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ショートショート 四天王

 戦いのときは突然やってくる。
 油断していた私の前に突如として姿を現した敵は、こちらの準備を待たず、魔法を放ってきた。その瞬間、私の身体は固まり、動けなくなる。 

 「うっ……どうすれば――」 
 
 当然、その隙に攻撃を仕掛けてくる。その衝撃は凄まじく、私は大ダメージを負い、口から血が流れ出す。なんとか身体が動くようになり、抵抗を試みたが効果がない。
 それならばとダメージを負いながらも、置かれていた武器を手に取り、思い切り突き刺し、一気にトドメをさしてやった。

 「ハァハァ……。やったか……。」
 一瞬の出来事ではあるが、なかなか厳しい戦いであった。私の服はヤツの返り血で真っ赤に染まってしまった。 
「くそっ!お気に入りの服だったのに――」 
 視線をあげた私は言葉を失い、青ざめた。
 嘘だろ……。

「ハッハッハッ。なんとか倒したようだな。やつは四天王の中でも最弱。これからが本番だ。」 
 私の皿の上に人参、ピーマン、椎茸が立っていたのだ。 
「トマトだけじゃなかったのか……。」
 私は手に持ったフォーク強く握りしめた。

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