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被写体への敬意をぜったいに忘れない。人だけじゃなく、猫にも、モノにも。
写真を撮るのってめちゃくちゃ楽しいですよね。ぼくみたいに写真をはじめたばっかりの人はなおさらそうなんじゃないかと想像します。あちこちにカメラを向けて、自分の撮りたい気持ちに素直にシャッターをどんどん切っていくわけです。まさに前のめりな感じで。
でもこのときぜったいに忘れちゃいけないのは、「被写体への敬意」です。
写真を撮るときは動物でもモノでも敬意を忘れない。
猫を撮るなら猫が喜ぶ写真にする。
これはワークショップ「いい写真は誰でも撮れる」で幡野広志さんがおっしゃっていたことです。
この「被写体への敬意」の話をはじめて聞いたとき、すごく恥ずかしい気持ちになりました。だってぼくはめちゃくちゃ近い距離で自分の猫を撮っていましたから。まあちゃんかわいいねえとか言いながら(うちの猫は「まあすけ」という名前です)。被写体の気持ちを考えないで、自分の撮りたい気持ちだけで写真を撮っていたんです。
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猫の変な顔の写真だって、ぼくにとってはめちゃくちゃ尊い写真です。ほんとうにかわいいと思う。だからそれをそのままSNSにあげたりしていました。でもぼくが猫だったら(というか猫でなくても)、そんな写真を無許可で見ず知らずの人たちに見られたくない。知ってる人たちにも見られたくない。彼はしゃべらないだけで、そんなことされたらきっと嫌でしょう。まあちゃんごめんね。
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それから、うちの猫を撮るときの距離に気をつけるようになりました。撮るときの気持ちも変わりました。彼が嫌がりそうな写真はSNSに投稿しないようにもしました。
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幡野さんと一緒に『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』を作りはじめてから、ぼく自身もワークショップを受けて、それからワークショップの手伝いもするようになって、幡野さんから写真についてのいろんなことを教えてもらいました。衝撃を受けたことを挙げればキリがないですが、中でも印象に残っているのはやっぱり撮影する際の「敬意」の話です。
「敬意」については、『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』では第4章の「適切な距離感」「撮影者の気持ちと被写体の気持ち」に詳しく載っています。
自分のための写真なら近い距離のドアップで撮ればいいと思います。だけど被写体のためにって思うなら、撮ろうと思った距離からあと3歩後ろに下がりましょう。被写体の気持ちになってみましょう。自分だったらドアップで顔を撮られたいですか? 近い距離でカメラを構えられたときのストレスに耐えられますか?
第4章の「適切な距離感」より
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撮影するときに相手に敬意を払うと言うことがいちばん大事。遠慮がなくなった相手ほど敬意も失われます。自分の子供や家族、ペットや恋人や親友など関係性が近くなればなるほど遠慮が失われます。
第4章の「撮影者の気持ちと被写体の気持ち」より
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言われたら当然なんですけど、写真に夢中になりすぎたり、自分の「好き」の気持ちがやや暴走したりすると、そんな当然なことへの配慮ができなくなってしまうんですね。
「被写体のためにと思うなら、撮ろうと思った位置からあと3歩さがる」
あらためて、肝に銘じます。
【お知らせ】
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幡野さんが「できれば触れたくなかった」という、写真についてはじめて書いた本。大好評のワークショップをベースに幡野広志さんが渾身の書き下ろし。初心者の方にぜひ読んでいただきたい1冊です。幡野さんの写真も多数。カバーとそれぞれの章トビラのイラストはヨシタケシンスケさんです。
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家族のこと、病気のこと、写真のこと、旅行のこと……1枚の写真とともに綴る、日常に寄り添った51のエッセイ。古賀史健さんとのロング対談も収録。「写真の読み方」がわかる本。対談では写真と言葉の関係もよくわかります。
★幡野さんのワークショップはまだまだ続いています。
and recipe のHP(https://andrecipe.tokyo/store/5256/)や幡野広志さんのTwitterをチェックしてみてください。順次開催される予定です。心からおすすめです!
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