灯台下暗し

創作のマストアイテム

最初にそのタグを見た時、何も思い浮かばなかった。というのも、色々頭に一斉に浮かんできたおかげで、一つに絞れなかったというのが正しい。ではその言葉をよくよく噛み砕いてみれば、自分が創作する時に欠かせないものとはなにか？更に言い換えて、創作の過程に於いて重要視していたものは何のか？そこまで考えて、ふと一つ浮かんできたものがある。

自分の創作のマストアイテムとは、そこに注げる情熱ではないだろうか。

かねてより自分は昔から創作に憧れる人間であった。まだ小さい頃から冒険物語や推理小説といった類が好きで堪らなく、それに乗じて友人と物語を合作したり自分でも物語を作ったりしていた。そしてそれは大きくなっても変わらず、学生の頃はほぼ何かしらの物語を作り続けていた。途中で行き詰まれば、その要因を見つける為に本屋や図書館で違うテイストの本を読んだり、無料サイト等で公開されているものを片っ端から読んで探していた。そうして行き詰まりから脱出できた時には、夜中まで勉強もそっちのけで作り続けていた。それらは全てそこに注ぎ込める情熱があったからでは無いのだろうか。

ではその情熱はどこへ行ってしまったのか。別にどこかへ行ったりするものではないのに、あの頃に比べるとその熱量は消えてしまったかのように思える。だってそれは、別に足が生えているわけでもないし、ましてや意思があるわけでもない。では何処へ。その答えは至極簡単であった。

情熱はすぐそこにいるのだ。ただ注ぐ矛先が、学生から社会人になった途端に変わってしまっただけで、相も変わらずそこにちゃんと腰を据えていたのである。見つけるのが遅くなり、些か申し訳ない気持ちになってしまう。

はてさて、ちゃんと見つけたこの情熱を、次はどの創作に注いでいこうか。それを考えるだけで、今日も夜更かししてしまいそうである。