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政治講座ⅴ751「疫病退治できない中国共産党、自暴自棄か、集団免疫のためか」

他国ながら「中国共産党に政権を任せても大丈夫なのか?」と武漢ウイルスの蔓延を見て痛切に感じる。中国共産党の無策のために、体力のない老人が数えきれない程死んでいる。面子のために米国のワクチン提供の申し出を拒否するとは、中国共産党は、人命軽視の国であることは明白である。大量の死者を出しながらの「集団免疫」効果を追求するなら愚の骨頂である。
今回は、報道記事から内容を紹介する。

     皇紀2683年1月6日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

「ゼロコロナ」放棄の後で

昨年12月7日に中国政府は180度の政策転換を行い、それまでの「ゼロコロナ」政策を事実上放棄した。それ以来、中国全国が世界最大規模のコロナウイルス感染拡大に見舞われている。

1月3日、新型コロナ感染者であふれかえる上海の病院 by Gettyimages© 現代ビジネス

中国政府は去年12月14日からは毎日の感染者数と重症・死亡者数の公表を停止したが、同月下旬にネット上で暴露された国家衛生と健康委員会の内部資料によれば、12月1日から20日まで、全国での新規感染者数は2億4800万人に上り、20日の1日だけで3700万人の人々が感染したという。そして年末になると、四川省当局は25日時点での推定感染率はすでに64%に達していると発表。海南省政府も30日、省内の感染率は50%前後であると発表した。首都北京の状況に関しては、国内の著名感染症専門家は31日、北京の感染率が80%を超えたとの見解を示した。このような断片的な数字情報に基づいて、香港紙の星島日報は全国の感染者数はすでに8億人に達していると報じた。「8億人」という数字の正確さはさておきながら、ネット上で流布されている多くの現場報告に照らし合わせると、中国全国では今、世界最大規模の爆発的な感染拡大が起きていることは事実であると思われる。その中で医療の現場はもはや「逼迫」を超えたところの医療崩壊が起きてしまい、火葬場が24時間フル回転しても遺体の処理に追いつかないという阿鼻叫喚の地獄図が目の前の現実と化してきている。

中国政府は一切の努力を放棄

短期間でそれほど大規模にして迅速な感染拡大が発生したことの原因についてはまず、以下のいくつかの要因を挙げることができよう。
1) 今まで数年間の厳しい「コロナ封じ込め政策」のなかで、中国国民の多くは健康力・免疫力が著しく低下・低減したこと。
2) 中国国産のワクチンはほとんど役に立たないこと。
3) 先進国と比べれば中国全体の衛生環境がかなり悪いであること。
4) 中国政府が最悪のタイミング(感染しやすい冬期の到来と同時に)政策転換に踏み切ったこと。
それらの要因が揃ったところで爆発的な感染拡大はもはや不可避であるが、実は、事態の深刻化に拍車をかけているもう一つの要因がある。それはすなわち、中国の中央政府と地方政府は今、感染拡大を緩和させたり食い止めたりするための一切なる努力を放棄している、ということである。
前述のように、中国政府がそれまでの厳しい「ゼロコロナ」政策を放棄したのは昨年12月7日のことであるが、その時からこの原稿を書いている今年1月3日現在まで、中国の中央政府にしても地方政府にしても、国内の感染状況の悪化に従ってそれを緩和させるための措置を講じことは全くもないし、人々の移動や集まりを制限するような政策手段をとったこともない

ただただ沈黙し傍観するのみ

以前の「ゼロコロナ」政策が実行されていた数年間、中国共産党最高意思決定機関の中央政治局並びに政治局常務委員会は「コロナ対策」をテーマとする会議を十数回以上開いたことがある。
習近平主席も数回、こうした最高指導部会議では「重要講話」を行ない、「ゼロコロナ」政策の正しさや必要性を力説しながら、政策の貫徹を指示した。
しかし去年の12月7日以来、中央政治局や政治局常務委員会は「コロナ対策」を議題とする会議を一度も開いたことは一度もない。12月下旬に開いた政治局の定例会議や別テーマの中央会議でも、「コロナ対策」が討議された痕跡はない。
習主席本人にしても、12月31日に行った「新年演説」において「感染対策は新たな段階に入った」との抽象的表現で「コロナ政策」に触れたこと以外には別の場面でこの問題に言及したこともなければ「新たな感染対策」に対する具体的な指示を出したこともない。そして習主席以下、共産党政権の要人たちはコロナ問題に関してはいっせいに沈黙を守り国内の深刻な感染拡大に対しては全く無関心な態度を通しているのである。
コロナ対策を直接に担当する中央官庁はすなわち前述の国家衛生と健康委員会であるが、昨年12月14日に感染者数の発表を取りやめて以来、同委員会は完全に機能喪失したかのように対策に動くこともなく地方に対して感染拡大の緩和について何らかの方針を打ち出すこともない。担当官庁でありながら、あたかもこの件とは関係がないであるかのような摩訶不思議な姿勢である。
こうした状況下では、各地方政府は当然、今の感染拡大に対しては手を打つことは一切なく、ただ傍観しているかのような奇妙な態度である。

「感染拡大はない」から対策の必要もなし

このようにして今、中国国内では世界最大規模の感染拡大とそれに伴う医療崩壊・大量死亡が現実に発生している、という未曾有な深刻な事態が起きていることに対し、当の中国政府は中央から地方までは政府としての最低限の責任を一切放棄し、まるで砂に首を突っ込んでいる駝鳥の如く問題への直視を回避して、コロナの感染拡大を放任しているのである。
昨年12月までの「ゼロコロナ」政策では、中国政府はあらゆる行政手段を総動員して国民の基本的人権と自由を奪うまでにして極端な封じ込め策を講じていたのに対し、今の習近平政権は一転、無策無為のまま感染拡大を放任するという、それもまた極端な「無政策」に走っているのである。
こうなったことの理由の一つはやはり、去年12月までの「ゼロコロナ」政策が失敗に終わったことにあろう。12月15日公開の「抗議活動に負けてのゼロコロナ政策撤廃でコロナ感染爆発の危機、習近平政権『ダブル敗戦』の大打撃」で指摘したように、「ゼロコロナ政策」の放棄はそもそも、習近平政権にとっての看板政策の完全失敗を意味し、習政権はこれで、コロナウイルスと「反ゼロコロナ政策」の民衆抗議運動の両方に敗退して、いわば「ダブル敗戦」を喫した訳である。
しかし習主席としてはどうしても、「ゼロコロナ」政策の失敗を認めたくはない。だから彼は爆発的感染拡大が起きている最中の昨年12月31日に行った「新年演説」では、「未曾有の困難に勝ち取った」と全くの嘘の「勝利宣言」を行なった。
しかし、コロナ感染に対する「勝利宣言」を行なった以上今の感染拡大の現状を公式に認めるわけにはいかない。つまり、国家衛生と健康委員会が感染状況に対する統計数字の発表を取りやめて以来、習主席と中国政府にとっては、「感染拡大」という事実はそもそも存在していない。したがって、「存在もしない」感染拡大に対して何らかの対策を講じる必要もないのである。

感染拡大がより早く進むことを望んでいるのか

それこそは、習政権は今の深刻な感染拡大に対して極めて無責任な「駝鳥政策」をとっていることの理由の1つであろうが、その一方、コロナウイルスの感染拡大を放任する習政権にはおそらく、もう1つの隠された思惑があるのであろう。

今年3月に、中国で5年一度の全国人民代表大会(全人代)が開かれ、次期首相が選出されるのと共に新しい中央政府(国務院)が発足する。そして首相の交代では、習主席のライバルである李克強首相にとって代わって、習主席側近の李強氏が次期首相に就任し、彼を中心とした中央政府が誕生する運びとなっている。
したがって習主席からすれば、3月に誕生する中央政府こそは、自分の子分によって牛耳られる「習近平政府」となるから、彼としては当然、この新しい「習近平政府」がより安定した環境の中で順調なスタートを切ってもらいたい。まさにそのために、習主席とその周辺の思惑としては、今年3月までにコロナの感染拡大をほぼ完全に収束させ、国全体を「ポストコロナ」の正常状態へ持っていきたい。
しかし、「ゼロコロナ」政策を放棄した今、感染拡大を収束させる方法は1つしかない。それはすなわち、国民全体あるいはその大半を一度感染させることによって集団的免疫力をつけさせることである。簡単に言えば要するに、国民全員が一度感染してしまえば、感染拡大は自ずと止まってしまう、という計算である。
しかも、前述の全人代の政治的スケジュールからすれば、国民の全員感染=感染拡大の収束はどうしても今年は3月までに完成しなければならない。したがって今の習政権はむしろ、感染拡大がより早いスピートで進むことを望んでいるのではないかと思われる。
つまり習政権には、感染拡大を助長する意図があっても、それを食い止めたり緩和させたりするようとする考えは毛頭ない。そしてそれはすなわち、中国政府は今、国内の感染拡大を放任するという極めて無責任な態度をとっていることの、戦慄すべき深層的な理由であろうと、筆者の私が見ているのである。
もしそうであれば、習近平という指導者こそは中国国民にとっての最悪の指導者であって、今の習政権は鄧小平時代以来の共産党歴代政権の中でも最悪の政権であると言って過言ではない。その一方、日本を含めた世界各国は、中国国内の感染拡大がわれわれの住む世界に波及してくることを大いに警戒しなければならない。2020年の悪夢の再来はごめん被りたいものである

米国のワクチン提供申し出、中国「必要ない」と拒否 謝意は示す

毎日新聞 - 1 時間前

 米ホワイトハウスのジャンピエール報道官は4日、記者団に対し、新型コロナウイルスの感染が急拡大する中国へワクチン提供などの支援を申し出ているものの、中国側が「必要ない」と断っていると明らかにした。中国側とのやり取りの詳細は明らかにしなかったが「我々はすぐ支援できるように準備を続ける」と述べた。


高齢者に新型コロナウイルスのワクチンを接種する医療従事者=上海郊外で2022年12月21日、ロイター© 毎日新聞 提供 


ジャンピエール氏によると、中国は支援の申し出に感謝の意を示しているという。同氏は「中国の判断について代弁はできないが、米国は国際社会のリーダーとして世界の大部分にワクチンを供給してきており、その役割の重要性を理解している」と語った。 米政府は米東部時間5日以降、中国からの渡航者に出発前2日以内の検査と出発時の陰性証明提示を義務付けている。国務省のプライス報道官は4日の記者会見で「中国側から報告される疫学的なデータやゲノム解析データは十分でなく、透明性に欠けている。感染拡大を防ぐためにできることは全てやる」と述べた。 各国は、中国が8日からコロナの水際規制を大幅に緩和するのに合わせて対策を強化。中国はこうした動きに反発している。【ワシントン鈴木一生】

参考文献・参考資料

世界最大規模の「中国コロナ感染爆発」を放置する習近平政権、その「戦慄の思惑」 まさか全人代までに集団免疫獲得? (msn.com)

米国のワクチン提供申し出、中国「必要ない」と拒否 謝意は示す (msn.com)

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