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政治講座ⅴ896「AI戦闘機の登場とバーチャル戦争」

 これからの戦争は人間の命を奪うことでは工業生産設備を壊すことになるのではないだろうか。基本的人権を大事にする国が自国民の命を犠牲にすること自体が人権としての生命を軽んじることになる。ならば兵器もAIロボットにするべきという結論に行き着く。そして、相手の敵にも人間なら命をもった人権が存在する。甚だ矛盾を抱えた命題である。生まれた人間は、寿命が来ると殺す行為を必要とせずに消滅(死んでいく)するのである。リスクをとってまで相手を殺す必要はないのである。問題は戦争は国益と国益のぶつかり合いである。外交の最終解決方法が戦争なら別な方法へとルール変更すれば良いことであろう。バーチャル戦争に近い仮想戦争としてのAI戦闘機同士やドローン戦闘機同士で決着つけて、大量殺戮はご法度にするなど知恵を絞る必要がある。核兵器を使った国は即刻負けとするのが人間の究極の知恵であろう。今回は関連記事を紹介する。

     皇紀2683年3月4日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

AIが戦闘機を操縦する時代。単独で17時間の飛行に成功

Akane Ueno/Word Connection JAPAN によるストーリー • 4 時間前

AIパイロット同士の戦いも起こる…?

Photo: Kyle Brasier、アメリカ空軍© ギズモード・ジャパン 提供
アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)は、人工知能エージェント(AI)アルゴリズムを開発し、F-16戦闘機が自律飛行できるようになったと発表しました。F-16戦闘機の制御シミュレーションを開発してからわずか3年弱です。
この飛行にはLockheed Martin(ロッキード・マーティン)のVISTA X-62Aが使用されたとのこと。Lockheed Martinは「VISTA X-62Aは「Block 40」の電子機器を搭載してアップグレードした「F-16D Block 30 Peace Marble Il」の改良版だ」とプレスリリースで発表しています。
DARPAはACE(Air Combat Evolution)プログラムを活用して、自律型戦闘機を開発しました。ただ、パイロット不在で戦闘機を飛行することを想定していたわけではなかったようです。

パイロット学校での試験

カリフォルニア州のエドワーズ空軍基地にあるアメリカ空軍テストパイロット学校は、数日間にわたりAI操縦のF-16戦闘機の飛行を実施し、飛行データをライブ追跡しました。
この試験飛行から、F-16戦闘機は自律飛行が可能なほど信頼性が高いことが判明。ただ、この飛行では、なにか問題が発生した場合に備えて操縦士が搭乗していたそうです。
アメリカ空軍の中佐であり、DARPAのプログラムマネージャーACE担当のRyan ‘Hal’ Hefron氏は「DARPA、空軍テストパイロット学校、空軍研究所、そして実行チームのすばらしいチームワークと連携で、ACEプログラムの第2フェーズを著しい速度で前進させることができました」とDARPAのプレスリリースでコメントしています。

VISTA(可変機内シミュレーターテスト航空機)のおかげで、当初予定していた下位フェーズを飛ばし、全面的な実装に進んだことで、プログラムを効率化できました。時間を1年以上短縮できたうえに、実際の飛行条件下でのフィードバックを受け取ることができたのです。

Ryan ‘Hal’ Hefron氏によると、試験飛行の段階ではさまざまな条件や敵、そして想定される兵器のもとでF-16の離発着を実行し、ACEは何の問題も検出しなかったとのこと。
ACEプログラムは空軍テストパイロット学校のサポートのもと、さらなる訓練を重ね情報を提供し、AI戦闘機を操縦する際にパイロットの快適度がどれほどかを見極めていくそう。
追加試験飛行では、敵を目視できる距離での空中戦、通称ドッグファイトでパイロットがAI戦闘機に信頼を置けるかと同時に、「操縦席で大規模な戦闘管理タスクに集中できるか」をテストする予定です。

AI操縦戦闘機の研究は加速

VICEの記事によると、自律型F-16戦闘機は、アメリカ国防総省が実行する600以上のプロジェクトの1つに過ぎず、アメリカ政府は2018年から5年間、20億ドル(約2710億円)以上もの金額をAIプロジェクトに費やすことに署名したとのこと。
ただ実際のところ、2022年だけでも25億8000万ドル(約3500億円)を、ロボットやウェアラブル技術の構築をはじめとするAI研究や開発に費やしたと言われています。
新アメリカ安全保障センターの防衛プログラムディレクター、Stacie Pettyjohn氏がThe New Yorkerに語った話では、AI操縦型のF-16戦闘機を活用し、DARPAが「モザイク戦」と呼んでいる戦い方をすることで、軍を分解することができるそうです。
これが実現すれば、戦闘機の操縦に必要な人数が減るため犠牲者を抑えることができます。
Stacie Pettyjohn氏は「小型の自律型戦闘機のおかげで、相手が予想だにしない方法を組み合わせて混乱させ、敵をかく乱することができます。たとえ戦闘機がどれか1機撃墜されたとしても、大した問題ではありません」とコメントしています。

「武器よさらば」バーチャル戦争の時代

2021-01-06 Hiroshi Mukaide(向出博)Time Traveler

将来、AIやITの力で、何もかもがバーチャル化していくと、そのうち「バーチャル戦争の時代」が来るのではないか。人と人が殺し合いをする代わりに、「バーチャル戦争」で決着をつける時代。

今は、誰もそんなことは、起こり得ないと思うだろう。しかし、今の世の中を見渡してみれば、100年前には誰も想像すらしていなかったものばかり。

とは言うものの、「バーチャル戦争」で負けたために、日本という国が消えて、どこかの国の支配下に置かれるなどという現実を、一体、誰が甘受できるだろうか。

確かに、現在の私たちの感性では、「そんなことは無理」となるだろう。しかし、人間の感性などというものは、時代とともに大きく変わるもの。「バーチャル戦争」が登場する未来の人間にとっては、至極当たり前のことになっているのではないか。

とにかく、話し合いで解決できなくなった国際紛争を、誰も殺さず、何も破壊せずに決着できる時代が到来するなんて、素晴らしいことだ。

全ての兵器を無力化するプログラムや、レーザー光線や電磁パルスで、兵器を制御するAIやITを、シャットダウンできるようになれば、戦争などできなくなるだろう。

とは言うものの、そんな時代になっても、AIやITとは無縁な、銃や大砲や爆弾のような、アナログな武器は使える。ただ、そんなものは、警察活動や治安維持には使えても、未来の国家間の戦争では、無力な過去の遺物となっているだろう。

ところで、戦争ができなくなった未来とは、どんな未来なのだろう。驚くなかれ、既にそれは、日本国憲法第9条第1項「戦争の放棄」に書かれている。

「国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」というユートピアの世界だ。

しかし、戦争ができなくなったからといって、国際紛争が無くなるわけではない。憲法第9条第1項も、よく読めば、「国際紛争は永久に無くならない」という前提で、「紛争解決の手段としての戦争を放棄しよう」と言っているに過ぎない。

昔から、権力者という者は、紛争解決の手段としての戦争が大好き。そんな戦争好きな権力者のためにこそ必要なのが、誰も殺さず、何も破壊しない「バーチャル戦争」ということになるだろう。

おそらく、この「バーチャル戦争」という新しい紛争解決手段の、コンセプトや仕組み作りについては、ルールやスタンダードを作るのが得意なアメリカ人が、知恵を絞ってくれるだろう。

後は、中国人とロシア人が、素直に、この新しいコンセプトを受け入れてくれれば、お膳立ては万全。

と思ったが、これでは、武力による戦争がなくなるだけで、今と何も変わらないではないか。しかし、少なくとも、これで国際紛争を、誰も殺さず、何も破壊せずに決着させることができるなら、喜ぶべきことだろう。

コロナに囚われた日常、たまには「バーチャル戦争の時代」なんて、想像してみるのも楽しいのではないか。

おっと、ここまで書いてきて気がついた。コロナのような「生物化学兵器」は、当分、無力化できそうにもないということに。やっぱり、「バーチャル戦争」なんて無理か。


「バーチャルな戦争」の時代に見つめ直す「参謀」の真価

前田啓介『昭和の参謀』講談社現代新書

執筆者:與那覇潤 2022年9月24日カテゴリ: カルチャー

 令和の世相から痛感するのは、日本人は「バーチャルな戦争」が大好きだということだ。新型コロナが流行すれば「ウイルスとの戦争」だと言い募り、ロシアが開戦するやSNSのプロフィール欄にウクライナ国旗を掲げて「参戦」する。もちろん本人は、安全な国の快適な自室でモニターを眺めているだけである。

 よく知られているとおり、こうした人々はしばしば「参謀」になりがちだ。従来はなんの興味もなかった話題でも、にわかに仕入れた情報で「とるべき戦略はこうだ」「従わない者は非国民」と呼号し出す。昭和のリアルな戦争と異なり、日本で過ごす分には間違えても頭上に爆弾は降って来ないからこそ、私たちの「参謀しぐさ」はますます歯止めを失っている。

 実際に、戦前の著名参謀7名を扱う本書によれば、陸軍大学校の参謀養成のカリキュラムは意外なほど、主体的な思考を促すディベート型だった。教員が最初から正解を与えるのではなく、受講生自身に作戦を考えさせたのだが、それだとかえって異なる意見をきちんと受けとめず、威勢や詭弁で聞き手を圧倒するタイプがよい成績をとってしまう。ちょうど今日のコミュニケーション重視の教育方針が、知的な誠実さを欠く「論破屋」ばかりをSNSで跋扈させるのと同じだ。

 多弁に反比例して思考は乏しくなる、こうした悪しき参謀志向の弊害は、どうすれば克服できるだろうか。本書が示す新しい処方箋は、7名の参謀それぞれの「戦後」を辿ることである。

 東京裁判(出張尋問)でも傲岸に振るまったとされる石原莞爾の言動は、調べてみると概ね伝説のようだし、実録もののベストセラーで復権した辻政信も、自民党では孤立し組織を動かせなかった。政財界で大輪の成功を収めた瀬島龍三にせよ、シベリア抑留時代の真相を伏せたまま亡くなっているし、エチオピアの国政顧問に招かれた池田純久も、皇帝の気まぐれに翻弄され同地に懸けた夢は実らなかった。

 むしろ彼ら4名に比べれば静かに敗戦以降の人生を送った、残り3名の姿が印象に残る。参謀本部で中枢を担った過去が戦後糾弾された服部卓四郎は、自身は拒まれても周囲を自衛隊幹部に採用させる黒子に徹した。的確な情報分析で知られた堀栄三は、郷土に私塾を開き最晩年には村長も務めたし、捕虜となったことへの廉恥から人目を忍ぶように生きた八原博通も、沖縄戦の実相を世に伝える執念を失うことはなかった。

 いかなる戦争であれ、最初は熱狂のうちに始まる。しかし、バーチャルではなく実際に作戦を起案し放題だった参謀たちですら、その昂揚を最後まで享受し続けることはできない。

参考文献・参考資料

AIが戦闘機を操縦する時代。単独で17時間の飛行に成功 (msn.com)

「武器よさらば」バーチャル戦争の時代 - Hiroshi Mukaide(向出博)Time Traveler (goo.ne.jp)

「バーチャルな戦争」の時代に見つめ直す「参謀」の真価:與那覇潤 | ブックハンティング | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト (fsight.jp)

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