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負け犬と呼ばれて

退職と慰留

うんぬんとnote上で悩んできましたが、転職することを決意し、上司に辞意を伝えました。悩んで悩んで心が疲れて、それでもなお、自分には別にやりたいことがある、会社員としての成功ではない違う目標に向かって生きたい、とそう思いました。散々の慰留を受け、その中での自問自答をnoteで書き出してました。ようやく上司が納得したのか説得を諦めたのか、退職が確定しました。

直接の上司とはトータルで10時間ほど話すこととなり、いざこの場に及んでそんなに時間をかけることがあるならば、事前にその2割でも部下に目を向けてみれば良かったのでは、と思うこともしばしばあり、また泣き落しストーリーでくることもあり、良くも悪くも上下左右に心を動かし、ほとほと疲れ果てての決着でした。

上司を嫌な人間だとは思わないし、むしろとてもいい人だしガッツもあって立派だと思っています。仕事のやりがいだったり、マネジメントの仕方、会社の方向性への不安、そんなことは胸襟を開いて話し合え、改めていいやつだなって思ったし、いろんな矛盾や苦しみの中で自分なりの答えを出して生きてるんだなって安心しました。ですが話し合う中でやはり分かり合えないというか、決定的に異なる点は、大企業で働くことの意味でした。

世代の価値観なのか、ある種の自己肯定なのか、はたまた僕が間違っているのか。どんな環境でも、努力次第で、やりたいことは実現できるのかもしれない、だから会社の違いはあまり理由にならないのかもしれない。でも、どう生きたいのかは、やはり折り合えなかった。多分大企業で働くことはメリットが多い。部門や階層も豊富で、資源には困ることがない。仕事の成果も大きなことが出来る。世の中で認められるような仕事が出来る。安定した給与もあるしローンを組むことにも困らない。そんな立場を捨てて、それでもやりたいことなんてあるのか、と。

なんでだって聞かれると、やはり困ることはある。いままでの自分を否定することになるし、目の前の上司も、そして世話になってきた全ての人を否定することになる。いや、みんなが迷った末に出した答えなら、価値観次第だから否定しないのかもしれない、それでもやはり大企業万歳病よいうか、自分の会社は万歳だと思っている。きっと東芝の人もそう思っていただろうし日産の人もそう思ってただろうしシャープの人もみんなそうだっただろう。信じる価値観が崩れることなど思いもしていないんだと思う。
僕は疑い深いし、自分よりも何かを信じることなんてできないから、今いる会社がずっと残るものだなんて思わないし、いましている仕事が、外に出た時に果たして評価されるものだとも思わない。薄い目は引くタイプだから、退職したあとに株価が爆上がりするかもしれない。

負け犬って

それでも、どう生きるか、どんな仕事をするか、その結果がどうなるかわからないけれど、自分で選択しなかったことを粛々と受け入れることができないんだと思う。それは大人な選択じゃないのかもしれない。でもその大人な選択をすることが、自分がなりたくない、面白くない大人になる気がして、きっとそんな自分を貫き通すためなのだって、いまこの辛い状況で自分に言い聞かせている。

大企業万歳の価値観からは、タイトルにあるとおり、逃げた負け犬だって思われる。最後の最後、上司にもそんなことを言われた。価値観が絶対だと、そこからはみ出るものは不適合者であって、途中で諦め脱落した「負け犬」なのだ。

その狭い価値観が、企業の中で感じる閉塞感の正体なのではないかと思った。辛い時、周りと比べるとき、安易に自分の今いる状況を正当化する。それが世の中でそこそこ評価されているものだったりすると、より安心する。信じて疑わない、それは自分を守り、納得させ、高めるものだ。きっと心の作用としては間違いない、幸せになれる。

負け犬になった僕は、大きな群れから出て、知らない土地で小さな群れで生きることにした。別に負けたとは思っていない、もしかしたら、冷静に考えても負け犬なのかもしれない。(同期の中では一番評価は高かったし、泣き落しの中でもそんなことは言われたので、別に負けてないんだと思う)
いままでの経歴はそこそこ綺麗だけど、小奇麗にまとまった室内犬の選手権で入賞するよりも、泥にまみれて小競り合いを繰り返す狼になりたかったんだと思います(ちょっとカッコつけすぎた)。

何がしたかったのか

自分で決めたかった、どんな自分になるのか、可能性を諦めたくなかった、小さくまとまりたくなかった、大人になりきれなかった。多分、主人公で有り続けたかった。別に主人公のような見た目はしてないし、キャラクターでもないけど、20年後には大企業でのんのんしてる同期には負けない、おもしろいおじさんになっていたい。

シンプルに言うと、そんなことのような気がしました。
いまだって心の整理は完璧に付けきれてないし、これからも今回の選択が間違っていたのか悩むと思います。世の中には失敗する転職もいっぱいあるし、僕も誤った道を歩むかもしれないけど、結果そうなっただけで目指した道は間違ってなかったとそう思えるような人生にしていきたいです。

終わり。

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