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最後の、箱庭稽古日報 6/1

さあ。6月に入りました。2020年はあっという間に過ぎ去り、ほとんど思い出もなく空白状態。2021年は今年こそは!ともがき、挑戦し、変わらぬ現状に絶望していつかこの挑戦を後悔してしまうんじゃないかと心のどこかで不安を抱える日々を送り続けてきました。そんな2021年ももう真ん中。

演劇の人間が苦しみの中でも演劇を生み出す理由はきっとそれぞれでしょうが、私はやっぱり作らないと生きてる気がしないんです。

それをとことん感じた稽古場でした。

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今回のメンバーを見て「自然な演技をする人が好きなんですね」と言われましたが、私は芝居が好きな人が好きなんです。

里佳ちゃんと台本についてLINEしあったり、あさみと夜中に芝居のことで電話したり。我々にとって演劇は仕事だけど、やっぱりライフワークなんだと思います。

さあ、最後の稽古日報に参りましょう。

稽古日報

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最終通し稽古が終わりました。残すは舞台稽古と本番3回です。

やっぱり今日が一番よくて、無駄な気合もなく、自然で、柔軟な最終通し稽古でした。諸々小さなミスはありましたが、むしろ稽古場の内にミスっておく方が安心材料になります。稽古場のうちは挑戦して失敗しておくべきなのです。

きっと良い舞台になるな…と思えて、私は嬉しいです。

あとはみんなが舞台で安心して稽古通りの芝居ができるようサポートするのみ!

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通し稽古の前にはいつも昴銀次役のれおなさんが場の空気をあったかくしてくれます。彼は空気をほどく天才です。芝居中ではアングラ作家なのが信じられないほど。笑

衣装さんのリメイクにより衣装が完成したニイナ役・つわぶきくんがスカートを履いてくるくる嬉しそうなのも可愛い。衣装と歌が相まってニイナの自信と魅力が一気に満点に。

最初はピシッとカチッとしていた小鳥遊役のあつきくんにもだんだんと笑顔が増えて、ぼんやりした顔も見えるようになりました。まじで小鳥遊くん。お芝居でいっぱいいじられてます。

先生さん役のやまそーさんはおどけたりふざけたりしてたかと思えば、社長っぽかったり先生っぽかったりする掴めなさが先生さんらしいです。

自分たちが出る前の学校のシーンを前からじっと見守る千影役・ちゆ役のりさちゃんとゆうか。小さくふたりまとまって、そっくりな熱視線で、本当にずっと連れ添っているみたい。

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ひばり・ちとせ・つくし役のはるみ、あまね、みくちゃんの3人はいつも3人でころっと固まっていて、私の知らん間に靴下揃えたりしてて可愛いので注目してあげてください。笑

由岐くん役のたいきくんはもう稽古場で赤ちゃんとして扱われています。笑 やまそーさんとなんだか仲良しになってるのも面白い。本番見ていただければ仲良しな理由がわかると思います。

アンサンブルの内田ちゃん、ななみちゃん、さやかちゃん、もものちゃん、レイナちゃん、ちあきちゃんの6人もどんどん肩の力が抜けてきて、いい表情も見えるように。自分の出ていないシーンを見て涙ぐんでいる姿や、通し終わってもまだ振りを練習している姿、ひばちとつくと仲良くなっている姿を見て、勝手に嬉しくなっています。

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真珠役のしおりちゃんは本当にお芝居が好きなんだな〜と最初から思って今したが、今はもっとそう感じます。歌のうまいお姉さんだと思ってたけど、お芝居にもみくちゃにされるのが好きなんでしょ?そうでしょ?笑

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里佳ちゃんはずっと、じぃっとあさみの一歩の芝居を見守っています。その姿が本当に天野はじめそのもの。お芝居も、一歩をぐいぐい引っ張ってくれる頼もしさになりました。冒頭の独白本当に可愛いのでお楽しみに。

そして一歩役のあさみは昨日・今日で一気に歌がよくなりました!最初はぐいぐい芝居を引っ張ってくれていたあさみでしたが、今は一歩として周りを見渡し、へらへら笑ってそこに存在してくれています。その姿によって、みんなを引っ張っているような。間違いなくあんたが0番。堂々と立ってね。

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本当にこのカンパニーが大好きです。

自分でいうことじゃないけど、私のミュージカル作品は優しさの塊で。優しさは確かに傷から生まれたり、苦しみから生まれたりするし私の書く脚本は、特に今回は自分の心を掘り返す苦しさが必要不可欠なんですけれど。

優しさというのは自己犠牲じゃないんだ、ということを感じられる稽古になったと思います。誰かに優しくするために、自分の身を切り売りなんて絶対しなくていい。この稽古場にはきっと、そんなことをしている人は一人もいなかったと思います。だけどいつだって稽古場の空気は優しかった。

そして「厳しくピリピリしてないといい作品は作れない!」という演劇の古めかしい美学もぶち壊していきたいです。もちろんピリッとすることはあるけれど、そこから人間関係を悪くする必要はないと思うので。

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さあ。いよいよ此の作品が舞台に乗ります。

今日は劇場入り前の貴重なお休みだけど、ここで感染しては元も子もないので役者たちにはしっかり感染予防をして健康第一で本番に向けての鋭気を養っていただいて。衣装が入る程度にうまいものでも食べていただいて。

私はまだまだやることがあるので、今日もぱちぱちパソコンに向かいます。


このご時世、まだまだ舞台の幕が上がるかはわかりません。

この稽古日報はそもそも「もしかしたら幕があかないかもしれない。中止になるかもしれない。そうなった時にやってきたことが何もなくなっちゃうのは悲しいから…」と書き始めたものですが、もうここまで来たら絶対にお客さんに観ていただきたい。役者たちに「千秋楽おめでとう」を言いたい。

無事に幕が上がるよう、一緒に祈っていただけたら嬉しいです。

劇場に足を運んでくださる皆様、本当にありがとうございます。

配信まで待ってくださる皆様、しばしお待たせしますが、きっと良いものをお届けいたします。

どちらにせよ、わたしたちは劇場へ行くつもり満々ですのでお約束の言葉を言わせてください。

劇場で、お待ちしております!

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公演詳細

本チラシ

ミュージカル「ひみつの箱には、」

日時 (開場は開演30分前・休憩なし)
6月4日(金)19:00
6月5日(土)11:30 / 15:30 / (19:00回は中止となりました)

場所:北沢タウンホール

チケット購入は終了いたしました。配信チケット(生配信ではございません)の発売日は近々お知らせいたします!

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