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政治講座ⅴ1891「米国の貧困対策は歴史を俯瞰すると失業者を減らす『戦争』と不法移民削減である」

 表題の政策を実施したのが米国ルーズベルト大統領である。世界恐慌で苦しむ米国が超大国になった理由は、戦争における軍需産業の特需で世界中から金塊が集まり、経済的に潤ったのである。米国の歴史は戦争の歴史でもある。ある時は平和を謳いながら戦争で潤うのがその歴史である。米国の法律は極端である。米国はキリスト教の国である。酒を飲むことが神の教えに反するということで「禁酒法」が出来た。その後に廃止になるのであるが、他にも、面白い法律がある。
それは「三振法」というものがある。最近では「Proposition 47」という法律で「$950以下の盗みなら軽犯罪に該当するので、起訴されない」というものである。英米法と大陸法とに2分するなら日本は大陸法に類する。慣習・判例を主とする英米法は日本に馴染まない理由と思えるのである。米国が分断していると言われるが、建国当時から内戦(南北戦争)で武力衝突の争いがあった。経済格差・貧困問題・人種差別・言論自由・思想自由の国をまとめるにために敵国をつくり常時戦争状態で国をまとめなければならない悲しい性の国である。今回はそのような片鱗の報道記事を紹介する。

     皇紀2684年8月12日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

トランプ氏、ホームレス増加に「一網打尽にして収容所で治療」…記者がテントだらけの現場を歩いた

 経済大国の米国で、ホームレスの増加が大きな問題になっている。格差の拡大や住宅費の高騰、薬物・アルコール依存症など、米社会が抱える課題が背景にある。11月の大統領選に向けて共和党のトランプ前大統領は民主党政権の「失政」だとの批判を強めており、ホームレスへの対応が有権者の投票行動に影響する可能性がある。(アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスで、鈴木龍司)

◆ロス中心部に5000人、「必要なケア受けていない」


アメリカ・ロサンゼルスの「スキッド・ロウ」地区で7月、テントが立ち並び、ごみが散乱した通りを歩くホームレスら(鈴木龍司撮影)

 オフィスビルや高級マンションが立ち並ぶロサンゼルス中心部から歩いて10分。7月、全米最大のスラム街「スキッド・ロウ」を訪ねた。この地区には約5000人のホームレスが暮らすといわれる。テントが歩道を埋め、路上に散乱したごみが腐敗臭を放つ。殺人や強盗、薬物絡みの事件も多く、足を踏み入れる一般人は少ない。


トランプ氏、ホームレス増加に「一網打尽にして収容所で治療」…記者がテントだらけの現場を歩いた

 「地区の状況は悪化している」。食料や衣服を配るボランティア団体のマーベラス・ハリスさん(67)は「家を持てず、ここに来て薬物や酒に流れてしまう。必要な精神的ケアを受けられていない」と漏らす。

 取材中、路上生活を送る女性(66)が自ら声をかけてきた。「人生のどん底だ」。働いて子どもを育てたが、家族は病死したという。ろれつが回らず、上半身は下着のみ。手押し車に酒の瓶が見えた。地元関係者によると、同州で合法のマリフアナ(大麻)や違法の覚醒剤もまん延。特有の刺激臭が漂い、奇声を上げる住民が目に付いた。

◆全米で65万人、コロナでの支援消え物価高で拍車


トランプ氏、ホームレス増加に「一網打尽にして収容所で治療」…記者がテントだらけの現場を歩いた

 全米のホームレスは昨年、保護施設に入った人を含めて65万人に達し、統計のある2007年以降で最多を更新。カリフォルニア州は3割弱の18万人に上った。新型コロナの収束後の景気回復で住宅価格が急上昇し、家を持てない低所得者層が増加。コロナ対策の支援の打ち切りや記録的な物価高も拍車をかけた。

 ホームレスに対しては厳しい視線が注がれている。ロスで会社を経営する女性は「街はホームレスであふれ、怖くて歩けない」と不満を語る。

 西部オレゴン州の自治体は路上生活禁止の法令を定め、今年6月に保守派の判事が多数派を占める連邦最高裁もこれを容認した。民主党政権が力を入れる低所得者向け住宅の整備は道半ばで、7月末には民主党が強いカリフォルニア州も、テントの撤去に向けた知事令の発令に踏み切った。

◆移民問題もからめ、ハリス氏を揺さぶり…大統領選の争点に


アメリカ・ロサンゼルスの「スキッド・ロウ」地区で7月、支援団体から衣服の配給を受けるホームレスら(鈴木龍司撮影)

 大統領返り咲きを狙うトランプ氏は現政権のホームレス対策が成果を上げていないと批判し、民主党候補のハリス副大統領を揺さぶる。トランプ氏は「ホームレスを一網打尽にして収容所で治療を受けさせる」と主張。メキシコ系の不法移民が麻薬と犯罪を国内に持ち込んでいるとの持論も展開し、移民保護の予算をホームレスになった退役軍人の支援に回すことなどを公約に掲げる。

 カリフォルニア大ロサンゼルス校のクリス・ヘリング助教は、強制力を伴う対策に人権上の懸念を示し「短期的な措置に過ぎない」と効果を疑問視。「安価な住宅供給を政府がさらに支援し、ホームレス化を防ぐことが重要だ」と説く。「この問題は政治的に脚光を浴びており、間違いなく米国の主要課題だ」と大統領選の争点になると見通した。


<海外便り>Google、Intel、Apple…最先端のIT企業集積地に見た光と陰 アメリカ・シリコンバレー

2024年8月3日 06時00分

 グーグル、インテル、アップル。米カリフォルニア州のシリコンバレー地区には、世界的に名の通ったIT企業が集積する。本社は開放的な空間を意識して設計され、現代アートのオブジェやオープンテラスが配置されている。グーグルにはビーチバレーのコートまである。


現代アート美術館のような雰囲気のグーグル本社は、シリコンバレーの観光名所になっている=鈴木龍司撮影

 ただ、このエリアを取材で訪れた際、きらびやかなIT業界とは落差の大きい光景も目にした。周辺の通りや駐車場にホームレスの姿が目立った。

 「この地域も貧富の差が拡大しています。米国社会の光と影ですね」。企業関係者らのツアーをコーディネートしている男性はそう漏らし、「物価が上がり、IT企業勤めでも幹部や技術者以外は家を買うことが難しい」と語った。道端に並ぶキャンピングトレーラーは、金銭的に余裕がない従業員らがマイホームとして使っているそうだ。

 格差が広がる同州は治安の悪化も深刻。家賃や税金の負担増を回避するため、南部テキサス州などに拠点を移す企業が相次ぐ。世界の頭脳が集まるシリコンバレーは、ITや人工知能(AI)の先端技術をもってしても解決できない難題に直面している。(鈴木龍司)


10万円までの窃盗を重罪としないカリフォルニア、"万引き天国"問題のその後

掲載日 2022/03/08 11:00
更新日 2022/03/08 11:26
著者:Yoichi Yamashita

950ドル(約10万円)未満の万引きや窃盗を重罪に問わないというカリフォルニア州の州法によって万引きが横行し、耐えられなくなったドラッグストアやディスカウントストア、スーパーが次々に閉店している。日中に堂々と大きなバッグに商品を詰め込み、店員は関わるのを避けて盗み放題。昨年後半から今年にかけて、そうした異常な状況が日本でも度々報じられていたのでご存知の方も多いと思う。

都市に広がる窃盗と暴力的な事件、そうした地域で閉店する小売店

問題視されている州法は、2014年に住民投票で承認された「Proposition 47」だ。数百ドルの窃盗は生活苦が原因であるケースが多く、重い罪で罰するのではなく更生の機会を与える。弱者を救済し、かつ刑務所にかかるコストを削減するための州法だったが、950ドルまでなら捕まっても放免されるお墨付きになっていると報じられた。では、この問題のその後をご存知だろうか。
大都市のドラッグストアやスーパーなどの窃盗被害は減少せず、カリフォルニア以外の州でも起こっている。例えば、ドラッグストアのRite Aidが12月と1月に20万ドルを超える被害があったとして、ニューヨーク市ミッドタウンの店舗を閉鎖 した。窃盗犯は毎日のように、時には1日に2度、洗濯用の大きなバッグを持って現れていたという。
昨年12月に全米小売業協会(NRF)がリリースした調査データによると、盗られている商品は、デザイナー衣類、そして洗剤、ヒゲ剃り用のカミソリ、ブランド物のハンドバック、香水が続く。窃盗が多い都市のトップ5は、ロサンゼルス、シカゴ、マイアミ、ニューヨーク、サンフランシスコだ。
カリフォルニアのProposition 47が原因の万引き増と報じられていたが、その指摘に違和感を覚える状況だ。まず、カリフォルニア州だけではなく他の州の都市でも多発している。さらに納得できないのが、クマ用のスプレーで店員を襲ったり、集団の窃盗団だったり、数十人のホームレスを雇っての襲撃など、万引き(shoplifting)の域をはるかに超えた組織的な犯罪が次々に起こっていること。被害額も大きく、「Proposition 47で950ドルまでなら重罪に問われないから」という理屈が通らない。そもそもカリフォルニアの950ドルという線引きは米国で飛び抜けて緩いわけではなく、むしろ緩和した州の中では保守的な方だ。1000ドル以上の州は多く、2000ドルを超えている州もあるのだ。
下はFBIが公開している犯罪統計だ。カリフォルニア州の窃盗はProposition 47が承認された時期に増加したものの、その後は減少し続けており、そして2020年に急減した。2021年には増加したが、コロナ禍前の水準には戻っていない。


カリフォルニア州の窃盗犯罪数の推移。新車不足で中古車の価格が上昇し、車の盗難はコロナ禍前の水準を超えているが、窃盗や強盗は増えてはいない

コロナ禍とProposition 47によって窃盗が急増しているかのような報道と異なり、実際には窃盗が減少している。ただし、サンフランシスコやニューヨークのような都市のドラッグストアやスーパーでは店舗を閉鎖に追い込むほど万引きが増えている。だから、盗られている商品のトップ5に、洗剤、ヒゲ剃り用カミソリなどが入っている。
つまり、ドラッグストアやディスカウントストアのような特定の小売りを狙った窃盗が突出して増加しているのだ。それらに共通するのは、店の大きさに対して少数の店員でオペレートされ、セキュリティは単純。棚に商品を山積みしていて、大量の商品を一気に持ち去れる。
この問題の根底には、銃社会、暴力事件が起こりやすい社会環境がある。NRFの小売店を対象としたアンケート調査によると、米国の小売店で最も憂慮されている問題は店内での暴力である。都市の小売店は発砲事件を含む暴力が珍しくない場になっており、だから店員は店内での異常時に自分の身の安全を優先する。店員が少ない大型店なら、騒いで速やかに行動すれば簡単に商品を盗み取れる。ネットも利用するようになった組織的な窃盗犯が、そうした小売店をターゲットにし始めた。
一時Apple Storeをターゲットにした組織的な窃盗が頻発した時期があったが、盗まれたApple製品は特定されてアクティベートできなくなる。危険を冒して盗んでも、盗んだ商品はパーツとしてしか転売価値がない。窃盗対策のスマートショッピングカートを導入している小売店もある。商品棚のセンサーからのデータで不審な動きを監視し、必要に応じてカートの車輪をロックして犯罪を未然に防ぐ。
しかし、窃盗被害の多い都市で閉店しているドラッグストアやディスカウントストアのセキュリティ強化は、 商品の棚に鍵 をかけたり、出入口を狭くして周囲にバリケードを設けるといったものばかり。それでは一般の買い物客の利用が不便になるばかりで、窃盗を減らせても客足が遠のく悪循環である。組織的な窃盗の増加に対してApple Storeが閉店を決めたら驚くことだが、Rite Aidなどの閉店は必然といえる。

窃盗や暴力事件が増えている地域では券売機を頑丈な格子で保護

組織的窃盗の増加で、米国ではeBayやAmazonといったオンラインマーケットプレイスにおいて販売者の身元確認と連絡先情報の開示を義務づける動きが活発化している。盗品転売や詐欺を防ぐ対策は必要ではある。だが、最近のオンラインマーケットプレイスへの圧力は店の入り口にバリケードを築かせるような危うさも感じる。オンラインVS実店舗の対立で、オンラインマーケットプレイスでのビジネス機会や利用者の利便性を損なうような対策になるのは望ましくない。
Proposition 47によって窃盗が増加したという一面のみに焦点を当てた報道もそうだが、危険な暴力が人々の日常に存在する腐敗より、転売に使われるマーケットプレイスに非難の矛先を向ける。暴力が起こりやすい社会環境に向き合わない米国の深刻な問題が現れている。

アメリカのよく分からない法律、$950以下なら窃盗も強盗も詐欺もすべて無罪?

アメリカでは、州ごとに法律が決められています。その中でも、とても変わったユニークな法律の一つに、カリフォルニア州の窃盗法があります。

1.$950は軽犯罪、よって不起訴

カリフォルニア窃盗法には、少し前に新たに項目が追加されました。その項目ではなんと、$950以下の盗みなら軽犯罪に該当するので、起訴されないことになったのです。

詳しく説明しましょう。これは盗みの軽犯罪を犯すと、初犯は逮捕も起訴もされるのですが、同じ罪名で複数回の犯罪をしても、何回もリピートして起訴されることはありませんよ、というルールです。

街を歩いていて、誰に窃盗罪の前科があるかなんて見ただけでは分かりません。そのため、万引きや窃盗などの盗みをされて警察へ通報しても、$950以下の被害だと「警察はそんな暇じゃない」的な対応をされてしまうのだそうです。

初犯で逮捕起訴されるとどうなる?

もう一度言いますね。逮捕されないのは、すでに窃盗などで前科を持っている犯罪者が対象です。$950以下の盗みなら逮捕されないの?なんて顔がにやけてきたあなた、初犯は逮捕もされるし起訴もされることを覚えておきましょう。

ちなみに初犯で逮捕された場合、最大6か月間の懲役刑となる可能性があります。ただし、他に何の前科もなく、優秀な弁護士を付ければ、懲役刑を免れて執行猶予がついたり、賠償金や罰金を払っておとがめなし、なんてことにもできるのだとか。

2.どんな犯罪が対象か

$950以下の窃盗ルールの対象となる犯罪には、色々なものがあります。

  • 万引き(店から、個人の家から、は問わない)

  • 他人をタダ働きさせて適切な報酬を払わなければ労働力の窃盗罪

  • 盗品を誰かからもらった

  • 会社のカネをくすねた(横領)

  • 会社が管理している個人情報を売ってカネにした、受け取った金額は$950以下

  • 詐欺を働いて、受け取った金額が$950以下

  • 車上荒らしで与えた経済的な損失が$950以下

3.結論

カリフォルニア州で$950以下の盗みを働いても無罪、ということはありません。まともな警察なら、しっかり捕まえて起訴まで持ち込むでしょう。

しかし、息子様が暮らす予定のサンフランシスコのように警察の数が不足していたり、盗み天国化しているような都市部では、いちいち軽犯罪の取り締まりに警察官を動員する余裕がない、というのが実情のようです。

深刻化する米移民問題、大統領選の波乱要因に-現行制度の不備鮮明

Julie Fine、Josh Wingrove、Maya Averbuch

2024年4月4日 16:56 JST

  • トランプ氏は選挙戦のテーマに、守勢に立たされるバイデン大統領

  • 不法移民問題、有権者にとって経済に次ぐ主要関心事項-世論調査

米テキサス州イーグルパスを流れるリオグランデ川沿いにアルフォンソ・ネバレス氏の放牧場がある。放牧場の端に張り巡らされたらせん状の有刺鉄線はメキシコ側からの越境者を阻止するのが設置目的だが、越境者やその衣服を傷つけるだけだ。

  ネバレス氏は州兵が500エーカー(約2平方キロメートル)の放牧場の周りに張った有刺鉄線について、恐ろしく野蛮であると同時に、州警察を投入しヘリコプター、ドローンなどを使った国境警備のための他の取り組みの多くと同様、おおむね効果に乏しいとみる。

  州議会議員(民主)を務めた経歴を持つネバレス氏は「これらは全く問題解決にならない」と語る。同氏が立つ近くには越境者が廃棄した衣類などの残骸が山積みになっている。

ネバレス氏の所有地に廃棄された越境者の衣類など(3月11日)

Photographer: Christopher Lee/Bloomberg

  不法移民の問題は2024年の米大統領・議会選で重要な焦点の一つに浮上している。ブルームバーグ・ニュースとモーニング・コンサルトが実施した世論調査によれば、有権者にとって経済に次ぐ主要関心事項とされた。

  昨年12月に連邦の当局者が「遭遇」した越境者は1日当たり計1万人と前代未聞の水準に上って裁判所は対応不能に陥り、米国の制度が資金不足で透明性を欠き、破裂寸前であることが浮き彫りとなった。

  ネバレス氏はこうした状況について、「誰が次期大統領に選ばれ、どう対処されるかはこれで決まる」と話した。

  共和党候補指名を確実にし、ホワイトハウス返り咲きを狙うトランプ前大統領は、国境対策を再び独自の選挙戦テーマにしている。トランプ氏は連邦の当局者に対し「戦争」状態にあると述べたり、不法移民について「わが国の血を汚している」と白人ナショナリスト団体のレトリックを借用したりしている。

ホワイトハウス、不法移民巡るトランプ氏の発言を非難

  一方、 バイデン大統領は守勢に立たされている。国境対策のための法改正が議会で滞り、身動きが取れない状況にあると訴える。だが、移民問題でそもそもバイデン大統領を最も効果的に追い詰めたのはトランプ氏ではなく、テキサス州のアボット知事(共和)だ。

テキサス州イーグルパスのリオグランデ川沿いに張られた有刺鉄線(3月12日)

Photographer: Christopher Lee/Bloomberg

  新型コロナウイルス関連の行動制限が撤廃され、移民が再び急増しつつあった22年初め、国境警備当局の拘束を解かれた移民であふれたコミュニティーについての話をアボット知事は市長や郡裁判所判事、警察幹部から聞かされた。

  アボット知事がインタビューで語ったところでは、「彼らはもはや対応できないとのことで、私は助けに回ると話した」という。

  アボット知事や側近が考案したプランは、不法移民に寛大な政策を取る民主党の牙城「サンクチュアリーシティー(聖域都市)」に移民をバスで送り込むというものだった。最初のバスはコロンビアやキューバ、ベネズエラ、ニカラグアなどの移民を首都ワシントンの連邦議会議事堂近くに降ろした

  それに続いて、ニューヨークやシカゴ、フィラデルフィア、デンバー、ロサンゼルスなどの各市に移民がバス輸送された。

  国境対策でタカ派姿勢を取るフロリダやアリゾナの州知事らも同様の措置を講じ、テキサス州の場合、3月初めの時点で10万5000人余りをバスで移送した。

アルフォンソ・ネバレス氏(3月11日)

Photographer: Christopher Lee/Bloomberg

  トランプ氏は2日、遊説先のミシガン州で、「今や全ての州が国境州であり、全ての町が国境の町だ」と演説した。

  その多くが貧しくて就労資格がなく、寒い冬への備えもない移民を民主党の玄関先に送り届ける措置で、同党は突然、移民問題の対処を迫られることとなった。

  ニューヨークやシカゴなどの市政担当者はバイデン政権に助けを求め、ほとんど支援が期待できない状況で、デンバーなど民主党が主導する都市さえ移民をバスで他の地域に移送することになった。

  イリノイ州のメンドーサ会計監査官(民主)はアボット知事が打ち出したバス輸送を非人道的と非難する一方、地元当局と連邦当局の間に亀裂を生じさせる効果があり、「政治的観点から言えば、彼の措置は天才的だと言わざるを得ない」と認めた。

  ワシントンでは、11月の大統領・議会選を控え、新たな越境者の波に歯止めをかけるよう圧力が高まっている。危機感を抱いた議員も活発な議論を重ね、上院では超党派の国境対策がまとまった。だが、選挙年に大統領が手柄を挙げるのを望まないトランプ氏の圧力によって、法案は即座に暗礁に乗り上げた。

  バイデン大統領は現在、自分には国境警備強化のプランがあるのに共和党に阻まれているとキャンペーンで訴えている。大統領は先月の一般教書演説で、「われわれは国境の問題を解決することができる。法案を今すぐ送付してほしい」と語った。

  しかし、移民擁護を訴える人々は、国境対策強化に急きょ意欲を示すバイデン氏について、政治的弱点をカバーするのが目的であっても、一部有権者の票を失いかねないとも指摘している。原題:Abbott’s Migrant Bus Gambit Thrust the Border Into the 2024 Race(抜粋)

ハリス氏、国境の接戦州で移民制度改革を発信 トランプ氏に対抗 米大統領選


【ワシントン=坂本一之】11月の米大統領選に出馬する民主党候補のハリス副大統領(59)は9日、メキシコとの国境を抱える接戦州の西部アリゾナ州で演説し、移民問題の対応強化と制度改革を掲げ支持を訴えた。副大統領候補のウォルズ・ミネソタ州知事(60)と選挙集会を開く接戦州行脚の一環で、10日は西部ネバダ州を訪れる。

ハリス氏は9日の集会で「米国が直面する最大の問題に取り組む」と述べ、移民への対応を強調。「米国の移民制度は破綻している」とした上で、「包括的な改革」として国境管理の強化や移民の市民権取得への対応を進める考えを示した。

移民の市民権を重視する姿勢も示すことで、不法移民の流入阻止を強く訴える共和党大統領候補のトランプ前大統領(78)との違いをアピールした。アリゾナ州では移民問題が大統領選の大きな争点となっている。

ただ、移民に寛容な民主党のバイデン政権は規制強化に慎重だったため不法越境者が急増。バイデン大統領(81)は国内の不安拡大を受け規制強化に乗り出したが、トランプ氏は政権で移民対策を担当してきたハリス氏を「無能」だと攻撃している。

また、集会中にイスラエルによるパレスチナ自治区ガザ攻撃に抗議する声が上がると、「バイデン氏と私は停戦と人質解放のために毎日24時間体制で取り組んでいる」と理解を求める場面もあった。「皆さんの声を尊重するが、私たちは今、大統領選について話すためにここにいる」と語り掛け、演説を継続した。

バイデン政権は同盟国のイスラエルを支援しており、大統領選では支援見直しを求める若者やアラブ系市民の票の動きも注目されている。



参考文献・参考資料

トランプ氏、ホームレス増加に「一網打尽にして収容所で治療」…記者がテントだらけの現場を歩いた (msn.com)

<海外便り>Google、Intel、Apple…最先端のIT企業集積地に見た光と陰 アメリカ・シリコンバレー:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

シリコンバレー101(914) 10万円までの窃盗を重罪としないカリフォルニア、"万引き天国"問題のその後 | TECH+(テックプラス) (mynavi.jp)

カリフォルニア州での窃盗は本当に無罪か (samuraipassport.com)

三振法 - Wikipedia

深刻化する米移民問題、大統領選の波乱要因に-現行制度の不備鮮明 - Bloomberg

ハリス氏、国境の接戦州で移民制度改革を発信 トランプ氏に対抗 米大統領選 (msn.com)

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