3Dプリンターって何ですのん? ‐3Dプリンター超基礎知識‐
「3Dプリンター製住宅」や「金属3Dプリンター」など何かと話題にあがることのある「3Dプリンター」
触ったことはなくても、気になっている方は多いのではないでしょうか。
実はツジカワでは、3Dプリンターによる造形も手掛けております!!!
一見何の繋がりもなさそうな、彫刻技術と3Dプリンター。
でも、ツジカワが3Dプリンターを取り扱うのには理由があるんです。
そんな、今まであまり触れてこなかった
「ツジカワの3Dプリンター」について、今回はご紹介していきます。
「3Dプリンター」とは?
「3Dプリンター」とは名前の通り、3D=立体造形が可能なプリンター。
読み込んだ3Dデータに沿って、積層していくことで立体造形を行う装置です。材料や仕様は様々ですが、ベースの仕組みは同じです。
「積層」って?
例えば、リンゴの形を作りたいとき。
粘土で作るときは、まず丸くこねて大きな形を作っていきますよね。
でも、3Dプリンターの概念だと、こう。
読み込んだモデル(今回の場合はりんごの形)を輪切りにするイメージで、下から順々に積み上げて形を作っていきます。
3Dプリンターに「プリント」という表現が使われているのは、読み込んだモデルを『平面の集合体』として認識して、上に上に印刷しているからなんです。
3Dプリンターに対応するデータ形式
3Dプリンターは、『なんでもできる万能機!』のようなイメージを持たれることが多いですが、造形するための「3Dデータ」がないと、極端な話ただの箱です。
また、要となる「3Dデータ」も、3Dプリンターに対応するデータ形式で読み込んであげないと、これまたただの箱です。
「3Dデータ」って全部同じじゃないの???
3Dプリンターで使用されるのは [ STL ]という3Dデータが一般的ですが、
建築・3DCG・プロダクトなどなど……使われる業界や用途、3Dソフトの種類によって、「3Dデータ」と呼ばれるものにも、違いがあるんです!
一番右の「メッシュ・ポリゴン」と呼ばれるデータは、
3Dプリンターで使用される [ STL ] や、CGなどで使われる [ OBJ ] という拡張子がつくことが多いです。
中央の「サーフェス」「ソリッド」と呼ばれるデータは、
プロダクトや金型でよく使われる [ STEP ] [ IGS ] [ X_T ] などという拡張子がつくことが多いです。データの形によって難易度は様々ではありますが、3Dプリンター用のデータ変換もできないことはありません。
一番左は、図面に多く使われる [ DXF ] [ DWG ] などという拡張子がつくことが多いです。これはあくまで平面(二次元)のデータなので、3Dプリンターでの造形を行うには別途モデル作成が必要となります。
「3Dデータあります!」と言われて受け取ったのが [ DXF ] というのが、実は少なくないんです。お見積りひとつとっても、受け取るデータが造形する形に近いものであればあるほど正確に早く計算ができます。
書類や画像でいう、PDFだのJPG、ExcelだのWordだのと、似たようなものだと思ってください。それぞれ必要に合わせた最適な形があるんですね。
ツジカワと3Dデータの関係性
これらのデータ形式は、ツジカワのような製造業では元々馴染みの深い単語です。
彫刻版(肉付け箔押版)や曲面のあるプラスチック向けのホットスタンプ版
のデータを作る際にも3Dデータは必要です。
版って板状だし平面っぽい!と思いきや、立体的なレリーフやボトルの曲面が関わってくると三次元になってくるんですね。縦横高さで三次元。
ツジカワでは、石鹸の金型の作成や、ボトルなどの金型への微細加工なども行っているので、その辺は、もう、まごうことなき三次元。
彫刻技術と3Dプリンター。近しい要素が見えてきましたね。
しかし、ツジカワが3Dプリンターを扱うのは、単に3Dデータを取り扱うからだけではありません。
データの作り方=「3Dモデリング」にも重要なポイントがあります。
「3Dモデリング」とは?
3Dモデリングとは、ソフトウェアを使用して3Dデータを製作する工程のことを指します。
ツジカワは3DCADの種類が豊富!困難な形状もデータ作成が可能
3Dプリンターを使用する上でとても大切な「3Dデータ」
3Dデータを作成するには「3DCAD」と呼ばれるソフトウェアが必要になります。
書類を作るにも、Word・Excel・PowerPointなどがあるように…
絵を描くにも、ペイント・Photoshop・illustratorなどがあるように…
3DCADも、使われる用途によって種類がたっっっくさんあります。
WordやExcelのように、3DCADにも、得意不得意・向き不向きがあります。どんなものを作りたいのかによって、使うソフトは変わっていくのですが、ツジカワでは「立体的なレリーフ」「ボトルの曲面に押す版」「ボトルを置くための治具」「石鹸の金型」「金型への微細加工」などなど……
扱う製品が様々な分、様々な種類の3DCADを取り揃えています。
あまり一般的ではないマニアックなソフトも入れているので、他の会社さんが作りにくい形状でも、様々な3DCADを複合的に使用することで、痒い所に手が届くデータ作成が可能です。
「作りにくい形状」って?
3DCADは建築や工業製品を作成するために使われることが多いので、3DCAD自体も使用用途としても、図面に落とし込みやすい、数値の決まった形状を作ることが多くなります。
例えば、山のような半円形を作る場合。
左のつるんとした形状なら、指定の数値で作成すればイメージ通りのものができますし、図面を見れば誰でも同じものが作れます。
しかし、右のようにぼこぼことした、本物の山のような形状を作りたい!となった場合、微妙な歪みを数値で制御するのはとても難しいです。
これが粘土なら、親指で少し押せばいい感じの凹凸が作れるかもしれませんが、データで、しかも三次元となるとまぁ厄介。デザイナー自らデータを作るわけではない場合、いい感じの凹凸がどの程度なのか、数値以外の要素ですり合わせるのは更に大変です。
これまで数多くのエンボス・デボスに使用される彫刻版を製作してきた実績のあるツジカワだからこそ、写真を更にリアルに、デザインスケッチからでも、お客様の思う形状を作り上げることが可能です。
スケッチ1枚からでも、カタチにします。
デザインスケッチから、どのようなデータが作られていくのか。
実際のモデルデータでご覧ください。
「いばら姫」のふっくらした横顔や、周囲に敷き詰められた薔薇。
元々はただの平面のスケッチです。
ツジカワではこのように、スケッチからでもリアルな質感や立体感のある3Dデータ・製作物を作り出すことができます。
作成した3Dデータは、モックアップとして3Dプリンターで造形することも、製品用の金型彫刻としても使用できます。
立体的なレリーフだけではなく、フィギュアのような形状も作成可能です。
3Dモデリングで作成した3Dデータは、画面上でサイズを変えることも容易にできるので、同じデータをもとにこんなこともできちゃいます。
彫刻技術と3Dプリンター
ツジカワが携わる製品のほとんどは、「デザイン」→「3Dデータ作成」→「金型彫刻」→「成形」という段階を経てやっと、実際に手に取れる成形品に仕上がります。
3Dデータの状態では、持った時のサイズ感や質感は想像するしかありませんし、成形品を手にするにまでには時間も費用もかかります。
デザイナーやデータの取り扱いに慣れた人であれば、なんとなく想像することもできますが、企画会議やプレゼンの場では、そういう方ばかりではありません。
「画面上の3Dデータでは、サイズ感や凹凸の形状が想像できない」
「手に持ったときの触り心地を試したい」
「金型を彫刻する前に、実際の形状を見てみたい」
などなど……そんな声にお応えするために、ツジカワではかれこれ10年ほど前に、精密で単色造形が可能な3Dプリンターを導入しました。
お客様の要望に合わせてオーダーメイドに。
様々な製品を幅広く作り続けてきたことで、彫刻技術と3Dプリンターという、一見繋がりのなさそうなふたつが繋がりました。
次回は、実際の機械や、それらで作れるものについてご紹介していきます!3Dプリンターも、種類がこれまたたくさんあるんですよ…!
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