりかねないリスクをはらんでいることが見えてきました。

このことは、中国と経済的なつながりの強い日本にとっても他人事ではなく、中国経済の動向は今後も引き続き、取材していきたいと思います。
(11月5日「NHKスペシャル」で放送)

プロジェクトセンター ディレクター高橋裕太

中国天津市、嘆く公務員 「2回昇進したのに年収2割減った」

不動産不況・ずさんな再開発、地方財政が逼迫

2023年10月23日 2:00 

中国の地方で、公務員らの給与削減や未払いが生じている。不動産不況による土地収入の減少などで財政が逼迫し、民間企業への未払いも発生する。過去のずさんな再開発などのツケも重くのしかかる。債務比率が地方で最も高い天津で財政難の実情を探った。

4年間で年収は2割減った。2回も昇進したのに」。天津市政府の公務員、陳強さん(36、仮名)は苦笑する。新型コロナウイルス流行前の2019年は32万元(約650万...

【中国】「税務署と郵便局」が職員給料を未払い! 「中国政府には本当にお金がない」

2023.03.04

中国の地方政府が借金まみれで金欠です。
もっともこれは今に始まった話ではなく、3年ほど前から『Bloomberg(ブルームバーグ)』や『Reuters(ロイター)』などの外信では、「地方政府の債務が巨額になり、このままでは大変なことになるぞ」という警告記事を上げていました。
今まさにそれが現実になっているだけの話です。
スゴいのは国営の機関で給与未払いが起こっていることです。
中国国家税務総局に属する「鎮江税務局」と中国郵政集団公司の「ハルビン市支社」の職員が最近に横断幕を掲げて賃金支払いを要求しています。
“郵政局中国?政 欠?不? ?意降薪 天理不容(郵便局・中国郵便は未払い賃金、悪質な減給、天はこれを許さず)”というスローガンが見えます。
中国共産党の皆さんはなんとも思わないかもしれませんが、このような事態は大変に格好悪いことです。「国際的な恥」に他なりません。
日本で「税務署の職員に給料未払い」なんことが起こったら、それこそ「国が傾いた」「どんだけお金がないんだよ」と大騒ぎになるでしょう。
いまだに「中国には稼げる大きな市場がある」などという幻想を抱いている人がいるかもしれませんが、それは間違いです。中国にあるのは、中国共産党の意向によってどうとでもされる荒野が広がっているだけです。
しかもその荒野は、国の機関が給与を払えないぐらい不毛の大地になってきたのです。こういうのも砂漠化というのでしょうか。

中国の地方公務員「半年給料ない」 不動産不況で財政悪化

遼寧省瓦房店=西山明宏2023年12月4日 9時00分

 中国では不動産不況が深刻化し、中国恒大集団など大手企業が相次いで経営危機に陥っている。不動産関連産業は国内総生産(GDP)の3分の1を生み出しており、その不況は中国経済全体を揺るがしている

 「我々は6カ月給料がない。動物のエサは尽きた。間もなく飢え死にする」

 遼寧省瓦房店市の市営公園で9月、動物を展示するおりにそんな紙が貼られ、SNSで話題を呼んだ。飼育員が窮状を訴える内容で、現地を訪れて話を聞くと、給料を半年受け取っていないと認めた。

 こうした公務員への給料未払いは、多くの都市で起きている。理由は地方政府の財政難だ。

 中国では土地のほとんどが国有地で、管理する地方政府が不動産会社などに土地の使用権を売ることで開発が進む。使用権の売却収入は、地方政府の収入の約4割を占めてきた。だが不動産不況でそうした収入が大きく減り、公務員の雇用や賃金に影響が出ている。(遼寧省瓦房店=西山明宏)


中国経済「実質5.2%成長」の大ウソ…インフレに苦しむ世界経済から隔絶された「デフレ怪現象」をどう説明するのか?

朝香 豊 によるストーリー • 9 時間

2024年の中国経済

日本の調査機関による中国経済に関するレポートには、相変わらず落胆させられる

例えば、財務省の「中国研究会」が12月14日に発表した「中国経済の現状と経済政策の動向」というレポートには、2023年1-9月期の中国の1人当りの可処分所得が前年比実質で5.9%増加、1人当たり消費支出も前年比実質8.8%増加、文化・娯楽支出に至っては41.8%も増加し、GDPが実質5.2%の成長となった旨が記載されている

7月以降、習近平政権が経済へのテコ入れ政策を次々に打ち出し、その成果が出ているとの見方だ。中国の公式発表に対して疑いを差し挟むことをせず、これをわかりやすくまとめることだけに注力してレポートをまとめているのである。

Gettyimages© 現代ビジネス

中国経済が本当にこの通りで、個人所得が増えて消費支出も堅調に伸びているとしたら、インフレに苦しむ世界経済から完全に切り離されたかのようなデフレ現象が中国だけに現れるわけがない。そうした疑問を「中国研究会」は全く持っていない

この点では民間のシンクタンクも実は大差ない。名前は敢えて伏せるが、中国経済について「消費喚起策や金融緩和などの政策効果に支えられ、景気の失速は回避されている」などというレポートを今年に入ってから発表しているところもある。

では、実際の中国経済は今、どんな状態なのだろうか。ブルームバーグは、中国の小売ブランドで価格戦争、つまり激しい値下げ競争が勃発したことを伝えた。

記事では、中国の目抜き通りでは衣料品から化粧品に至るまで割引や特別セールの宣伝が行われているとか、アリババ傘下の食料品チェーン「フレシッポ」が、10月に5000品目以上の値下げを発表したとか、世界で多くの中央銀行がインフレ抑制に注力している一方で、中国の中央銀行である中国人民銀行は金融政策を利用して物価を押し上げようとしていることなどを取り上げている。

こうした低価格競争が2024年の中国経済の鍵となるトレンドだと予測されることを記事は指摘している。所得も消費も順調に増えている経済ではないことは明らかだ。

公務員の給料が払われない

そもそも中国の地方政府は財政難からリストラに踏み切っている。地方政府は長らく土地利用権の売却益で濡れ手に粟の多額の収入を得てきたが、不動産バブルの崩壊によって土地利用権の売却益収入が見込めなくなっているのだ。

昨年3月に中国当局は、財政難克服のための「機関改革案」を発表した。そこには、人員数を適正規模にしなければならないということが出てくる。例えば、中国の都市では副市長が30人から50人もいるのはよくあることだが、そんなにいらないから削ろうという話だ。

いらないポストはなくせ」というのは、ある意味当然であり、やるべき改革だと言える。しかしながら、人件費削減の動きは、そういう当然のところにだけ向かっているわけではない。公務員の給料が削られさらには支払われないということさえ多発しているのだ。

例えば、昨年9月、山東省菏沢市の公立病院「第二人民医院」で、支払われていない8ヵ月分の給料を払ってくれと職員たちがデモ行進を行った。また昨年末には四川省遂寧市の漢方の専門病院で、「給料を払わないと、ビルから飛び降りるぞ」というデモンストレーションが行われた。

中国経済「実質5.2%成長」の大ウソ…インフレに苦しむ世界経済から隔絶された「デフレ怪現象」をどう説明するのか?© 現代ビジネス

10人くらいの職員が、いつでも飛び降りられそうな感じで窓にしがみつき、外の通りを歩いている人から「なんだあれは!」と注目されるようにしたのである。多くの人がその様子を動画に撮り、SNSに載せたことから広く知れ渡った。

ゴミ清掃員の給料が止まり、清掃員のストライキで、街中に「ゴミの山」が出現したこともSNSには上がっている。また、安定した職業だと思われる電力会社の社員ですら給料の支払いが止まり、デモを行っている。

中国経済「実質5.2%成長」の大ウソ…インフレに苦しむ世界経済から隔絶された「デフレ怪現象」をどう説明するのか?© 現代ビジネス

天津の国営の路線バス会社は給料を6ヵ月支払っておらず、さらに会社が医療保険料の支払いもしていないせいで、運転手たちが医療保険の適応を受けることもできなくなっている。このため必要な薬などについても、各自が全額自費で買わなければならなくなっているのだ。

給料が止まって、医療保険が止まっているだけではない。なんと退職後の年金の支払いも止まるということが頻発している。

沿岸部の裕福な地域でさえ

私がこうした話題をいろいろと提供しても、「中国は広いからそういう苦しいところもあるんだろう」程度に思う人もいるだろう。だが中国の中で最も裕福な都市のはずの上海市でさえ、給与削減に動いているのだ。

上海の課長級の公務員の年間の給料は、すでに15万元(300万円)引き下げられている。上海市はさらなる給与削減を目下検討中ということだ。また、広東省や浙江省の公務員は25%の給与削減江蘇省や福建省の公務員は20%の給与削減となったとも伝えられている。

Gettyimages© 現代ビジネス

これらはいずれも沿岸部の裕福な地域のはずだが、そうした地域でも厳しい給与削減に動かざるをえないのだ。山東省でも2月から25〜35%の給与削減が行われるとの内部情報のリークが出て、話題になっている。

苦しいのは、公務員だけではない。2022年から2023年前半までに、中国の不動産業は26万人の人員整理を行った。デジタル産業の技術職の給料は前年比12%減少し、デザイン職は18%減少した。電気自動車、バッテリー、太陽光発電、風力発電などの新経済分野の給料でさえ、前年比2.3%も下落している。

中国48社の証券会社の2022年上半期の総人件費は前年に比べて11.3%、合計で100億元(2000億円)以上下落した。招商銀行は12月28日に、職員に一旦支払った業績報酬総額5824万元(12億円)を、会社側に戻させた。

上海の大銀行である上海浦東発展銀行では、給料が突然、従来の1/3に減らされたことに抗議して、銀行員たちが「ちゃんと給料を払え!」と訴える集団行動に出ている。

中国の労働争議は昨年は1900件を超え、2020年から2022年の3年間に起こった数をたった1年で抜いたという。このように、民間経済もすこぶる悪いのは間違いないのだ。

「全民降薪」(国民全員が給料削減)

中国では新年のお祝いは旧暦で行われる。今年の春節(旧暦の正月)は2月10日であり、本来であれば、この直前に都会から田舎への大移動が始まる。

もちろん今年もそういう動きは見られるだろうが、例年とは異なった動きになっていることが指摘されている。すでに11月頃から田舎に戻る動きが始まっているのである。都会で仕事を見つけようとしても、仕事が見つからないからだ

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上海の復旦大学は中国でも有数の難関大学だが、去年の就職率がわずかに18%だったことが明らかになった。一昨年は、北京大学の原子核物理学の博士号取得の新卒者が北京市の城管(都市管理職員)に就職したことも話題になった。

城管は庶民いじめのヤクザな仕事という感じで、かなりイメージの悪い仕事だが、そんな仕事でも選り好みしないで選ばないと、スーパーエリートでもなかなか就職できないのだ。

こうした中で、「降薪潮」(給与削減ブーム)とか「全民降薪」(国民全員が給料削減)などという言葉まで現れている。

さらに驚くべきことに、軍隊に支払う給料まで削減されていることがわかった。中国の軍人には基本給の他に任務による様々な手当がつく。こうした手当は赴任先の現地政府の財政から出され、中央政府の国防予算からは支出されていないものが多い。地方政府の財政が苦しい中で、こうした軍人に対する手当の支払いも止まっているのだ。

また、人民解放軍の科学技術関連の研究所の研究職の給与、予算までもが大きく削減されていることが明らかになった。警察についても給料の削減が起きている。

このような状態で、国民の所得も消費も順調に増えて、GDPが年率5.2%成長するような経済になどなるわけがない。それどころか中国は今や体制の危機にも直結しかねない動きになり始めているのだ。


中国経済「実質5.2%成長」の大ウソ…インフレに苦しむ世界経済から隔絶された「デフレ怪現象」をどう説明するのか?© 現代ビジネス


023年通年の銀行での人民元買いは約315兆円相当―中国

Record China によるストーリー • 2 時間

中国国家外貨管理局はこのほど、2023年12月には銀行における外貨による人民元買いは1兆4348億元で、人民元による外貨購入は1兆4658億元だったと発表しました。© Record China

中国国家外貨管理局はこのほど、2023年12月には銀行における外貨による人民元買いは1兆4348億元(約29兆1000億円)で、人民元による外貨購入は1兆4658億元(約29兆8000億円)だったと発表しました。2023年通年では人民元買いが15兆5336億元(約315兆円)で、外貨買いは16兆571億元(約326兆円)だったとのことです。

また、2023年12月における銀行の顧客代行による渉外収入は4兆652億元(約82兆5000億円)で、対外支払額は3兆9651億元(約80兆5000億円)でした。2023年通年の銀行の顧客代行による渉外収入は43兆6631億元(約886兆円)で、対外支払額は44兆1703億元(約897兆円)でした。(提供/CRI)

中国、構造改革必要 大幅な成長鈍化阻止へ=IMF専務理事

Reuters によるストーリー • 14 時間

国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は、中国は「かなり大幅な成長の鈍化」阻止に向け、構造改革が必要という認識を示した。2022年10月、ベルリンで撮影(2024年 ロイター/Michele Tanntussi/File Photo)© Thomson Reuters

[15日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は15日、中国は「かなり大幅な成長の鈍化」阻止に向け、構造改革が必要という認識を示した。

ゲオルギエワ専務理事は、15日開幕の世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)でCNBCとのインタビューに応じ、中国は短期的に高水準の地方政府債務や不動産セクターの課題に対処する必要があると語った。

その上で「中国に必要なことは経済の開放の継続と成長モデルのバランスをより国内消費に向かわせる構造改革」とし、「国民の信頼感を向上させ、貯蓄ではなく消費に向かわせることだ」と述べた。

中国の日系企業、半数が投資に「慎重・消極」姿勢…景気減速・邦人拘束問題の影響浮き彫りに

読売新聞 によるストーリー • 15 時間

天安門© 読売新聞

 【北京=山下福太郎】在中国の日系企業で作る経済団体「中国日本商会」は15日、景気や事業環境に関するアンケート調査をまとめた。企業の半数が対中投資に慎重・消極姿勢を示し、景気減速や邦人拘束問題の影響が浮き彫りになった。

 2023年の中国での投資額は「しない」が23%、22年より「減らす」が25%とほぼ半分を占めた。「同額」が38%で、「増加」「大幅に増加」は合わせて15%にとどまった。中国経済の景気認識で「悪化」「やや悪化」が37%「横ばい」が43%「やや改善」「改善」が20%だった。

 中国での事業環境に関する設問では、自社が「中国企業と同等に扱われていない」との回答が21%「同等」が73%「優遇されている」が5%となった。

 調査は昨年11~12月に約8000社を対象に行い、約1700社が回答した。

中国の潜在不良債権を計算すると、なんと「1300兆円」だった=市岡繁男


市岡繁男氏・相場研究家

2021年10月18日

中国の潜在不良債権は1300兆円

 国際決済銀行(BIS)によると、民間の債務比率(家計と企業の債務合計÷名目国内総生産〈GDP〉)が200%以上の主要国はカナダ、フランス、中国、韓国などだ。過去を振り返ると、日本やスペインのバブル崩壊は同比率が200%を突破した後に起きている。

 高債務国のなかでも中国は別格で、銀行借り入れに限ってみても、その残高は2008~21年の13年間で163兆元(約2800兆円)も膨張した。この間のGDP増加額は78兆元にとどまる。

 かつて日本の銀行貸出残高はGDP比90%前後で推移していた。それがバブル期になって急増し、1990年にはGDPの119%に拡大した(図1)。だが、従来ペースより約125兆円(当時のGDPの3割)も貸し出しが増えた結果、後になって、ほぼ同額の不良債権が生じた

中国への債務、42カ国でGDPの1割超え 米研究所

一帯一路「隠れた債務」40兆円規模

2021年9月29日 13:30

岩間陽子さん他1名の投稿

中国の広域経済圏構想「一帯一路」を巡り、融資を受けた中低所得国で政府の負債として公になっていない「隠れた債務」が3850億ドル(約43兆円)にのぼることが29日、米民間調査機関の調べで分かった。対中債務が国内総生産(GDP)の10%を超える国は42カ国にのぼる。中国が不透明な融資を通じて、急速に影響を広げる実態が浮き彫りになった。

米民間調査機関のエイドデータ研究所が同日発表した報告書で明らかにした。調査では2000年以降に中国政府や国有企業がアジアやアフリカなどの165カ国で資金を拠出した約1万3000件(総額8430億ドル相当)の事業について、支出額や負債額などを調べた。

対中隠れ債務がGDP比で最も大きかったのはラオスの35%。公表している政府債務とあわせた対中債務は64%に及ぶ。中国による融資は、ラオスで初となる高速道路「中国ラオス高速道路」の整備にも使われている。20年末には首都ビエンチャンと中部バンビエンをつなぐ約110キロメートルが開通した。

一帯一路を巡っては、相手国を借金漬けにして、債務免除と引き換えに中国がインフラ権益などを奪う「債務のワナ」の問題が指摘されてきた。中国による情報開示が限られるなか、隠れ債務の規模が示されるのは珍しい。融資先の財政運営を度外視した中国による過剰投資に一段と批判と警戒が強まりそうだ。

報告書によると、中国による途上国向けの開発援助額は13~17年に年平均850億ドルと米国の同370億ドルを大きく上回った。習近平(シー・ジンピン)指導部が一帯一路構想を打ち出す前の00~12年は同320億ドルで、米国(340億ドル)と同じ規模だった。

債務の全容はつかみにくくなっている。12年までは途上国の政府を対象にした融資が主だったが、近年は国有企業や金融機関など向けが7割近くを占める。多くの融資では暗黙の政府保証が付いているものとみられるが、政府債務として報告されないため途上国の財政管理を難しくしている。

報告書は一帯一路で中国が自国に有利な条件を設定している点も指摘した。政府開発援助(ODA)以外の貸し付けが中心で、融資の約6割に担保や信用保険、第三者による返済保証を付けた日本やドイツなどによる開発融資では金利1.1%、返済期間28年が一般的なのに対し、中国は金利4.2%、返済期間10年未満が主だった。

エイドデータ研究所は「中国は多くの中低所得国が第一に頼る融資元としての地位を急速に確立したが、融資の実態はベールに包まれている」と指摘した。中国が詳しい情報を明かさないため、一帯一路への参加リスクを判断するのが難しくなっていると問題点を挙げた。

一帯一路の沿線国向けの融資は18年ごろから鈍化した。受け入れ国側で債務のワナが意識されたことに加え、「中国自身の経済成長が鈍化してくるなかで、積極的な対外投融資を続けにくくなってきている」(第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミスト)との指摘がある。途上国の財政状況は新型コロナウイルス対策などで打撃を受けている。中国の融資姿勢の変化により、一段と悪化しかねない。

資金繰りに窮し、債務交渉に動く国も出始めた。ロイター通信によると、アフリカ中部の産油国コンゴ共和国は6月、同国の対中債務24億ドルについて、中国が返済延期に原則として同意したと表明した。

主要7カ国(G7)は6月の首脳会議で、一帯一路に対抗して途上国や新興国のインフラ構築を支援する枠組みをつくることで合意した。欧州連合(EU)も7月に一帯一路に対抗する支援計画をまとめる方針を決めた。一帯一路に代わる透明性が高い投資として、新たな選択肢を示せるかが焦点となる。

参考文献・参考資料

中国の地方都市 高まる財政破綻リスク 債務1800兆円の衝撃 | NHK | WEB特集 | 中国

中国天津市、嘆く公務員 「2回昇進したのに年収2割減った」 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

中国経済“予想外”の息切れ 今何が起きているの? | NHK

【中国】「税務署と郵便局」が職員給料を未払い! 「中国政府には本当にお金がない」 (incident-wo.com)

中国の地方公務員「半年給料ない」 不動産不況で財政悪化:朝日新聞デジタル (asahi.com)

【中国財政破綻】公務員も「餓死」訴える。破局招いた驚きの失政をリポート (youtube.com)

「夢の都市」のはずがゴーストタウンに:マレーシアで1000億円を費やした都市プロジェクトが頓挫 (msn.com)

2023年通年の銀行での人民元買いは約315兆円相当―中国 (msn.com)

中国経済「実質5.2%成長」の大ウソ…インフレに苦しむ世界経済から隔絶された「デフレ怪現象」をどう説明するのか? (msn.com)

中国、構造改革必要 大幅な成長鈍化阻止へ=IMF専務理事 (msn.com)

中国の日系企業、半数が投資に「慎重・消極」姿勢…景気減速・邦人拘束問題の影響浮き彫りに (msn.com)

世界経済入門2023:“成長幻想”引きずる中国 過去12年間の固定資産投資1.3京円 津上俊哉 | 週刊エコノミスト Online (mainichi.jp)

グラフの声を聞く:中国の潜在不良債権を計算すると、なんと「1300兆円」だった=市岡繁男 | 週刊エコノミスト Online (mainichi.jp)

中国への債務、42カ国でGDPの1割超え 米研究所 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

中国流“金融道”の実態 「債務のわな」よりはるかに巧妙か 習近平政権の途上国向け融資を解明 | NHK

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