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イラストエッセイ 私家版パンセ

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ぼくは30年間の教師生活を送りました。その30年間、子供たちが元気になれるような言葉はないかなと考え続けて来ました。  そんな風にして考えた小さな思考の断片をご紹介します。  こ…
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記事一覧

20241002 イラストエッセイ「私家版パンセ」0054 リベラルアーツについて (ジェネラ…

 ぼくはリベラルアーツの大学に学びました。  最近はよく聞く言葉ですけれど40年前は珍しか…

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20240925 イラストエッセイ「私家版パンセ」0053 運鈍根

 成功の秘訣は運鈍根といわれます。  成功するのに運が必要なのはわかります。当然、根性も…

20240923 イラストエッセイ「私家版パンセ」0052 創造的であれ!

 「創造的であれ」とよく父がぼくに言いました。  フランスの哲学者アランも、「創造的で意…

20240919 イラストエッセイ「私家版パンセ」0051 旅のよろこび

 旅の喜びは二つあります。  一つは、見知らぬ風俗に触れること。旅は好奇心を満足させ、固…

20240909 イラストエッセイ「私家版パンセ」0049 知恵と技術、そしてお金

 昔は生活するために知恵と技術が必要でした。草木に関する知恵、農作物に関する知恵、食物を…

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20240906 イラストエッセイ「私家版パンセ」0048 我慢について 子どもを不幸にする方…

 ルソーが言いました。「子供を不幸にするのは簡単だ。子供に欲しいものを与えれば良い。」 …

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20240824 イラストエッセイ「私家版パンセ」 0045 迷宮体験

 観劇や読書、美術館巡りや音楽鑑賞は、一種の迷宮体験です。  迷宮体験とは、とある迷宮に入り込んで一定時間を過ごし、再び外に出た時、以前の自分とは違ったものになっている、という体験です。  ちょうど一人の若者が迷宮に入り込み、ミノタウロスを倒した後、英雄となったテセウスの伝説のように。  迷宮の中で行われるのは死と復活の儀式です。迷宮を経た後、人は新しい自己として再生します。  人は人生の重要な事柄を迷宮体験を通して学びます。  真に学ぶということは、単なる知識の取得ではなく

20240830 イラストエッセイ「私家版パンセ」0046 体験から経験へ。そして経験から普遍…

 人は言葉では変わりません。  人を変えるのは、「体験」です。  体験とは他者との出会い。…

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20240902 イラストエッセイ「私家版パンセ」0047 自然科学と人文科学の違いについて。

 自然科学と人文科学の違いは、自然科学が継承可能であるのに対して、人文科学、特に文学は継…

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20240806 イラストエッセイ「私家版パンセ」0040 「死について」

 ギリシア神話では、「昼」は「夜」から生まれたとされます。  「死」から「生」が生まれる…

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20240821 イラストエッセイ「私家版パンセ」0044 読書について

 今日は、読書のすばらしさについてお話ししたいと思います。  読書はとても創造的な営みで…

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20240809 イラストエッセイ「私家版パンセ」0043 「形式か破格か」自由は本当に人間を…

 形式を好むか破格を好むかと聞かれたら、ぼくは形式を好む方だと思います。  形式という制…

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20240808 イラストエッセイ「私家版パンセ」0042 「認知特性」(見ることと聞くことは…

 二十年近く、高校生や子供のジャズバンドを指導してきました。  ぼくはどちらかというと理…

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20240807 イラストエッセイ「私家版パンセ」0041 アリストテレスによる学問の定義によせて 雑感

 人間は古来、経験的知識を積み重ねてきました。黒雲が空をおおうと雨になるとか、新月と満月の時に大塩になるとか。  「こうすればうまくゆく」といった、いわゆるノウハウものも経験知になります。  しかしアリストテレスはこれを学問的知識とは認めませんでした。  学問の祖であるアリストテレスは、学問的知識とは「原因」を問うものと定義しました。  つまり、新月と満月には大潮になることは知っている。しかし何故それが起こるのかを究明するのが学問であるというのです。  アリストテレスはさら