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よしなしごと

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日常に思う「由無し事」だったり働き方を考える「善しな仕事」だったり、諸々のよしなしごとを綴ります。 (マガジン「雑記帳」より改題)
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記事一覧

夏季冷房25度設定はニューノーマルへ

酷暑記録を更新した2024年夏今年は「北半球でこれまでで最も暑く」、日本でも「異常気象といって差し支えない」と言われる、暑く厳しく、体調の心配される夏になった。先月末に発表された7月の熱中症による搬送人数は、2008年の調査開始以降で2番目に多く、アフターコロナのこの5年間で言えばうなぎのぼりの頂点だった。 4年前に書いた「アフターコロナの夏は冷房25度から考えよう」では、「室温25度をスタート地点として、自分なりの適温と冷房設定温度を」と提案した。 そう考える理由とし

成長と生存の戦略:PPMで考える組織と個人のスキル育成

ちょっと前に、こんな話を書いた。成長にはフィードバックが必要だ。アウトプットは人の目に触れフィードバックをもらえるけど、インプットでは誰の目にも触れない。いつまでも勉強(インプット)を続けるのではなく、背伸びして現場に出よう。 実はクラウド人材育成したいけれど資格取得の次の一歩は、という相談があってこの話は書いた。どこかでリスクに踏み込む必要があるという話だけど、組織ともなればそのマインドチェンジができる人ばかりではない。人材育成というとともすれば「全員のスキルアップ」

洗濯後にばさり、ばさりの風景

洗濯機から洗濯物を取り出すと、母は一枚一枚伸ばして、それからばさり、ばさりと振っていたように思う。はっきりと覚えていないのだけど、おぼろげにそんな風景が目の奥にある。 なんとなく、僕も洗濯機から出した洗濯物は、その場で一枚ずつばさり、ばさりとやる。よく考えてみると、母がそれをやっていたとしたら、洗濯物を干す前にしわを伸ばしてたのだ。水気で張り付ているところとかも、剥がれてきれいに伸びる。僕はいま、洗濯乾燥機で乾燥までさせてるから、もう畳んでしまうだけ。ばさり、ばさりの必要は

働きがい・やりがい・稼ぎがい――長く続けるための三つのモチベーション

最近、オフィス回帰の流れで定期的にチーム全員がオフィスに集まることになり、先日はその流れで終業後に飲みに行ったりした。マネージャーが5年目、6年目ぐらいの若手に聞く。 「君はどんな仕事がしたい?」 若手が口ごもる。まあそうだよね。就職とか配属とかの志望動機では、それっぽいことも言っただろう。でもそれがまだ練りこみが必要だったり、会社や部署を動かすにはそっちのミッションとのすり合わせができてなかったり、ちょっと今すぐやれることじゃないと気づいていく。高い志みたいなのはちょっ

耳のためにできること。夏のノイズキャンセリング。

もう6年目になる難聴関連の不調と付き合っていますが、音の方向感と距離感のなさについては「外出時は耳栓代わりのヘッドホン着用」というのが一つの対策。足音や自動車の音が、どこから聞こえてきてもびくっとする挙動不審ではかえって危ないので、もう聞かない方がお互いに安全という判断でした。ただこれまでこちらのヘッドホンを使ってきましたが、端的に言って夏は暑くて蒸れます。 そこで今年は、夏になる前にノイズキャンセルのあるイヤホンを二機種購入して試していたのですが、Amazonプライムデ

成長の鍵はアウトプット:知識を行動に移す重要性

アジャイル開発とかクラウドコンピューティングとか、新しいコンセプトが世の中を席巻している。知らないでは済まされない。だから学習する。費用負担とかなしの社内研修でも開けば、大入満員だ。でも業務利用はと言うと進まない。こういうの、あるあるだよね。 ペーパードライバーの背伸び進まないどころか、「新規のアジャイル案件があるんだけど」「クラウド案件があるんだけど」と打診すると「いや、まだ実案件はちょっとね」となることもあるらしい。それが研修受講者や資格取得者のいる部署でもだというの

最初の20時間 — あらゆることをサクッと学ぶ方法(ジョシュ・カウフマン)

だいぶ前に『「1万時間」は熱意の秤』というノートを書いた。まず世に言われる1万時間の法則は、「十分な量(1万時間)の努力すればだれでも一流になれる」みたいに語られがちだけど、もともとは「多くの物事では、適切な質と量の訓練があれば誰でも習熟できる」という話だった。訓練の質の話が忘れられて、1万時間という数字だけが独り歩きしてて、それは誤解を生みやすい。ただなにかの道を選ぼうと思ったとき、本当にその覚悟が十分か自問する秤としては、1万時間という数字自体も役立つかもしれない。そんな

顧客が本当に欲しかったもの

先日、酒席の雑談で、高齢化と車社会の話から、こんな会話が出た。 話は「オヤジが91歳でまだ運転しててさ、オフクロはもう免許返納してるけど」みたいなところから始まった。3人とも、生まれ育った街とか慣れ親しんだ土地とか好きな場所を終の住処にできるべきだと思ってるし、郊外に住む自由が車移動と切り離せないとも思ってる。 それでも、BとCはまったく違うことを考えてる。Bは車が不可欠な生活の用(買い物とか病院とか駅までの移動とか)だけを足すことを考えている。ゴールは運転しない郊外生活

夏に向けたベッドマットレス

僕もそろそろ体のあちこちが痛むお年頃ですが、一昨年の冬に「マットレストッパーのオススメありますか?現在のものは寝心地が硬め。ベッドにいる時間が延びてる最近、体が痛むので、トッパーを近々初購入しようと思ってます」と投稿したら… …と強めなコメントをもらって、ベッドは僕だけでなくみんなの人生の一大事なんだなあと思いました。みんなというのはざっくり同世代各位ですが、このあたりで真剣に向き合ってるのが椅子とベッド。僕は若輩だった2005年には仕事環境の要、椅子に投資して17年間ダ

「がむしゃらに働く」って週60時間ぐらいまで

今日はQuoraに投稿した回答を転載。 がむしゃらに働いた方が成果が出ます。ただし、ここでいうがむしゃらとは「週60〜65時間労働」です。 これは超えてはいけない過労死ラインで、また超えても成果がむしろ出なくなるラインなので、がむしゃらも度が過ぎないようにしてください。 「生産性の高い働き方」について考えたことがあるのですが、モートン・ハンセンという人が「オレンジの果汁を搾り取るように」従業員から成果を搾り取れるのは何時間労働までかを調査していて、次のような結果を出してい

「おじさん構文」と「マルハラ」の憂鬱

SNSとトンマナ論 ブランドとか場の雰囲気をデザインするときは、トンマナ(トーン&マナー)を合わせることも重要とよく言われる。実はSNSでの文体がアレコレ言われるのも、きっとトンマナの文脈なんだろうと思っている。例えば「おじさん構文」とか…… ……マルハラとか…… ……似たようなものは、SNS普及以降に折々のものが生み出されてきた。おじさん構文に対して「おばさん構文」なるものもあったし、「エアポートおじさん」というのもトンマナという視点ではここに並ぶと思う。 「おじさ

車のない街を考える

以下の記事を読んで、EV(電気自動車)も「はじまりの終わり」が始まったなあと思います。ガートナーのハイプサイクルで言えば、めちゃくちゃ期待されてたピークを過ぎて、失敗事例が噴出してきてノリで参加してた人たちが醒めていく時期。 ピーク期に種が大量にまかれる「失敗事例」の中には、イメージ先行で雑に煽った期待になんの実体もなかったからみたいな、単なるミスマッチ事例がかなり多く含まれます。でも本質的な問題が浮かび上がってきて、この領域の未来のためにそこは乗り越えないととなる「問題事

COMPBEATで音楽と共に水泳を、動画と共に入浴を

いま、僕のヘッドセット系ラインナップはShokz Aeropex、Victor EH-W10、COMPBEAT、ag WHP01kと四台体制になってる。この中で多分もっともニッチなのが完全防水骨伝導ヘッドセットCOMPBEATだ。 水泳用ヘッドセットの探し方 長い付き合いの生活習慣病とも、そろそろ付き合い方を考えないとと重い腰を上げたのが昨年1月。以来1年、ジムに通って筋トレと水泳をしている。プールへはスマホなどの電子機器持ち込み禁止なのだけど、ただし「単独で動作する活動

Think Global, Act Local, 2024.

ナッジ理論とゴミ捨て場 僕の住んでいるマンションには24時間ゴミ出し可能なゴミ捨て場がある。ただごみ収集は週に二回で、その前日になるとゴミ捨て場が結構ごみであふれた感じになる。最近は、そうなるとエレベーターホール寄りの入り口前がふさがったりもする。ゴミが増えてきたのだな。そう思ってた。 昨年の終わり頃、マンションの管理人が週の前後半で二交代制になった。新しい管理人はゴミ捨て場の整頓に意欲的な人だった。居住者がバラバラな大きさの袋で出したゴミが、毎日大き目の統一サイズのご