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政治(金融)講座ⅴ1620「支那と国際金融界」

「お主も役者やのお!」は時代劇の一コマである。騙された振りをして、騙したものを騙している。とかく、この世は騙しあい。騙された振りをしている国際金融界の方々もお人が悪い。騙した人を騙された振りをしながら嘲笑しつつ、徐々に支那の経済から手を引いていく。まさに、軟着陸である。今回は騙しあいの報道記事を紹介する。

     皇紀2684年2月4日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

お金は知っている 中国に関する国際金融界は嘘と欺瞞だらけ デフレ不況・マイナス成長も...西側の銀行は北京当局発表に疑義をはさまず

お金は知っている 中国に関する国際金融界は嘘と欺瞞だらけ デフレ不況・マイナス成長も...西側の銀行は北京当局発表に疑義をはさまず© zakzak 提供

国際金融界というのは、中国に関する限りは虚偽と欺瞞(ぎまん)だらけである。

昨年の中国経済は本欄前週で報じたようにデフレ不況、マイナス成長に陥った。ところが西側の銀行、証券の国際金融資本は5・2%のプラス成長とする北京当局発表に疑義をはさまない。さりとて真実から目をそらしていては、金融機関としての信用を失ってしまう。固より、中国市場が縮小し、衰退し続けるのは国際金融資本にとっては重大な打撃になる。そこで、どうやって中国の経済危機を緩和し、再浮上させられるか、秘策を練る。国際金融資本のアナリストたちは中国が依然として巨大な成長市場だと喧伝(けんでん)する習近平政権のお先棒を担ぐのだ。

図らずもだろうが、この思惑が最近あらわになった。1月26日付ブルームバーグ電は「中国は低迷する経済と株式市場を回復させるために、円に対する人民元安を狙うべきだと、シティグループが提案した」と報じた。米シティグループ・グローバル・マーケッツのアジア取引戦略責任者はブルームバーグテレビジョンで、「もし中国が現在の水準より8%から12%安い1元=18―19円にすることを目指せば、(中略)中国はリフレ日本はデフレとなり、皆がハッピーになれる」と論じたという。

グラフは人民元の対円、ドル相場の推移である。元は円とドルの双方に対してウクライナ戦争勃発の2022年2月までは上昇を続けたが、同3月以降はドルに対しては下落プロセスに入ったものの、円に対しては1元=20円前後の高水準で推移するようになった。2021年末には不動産市況下落が本格化し、ウクライナ戦争開始後からはロシアに加担する習政権が西側の金融制裁を食らうとの恐れが生じた。不動産バブル崩壊と政治的リスクの双方が重なった結果外国の対中証券投資が急減し、続いて製造業の対中直接投資減にもつながった。

中国市場からの外国資本引き揚げとともに元が売られ、ドルが買われる。元の対ドル安はさらなる資本流出を招く。他方で、マイナス金利政策が続く日本の円は元以上の速度でドルに対して下落してきた。

米国の機関投資家たちは中国株を売って、円安で割安になった日本株買いに熱中する。他方で、日本と中国は製造業ではライバルの関係にあり、元の対円相場高は競争力で日本優位、中国勢力後退につながる。中国経済の没落を避けるためには元の対円安が必要だとシティグループは中国にアドバイスするわけである。それは中国投資で荒稼ぎを狙ってきた米ウォール街の本音そのものなのだ。

元安・円高シナリオは、日銀がマイナス金利を止め、利上げに転じ、中国が追加利下げすれば成り立ちそうだ。だが、中国経済衰退は党主導の経済モデルの破綻に根ざしている(詳細は、1日発売の拙著「中国経済衰退の真実」《産経新聞出版》)。習政権の強権を前提にした国際金融資本主導の中国経済回生策は幻想でしかないだろうに。 (産経新聞特別記者)


実態はマイナス成長、嘘バレバレ中国GDP 反スパイ法で誰も口にしないが…北京大本営発表を鵜呑み、日本の経済メディアの情けなさ

2024.1/26 06:30
田村秀男

昨年来、本欄でしばしば指摘してきたように、中国経済は長期停滞局面に入っている。中国のビジネス・エリート氏は匿名を条件に、「中国で情報技術(IT)の企業を立ち上げようとして、業界の友人たちと意見交換したが、全員が中国経済はあと10年から20年間は停滞が続くと口をそろえていた」と打ち明ける。そして、「『中国経済ダメ』を口にすれば、『反スパイ法』違反で拘束されるからだれも表向きには口にしない」とも言う。

そんな中、中国の習近平政権は先週、2023年の国内総生産(GDP)の成長率は名目4・6%、実質5・2%で、実質5%の政府目標を達成したと発表した。

中国のGDP統計はかなり前から、各地方の党幹部が党中央の掲げる成長率目標に合わせようとして、データを改竄(かいざん)するという疑惑が消えないのに、日本の経済メディアは北京大本営発表を鵜呑みにして報じるのは何とも情けない。

そこでGDPに大きく影響する不動産投資、純輸出、家計消費に関連するデータから、GDPの伸び率を筆者なりに粗計算してみた(グラフ参照)。これらのデータはGDPと同じく中国国家統計局がまとめているが、政治的意図がGDP統計ほど反映しない分だけ信憑性は高い。

不動産投資自体はGDPの10%以上を占めるが、電気製品など関連需要を含めると3倍程度、約3割になる。23年の不動産投資は前年比16・7%減なので関連需要込みで5%近く、GDPを押し下げる計算になる。ちなみに不動産投資に企業の設備投資を加えた固定資産投資はGDPの5割前後を占めるが、23年は前年比12%の大幅減である。

中国の通貨金融制度は実質的に「米ドル本位制」

2020/7/18 10:00

米紙ウォールストリート・ジャーナル13日付(電子版)が、「中国が世界経済回復を牽引(けんいん)できない理由」と題する解説記事を載せていた。2008年9月のリーマン・ショック時には、原材料などへの中国の需要急増が世界全体の成長を押し上げたのとは対照的に、中国は現在、景気刺激のための支出を抑制している。このため、リーマン危機のような役割を中国が果たすのは不可能とする中国市場依存度の高いドイツ工業団体代表の発言を引用している。中国市場にますますのめりこんでいる日本の経団連の楽観論とは大違いだ。

 同記事は習近平政権がなぜしょぼい景気対策しか打てないのか、について触れていない。評論家の石平さんから「田村理論」だと評されている拙理論なら答えは簡単だ。

 中国の通貨金融制度は実質的に「米ドル本位制」であり、ドルの流入具合が悪ければ財政・金融面での拡大策がとれないという欠陥がある。西側世界では米金融専門家を含め中国経済を市場経済と同列で論じるのが一般的だが、戦前からの中国共産党政策の歴史を綿密にたどってゆけば、いまなお財政・金融政策の基本は極めて特異なドル本位であることがわかる。

 論より証拠、データがすべてを物語る。グラフは中国人民銀行の資金発行(マネタリーベース)および総資産に占める外貨資産(外貨準備)シェアと商業銀行融資の推移である。リーマン危機が起きたとき、外貨資産は資金発行残高の1・3倍に達していた。人民銀行はたっぷりあるドル資産を担保に人民元を大量発行し、商業銀行は産業界や地方政府、消費者への融資を一挙に拡大した。中央政府は金融面でのゆとりを背景に大型の財政出動に踏み切ることができた。

 この結果、中国経済はリーマン後、2桁台の高度経済成長を達成し、10年には国内総生産(GDP)規模で日本を抜き去って世界第2位の経済超大国と化した。ドル獲得の主力源である中国の対米黒字に寛容だったオバマ前大統領までの米政権のおかげである。

 ところが、虎の子の外貨準備は増えなくなり、15年には総資産比で100%を割り込み、17年末には7割を切り、現在に至る。外準頭打ちの主因は資本逃避である。15年夏は人民元レートの切り下げ、その後は不動産市況の悪化、そして18年夏には米中貿易戦争が勃発した。

 習政権は資本逃避を食い止めようとして党幹部による不正蓄財を取り締まった。党幹部やその身内が不正行為によって稼いだ富はドルに換えられ、海外に持ち出される。逃避の中継基地が国際金融センター香港である。習政権が昨夏に逃亡犯条例を香港に押し付けようとしたが、香港市民の反対を受けて失敗した。

 今度は香港国家安全維持法(国安法)を強制適用した。習政権としては香港を徹底的に監視、取り締まることによって、資本逃避ルートを封じ込める狙いがあるはずだ。香港の市場機能がまひすれば元も子もないのだが、せっぱ詰まった習政権はそれどころではない。(産経新聞特別記者・田村秀男)


参考文献・参考資料

お金は知っている 中国に関する国際金融界は嘘と欺瞞だらけ デフレ不況・マイナス成長も...西側の銀行は北京当局発表に疑義をはさまず (msn.com)

【お金は知っている】実態はマイナス成長、嘘バレバレ中国GDP 反スパイ法で誰も口にしないが…北京大本営発表を鵜呑み、日本の経済メディアの情けなさ(1/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

【田村秀男のお金は知っている】中国の通貨金融制度は実質的に「米ドル本位制」 - 産経ニュース (sankei.com)

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