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政治講座ⅴ1825「世界を新植民地化にする中国の『一帯一路』政策はどこまで続くのであろうか」

 温故知新。歴史は繰り返される。これだけの巨大工事の資金はどこから捻出されるのであろうか。また債務の罠で工事物件を接収するのであろうか。自国が過剰債務と不動産崩壊の後始末で苦悩する状況なのに投資資金は何処から調達されるのであろうか。世界を新植民地にする「一帯一路」政策はどこまで続くのであろうか。債務の罠で資金捻出か。今の中国の習近平の姿は秦の始皇帝に似ている。膨大な事業(万里の長城)を多額の建築費を費やして進めた。その費用は庶民からの重税で賄われたと思われる。そして重税に苦しむ庶民の反乱で15年で滅びたのである。奢れるものは久しからず。盛者必衰の理を表す。
今回はそのような兆候の報道記事を紹介する。

     皇紀2684年6月22日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

中国の巨大港、米国の「裏庭」で建設進む

Ryan Dubé によるストーリー

【チャンカイ(ペルー)】南米の太平洋岸の静かな町に、中国が巨大港を建設している。米国が長年裏庭と考えていた資源豊かな地域で、その影響力に変化が生じる可能性がある。

水深が深いチャンカイ港の周りには、木製の小舟で釣りをする漁師やペリカンの姿がある。中国の習近平国家主席は年末に予定されている同港の落成式に出席するとみられており、実現すれば新型コロナウイルス流行後では初の南米訪問となる。中国がこの港をいかに重要視しているかがうかがえる。

中国の国有海運最大手、中国遠洋海運集団(コスコ・グループ)が過半の権益を握るチャンカイ港が開港すれば、アジア・南米間の貿易は加速し、ブルーベリーや銅など、あらゆる品目の太平洋横断にかかる日数が短縮され、いずれは遠くブラジルの顧客にも恩恵が及ぶだろう。

世界各国が中国製の安価な工業製品の大量流入に身構える中、同港の開港により電気自動車(EV)などの輸出品の新たな市場が生まれる可能性がある。中国は大半の南米諸国にとって最大の貿易相手国だ。

米国は、南米初の本格的な世界的商業拠点となり得る港を中国が掌握すれば、同国がこの地域の資源に対する支配力を一段と強めるのみならず、米国の近隣諸国への影響力を深め、いずれ米国のひざ元に軍を駐留させかねないと警戒する。

「(チャンカイ港を掌握することで)中国はこの地域から資源を根こそぎ手に入れるのが一層容易になる。これは懸念すべきことだ」。米南方軍を率いるローラ・リチャードソン陸軍大将は5月、フロリダ国際大学で開かれた安全保障会議でこう語っていた。

元米政府関係者は同港について、米国がウクライナや中東などへ資源を集中させている隙に中南米に外交的空白が生じたことを裏付けていると指摘する。

元米国務省高官で、現在はシンクタンク「米州評議会(COA)」のワシントン事務所責任者のエリック・ファーンズワース氏は「状況が一変する」とし、「これまでにない大規模なやり方で、中国が南米で世界市場への玄関口になる。そうなれば単に商業上ではなく戦略上の問題にもなる」と述べた。

ペルー首都リマの約80キロメートル北に位置する35億ドル(約5500億円)規模のチャンカイ港は、中国の銀行融資で資金を賄っている。水深が約18メートルあり、南米の太平洋側では初の大型船受け入れが可能な港となる。この地域には大規模なコンテナ取り扱い能力のある港がある。企業はペルー・中国間を直接行き来する大型船で貨物を送れるようになり、メキシコや米カリフォルニアで積み替える必要がなくなる。コスコはチャンカイ港について、純粋に貿易を促進するためのものだと主張している。

中国の巨大港、ペルーで建設進む 米国の懸念よそに© The Wall Street Journal 提供
中国の巨大港、ペルーで建設進む 米国の懸念よそに© The Wall Street Journal 提供

同社のペルー副ゼネラルマネジャー、ゴンサロ・リオス氏は「これは開発を促進するための商業プロジェクトだ」とし、「隠すことは何もない」と述べた。

2019年に港湾建設が合意に至ると、中国国営メディアは早々に、ペルーが中国・南米間の貿易拠点になり、海底ケーブルの敷設といった中国の他の重要課題でも協力を得られるかもしれないと大々的に報じた。

ペルーは米国の心配は無用との立場だ。外国軍を駐留させるには、港湾運営者ではなく議会の承認が必要となる。

ペルーのハビエル・ゴンサレスオラエチェア外相は、同国で中国の存在感が増すことを懸念しているなら米国も投資を増やすべきだとし、投資する人は「誰でも歓迎する」と述べた。

同氏はインタビューで、「米国はほぼ世界中で存在感を示し、大きな主導権を握っているが、中南米ではそうでもない」と指摘。「いわば非常に大切な友人なのに、めったにそばにいてくれない人だ」

中国の巨大港、ペルーで建設進む 米国の懸念よそに© The Wall Street Journal 提供

コスコが2016年にギリシャの港湾の運営権を取得したことで、中国は欧州への足掛かりを得た。中国企業は現在、合わせて国外の港湾100カ所ほどでターミナルを管理・運営している。米バージニア州ウィリアム・アンド・メアリー大学のエイドデータ研究所によると、中国企業は2000~21年に少なくとも46カ国で、工費として合わせて300億ドル近くを融資した。

中国は港湾への投資を通じて、投資を切望する国に対して外交的な影響力を持つようになった。中国海軍の艦艇は、自国企業が所有・運営する世界各地の港の3分の1余りに寄港している。

ただ、こうした港湾がひそかに中国の軍事拠点化しているわけではなく、艦艇の寄港は式典の意味合いが強い。また、新たな市場で貿易拠点を確立するには何年もかかるため、中国が進める港湾建設の商業上の費用対効果が判明するのはまだ先だろう。中国の港湾を巡る喫緊の懸念は、モザンビークの債務やケニアの環境破壊の兆候などで顕在化している。欧州でも、現地の利益が後回しにされていることが明らかになりつつある。

米国は、チャンカイなどの重要インフラを中国が掌握することへの懸念について、ペルー政府高官と話し合ってきた。協議の内容を知る両国の元政府高官が明らかにした。米国が懸念しているのは、中国の民間企業と政府、特に軍との関係だ。港湾やその設備は民生用と軍用の両方に使用できる。

カーネギー国際平和財団のアイザック・カードン上級研究員によると、中国の国内法は自国企業に対し、事業をする上で国防の必要性を考慮することを義務付けている。これは港湾ターミナルで艦艇に利用を譲り、有用そうな情報があれば共有し、防衛や動員を支援することを意味するという。

元米外交官でペルーの著名実業家でもあるジョン・ユール氏は「米国人は少し眠っていた」が、「突然目を覚ました」と話す。

11月中旬にはその様子を目の当たりにすることになるかもしれない。アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するため、習氏がペルーを訪問するとみられている。米大統領選挙の直後に予定されているこの会議にジョー・バイデン大統領が出席しようとしまいと、西半球で中国の影響力を拡大するためのプロジェクトを引っ提げた習氏の独壇場になる公算が大きい。

ペルーはチャンカイ港をきっかけに、南米を舞台にした二大超大国の対立に巻き込まれることになった。

中南米最大の経済国であるブラジルは、自国の5G(第5世代移動通信システム)網から中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)を排除するよう米国から求められたものの、これをはねつけ、中国との半導体開発に期待をかけている。コロンビアの首都ボゴタでは中国企業が地下鉄を建設中だ。ホンジュラスは中国からの積極的な投資を期待して台湾と断交した。アルゼンチンでは、EVに不可欠なリチウムの鉱山を中国が買い占めている。

ペルーは、港湾や銅の採掘、電力などあらゆる分野で中国の投資を進んで受け入れた。いずれリマの電力供給の大半を中国企業が握ることになる。

中国・中南米関係に詳しいフロリダ国際大学のリーランド・ラザルス氏は「ペルーは中国への経済依存を強めており、その経済支配を受けやすくなっている」と指摘した。

中国の巨大港、ペルーで建設進む 米国の懸念よそに© The Wall Street Journal 提供
中国の巨大港、ペルーで建設進む 米国の懸念よそに© The Wall Street Journal 提供

中国政府に批判的な立場を取る団体「ダブルシンク・ラボ」と「チャイナ・イン・ザ・ワールド・ネットワーク」が作成した指標によると、中国の影響を最も受けている国のランキングでペルーは5位。国内では中国製の自動車が目につく。リマの緑豊かなミラフローレス地区では自治体が、ジョン・F・ケネディ元米大統領にちなんで名づけられた公園の近くに、太平洋を見下ろす「チャイナ・パーク」を設置した。両国の絆の深化を祝して中国から持ち込まれたパーゴラとライオン像が置かれている。

チャンカイ港にはスペイン語と中国語の標識が立ち並ぶ。長さ約1.6キロメートルのトンネルが完成すれば、貨物トラックが町を迂回(うかい)できるようになる。自動クレーンや無人車両を導入し、エンパイアステートビルほどの高さがある世界最大級の船に貨物を運搬する予定だ。

港の建設工事が始まると、静かだった漁師町はひどい騒音と揺れに見舞われた。住民は、工事が家の壁のひび割れや道路陥没、漁場の悪化を引き起こしているとして苦情を訴えた。コスコは、家と道路を修復し、漁業への影響を軽減する対策を講じたとしている。

チャンカイで漁師をしているウーゴ・パサチェさんは「漁は以前のようにはいかない」と話す。「1年後には全部売り払って他のことをするつもりだ」

中国にとって特に魅力的なのは、ブラジルにこの港を利用してもらうことだ。中国は09年に米国を抜き、ブラジル最大の貿易相手国になった。だが大きな障害がある。ブラジルが別の海に面していることだ。

中国はブラジルの鉄鉱石と大豆の約3分の2を購入しているが、輸送するには東回りで大西洋を渡るか、北上してパナマ運河から太平洋に出る必要がある。

チャンカイ港を利用すれば、熱帯雨林地帯にあるマナウス市から中国への輸送時間を半分に短縮できる。ペルーの太平洋大学の経済学者オマール・ナレア氏はこう指摘する。

ただ、アマゾンの熱帯雨林とアンデス山脈を越えるには難関がある。ペルーとブラジルを結ぶ幹線道路は1本あるが、はるか南に位置している。ペルーはそこからチャンカイまで幹線道路と鉄道を引く計画だとしている。

ブラジルのレナン・フィーリョ運輸相は「これは全員が勝者になれるプロジェクトだ」とした上で、「ただし非常に複雑な部分もある」と話した。

ペルーによる中国投資呼び込み、米国の反感は予想せず=首相

6/18(火) 14:03配信

Marco Aquino [リマ 17日 ロイター] - ペルーのアドリアンセン首相は17日、近く予定されているボルアルテ大統領の中国訪問や、中国企業によるペルー向け投資拡大が、米国の「恨み」を買うことはないとの見方を示した。
ボルアルテ氏は今月末に訪中し、習近平国家主席と会談するほか、通信機器ファーウェイ(華為技術)や電気自動車BYD(比亜迪)といった中国企業の幹部と面会する。
特に南米とアジアの主要貿易拠点として期待されるペルーのチャンカイ港の各種設備建設を主導している中遠海運港口有限公司(コスコ・シッピング・ポーツ)の幹部とは、真っ先に会うことになっている。
ペルーで近年、中国企業の投資が増加の一途をたどっていることは西側諸国の懸念要素となっており、中でもチャンカイ港整備計画は中国に対抗して南米投資を進めたい米国や欧州にとって「目の上のこぶ」的存在と言える。 しかしアドリアンセン氏は「米国などの我が国の友人たちが、中国勢の(ペルー向け)投資を呼び込んだからといって憤慨するとは考えていない」と語った。 またアドリアンセン氏は、チャンカイ港の輸出能力を強化する上では、10年にわたって提案ベースにとどまっているペルーからボリビア、ブラジルを結ぶ鉄道の建設計画を再び現実の検討課題にするべきだと指摘した。 ボルアルテ氏の面会相手には、鉄道インフラ整備を手がける中国鉄建も含まれている。


参考文献・参考資料

中国の巨大港、米国の「裏庭」で建設進む (msn.com)

ペルーによる中国投資呼び込み、米国の反感は予想せず=首相(ロイター) - Yahoo!ニュース

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