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アイヌ文化と植生: 旭川市博物館分館 アイヌ文化の森伝承のコタン


館の所在地域

 アイヌ文化の森伝承のコタンは、北海道上川総合振興局管内の旭川市に位置します。
 旭川市は、石狩川・牛朱別川・忠別川・美瑛川等の合流地である上川盆地に位置しており、気温の年較差が大きい内陸性気候となっています。縄文時代には既に人類が生活しており、中近世以降には、石狩川と忠別川の氾濫原付近を中心に、主に漁業を生業とする上川アイヌの集落が発展しました。神居古潭等、アイヌ関係の文化遺産や信仰の場が多く遺されているのも特徴です。
 現在、旭川市は、道庁所在地の札幌市に次ぐ北海道第二の都市として道北地方の経済・産業・文化の中心となっており、ユネスコより「デザイン都市」及び「国際会議観光都市」の指定も受けています。

館の沿革

 同館は、屋外の復元コタン(アイヌ集落)を核に、旭川市博物館の分館として昭和47年に開館した歴史民俗資料館です。アイヌ文化の保存と伝承を求める機運の高まりを受け、昭和47年、古来よりアイヌの聖地として崇められてきた嵐山の地において、コタンの復元事業が行われたことを始まりとします。
 平成18年には、隣接する嵐山公園センター内に資料館が設けられ、丸木舟や衣類等といったアイヌ文化・風俗に関する資料の他、アイヌ民族による植物利用に関する展示が行われています。

館の概要

 同館の中心となる野外の復元コタン内には、チセ(アイヌの住居)やプー(アイヌの食糧庫)、アシンル(アイヌの便所)等の施設が復元されており、建物内部の見学も可能となっています。また、実際にアイヌの伝統行事や宗教的祭祀の会場としても用いられており、アイヌの村落における伝統的な生活について理解を深める上で大変貴重な場となっています。
 尚、同館が所在する嵐山自然公園には、北邦野草園が併設されています。北邦野草園は、市民の散策や交流、旭川営林局職員の研修を目的に、昭和47年に設置された植物園です。園内では、開拓以前の豊かな森林植物の復元・保護を図る為、自生種を中心とした北邦系の植物が収集・展示されており、全長約5.2kmの遊歩道より見学が可能となっています。

施設情報

館名: アイヌ文化の森 伝承のコタン (Forest Denshō no Kotan of Ainu Culture)
住所: 〒071-1250 北海道上川郡鷹栖町字近文9線西4号
URL: https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/hakubutukan/navi/d053250.html
公共交通機関: 旭川電気軌道 北邦野草園入口停留所より約800m
       JR近文駅より約1.8km
※訪問の際は最新の情報をお調べの上お出かけください。

参考文献

辻󠄀 博仁「アイヌ文化の森伝承のコタン」(國學院大學博物館学研究室編『野外博物館事典 平成30年度中間報告』國學院大學博物館学研究室、平成31年、2頁)

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