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『公園物語』 その6

二つ目の砂場に着手しはじめた。

うちの近くにある公園は、
高低の2箇所に分かれる。

低いところにあるメインの大きい公園と、
僕ら家族が拠点にしている高台にある公園だ。

その二つの間に森がある。
その森を降ってもう一つの公園を通り、
僕らはいつも児童館に行く。

その低いところのメイン公園の砂場も、
綺麗にすることにした。

しかし、骨が折れた。

行くのに山を降らなければならないからだ。
上の公園は家からふらっと行けるから。
下の公園は遠いわけではないけど、ゆったり進めればいいか、とはならなかった。

そんなある日の水曜日。
朝から児童館に娘と行く。
働いてないからできること。

手を繋いで山の中の階段を降りていく。
その横で、お花の手入れをしている婦人がいた。

「ありがとうございます〜!」
と、声をかけた、すると、
「あら!ありがとうございますって!
 嬉しいわ〜!男性でそんなことを言ってくれるなんて!」
大層、喜んでくれた。
「花と緑の会」というボランティアグループらしい。
その仲間のところに走っていってその喜びを伝えていた。
そしてお仲間のご婦人も
「あら、ありがとうね〜。
 かわいい娘さんね〜」
と、言ってくれた。
街に入れた気がした。

その人たちと話す中で、砂場の話になって、
そしたら器具を貸してくれることになった。
鉄でできた熊手みたいなやつ。
おお、、、これがあれば一瞬だ、、、

と、いうことで、
児童館が終わって午後。
さっそく熊手を持って砂場へ。

ザック、ザック、ザック、ザック
どんどんとれる。
ザック、ザック、ザック、ザック
草の混ざった砂の山が、どんどん高くなっていく。
ザック、ザック、ザック、ザック
ついには大方、片付いてしまった。

前に作った砂の山よりでっかい山が、
目の前にそびえ立っていた。
2歳の娘よりもおっきいやつ。

大満足で帰った。
晩飯が美味かった。

それから数日後、
いつものように上の公園で遊んでいると、
あの小4女子グループがきた。
「よー!一緒に遊ぼー!」
相変わらず最高。

そのとき、
「あ!前、下の公園で遊んだやろ〜!」
と、言われた。
「え?なんで?」
「だって、砂場にでっかい山があったんやもん!
 そんなんすんの、あんたしかおらんやん!」

なんか、なんか、泣きそうだった。


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