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小説家プロジェクト

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小説を書いてみよう。 思いついたものから。
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記事一覧

小説『洋介』 15話

 春休みが終わり二人は6年生になった。 去年に引き続き、彼女と同じクラスになった。 と言っ…

じょーじ
5日前
2

小説「洋介」 14話

 季節は春になった。 一週間の春休みが始まる頃。 終業式の後、二人は河原にいた。きっと二人…

じょーじ
2週間前
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小説「洋介」 13話

 始業式の朝。 教室につくと、久しぶりに見るあの子がいた。 なんとなく緊張してしまった。 …

じょーじ
1か月前
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小説「洋介」 12話

 冬休みに入って一週間が過ぎた。  親戚が家に来たり、家族でおばあちゃんの家に行ったりし…

じょーじ
1か月前
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小説「洋介」 11話

 決意の翌日。  学校であの子を見つけると、うれしくなって「おはよう!」と笑顔で話しかけ…

じょーじ
1か月前
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小説「洋介」 10話

 次の日の学校。  ロクにあの子の顔を見ることができない。 さっと顔を避けてしまう。 彼女…

じょーじ
1か月前
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小説「洋介」 9話

 最近は日が沈むのも早くなった。 河原に来ても、長くいられないのが残念だ。 夕日に間に合わないこともあった。 でも浮くまでのスピードも、ずいぶん早くなった。 最初の時は、浮くのはいつも、ピンポン玉ぐらいの大きさの、きれいな丸い石だった。 最近は、違う石が浮くこともある。大きめの石も時々浮く。。 この時はまだ、特定の対象を浮かすというよりは、浮いてくるのを待つという感じだった。どうやって浮く石が選ばれているのかはわからない。 特に底まで行くの時間が短くなっている。心の凝りが

小説「洋介」 8話

 石を浮かせられるようになったと、僕は確信した。 その方法を掴んだ、と。 あれから何度も、…

じょーじ
1か月前
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小説「洋介」 7話

 河原についた。 誰もいなかった。 河原に来るともう、自然にスイッチが入る。 太陽のほうに…

じょーじ
1か月前
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小説「洋介」 6話

 次の日の学校。女子に話しかけられた。 「なぁ、昨日河原おらんかった?」  ギクリ。なんと…

じょーじ
1か月前
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小説「洋介」 5話

 初めに石が浮いてから3か月。 二回目から2ヶ月。 今日もいつものように、誰もいない河原で…

じょーじ
1か月前
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小説「洋介」 4話

 うちの家族の帰りは遅い。 だから学校の後には大量の暇がある。 そして僕はどうやら変わり者…

じょーじ
1か月前
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小説「洋介」 3話

 走って家に帰った。家には犬のぺス以外誰もいない。いつものことだ。共働きの両親と中学の姉…

じょーじ
1か月前
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小説「洋介」 2話

 あの日から一ヵ月。 いまだに石は浮かない。  今も夕暮れ時。 あれから何度夕日をみてもあの感覚にはならない。  そもそもやろうとしてできるものではないのかもしれない。 期待してしまっている分、期待できていないのかもしれない。 もうどんな感覚だったかもはっきりと思い出せない。 あの時の記憶は薄れてしまっている。  そのときふと、河原からななめ右上を見てみると、 ベビーカーに乗っている赤ん坊とその母親を見た。 その時、心が緩んだのを感じた。 その瞬間、その心の隙間に入り