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あとは勇気だけだ! - 箱庭稽古日報 5/31

いわずと知れた名台詞!と言いたいところですが、もう今の世代には通じないでしょう。なんなら同世代にも通じません。

石ノ森章太郎「サイボーグ009」より009こと島村ジョーの台詞です。

サイボーグ009は私の大好きな漫画でして、何が好きって009なところなんですよ。サイボーグに改造された悲しき人間たちのナンバー001から009が、自分たちを改造した組織と戦う話なんです。つまり敵で出てくるのは010以降、さらにアップデートされた敵しかおらん!ということなんですね。

仲間たちの中でも最新鋭である009に搭載されている能力は「加速装置」のみ。めっちゃ早く動ける、それだけなんです。

そして同じく加速装置と、更には指先から熱光線が出る敵のサイボーグが現れこう言います。「お前の能力は?あとはどんな力を持っているんだ」…そこで009が答えたのがこの台詞。

「あ、あとは勇気だけだ!」

しびれます!頼りなさすぎてしびれますねえ!!

稽古日報

さて、突然サイボーグ009の話をしてしまいましたが、何が言いたいかというと「あとは勇気だけ」ということです。

万全の準備と、積み上げた稽古。我々はこの稽古期間で培った能力を携えて、勇気を胸に抱き、明日の最終稽古に向かうのです。

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もう本当に、最終稽古が終わってしまえば役者は「健康を保つ」ことと「忘れ物をしない」ことくらいしかできないのです。

今日も通しの前に「なにか返したいところある?」と聞くとみんながぐっと目を開いて「ない!」「ないです」と答えていました。

もちろん無いわけじゃないんです。

きっと稽古したい部分はまだまだあるし、やれることはたくさんある。

だけど作品は「完成」させなくちゃいけないんです。

みんな「ないです」と勇気を持って、自信を胸に言葉にすることで、完成に向かう意気込みとしているようにも思えます。

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緊急事態宣言の延長で、チケットは売り止めとなりました。

当日券も出せません。

お金のやりとりはきっとパンフレットの販売のみ。

仕込みや場当たりもなかなかのハードスケジュール。

感染症対策のことも含め、私たちにはまだまだドキドキすることが残されています。

だけど我々みんな、舞台に立ってお客さんが入っている光景をはやく、はやく見たいんです。だってそこに向かってここまで走り抜いてきたから。

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「劇場には魔物が棲む」

よく言われる文句です。

本当に、劇場に行って思いもしなかったトラブルが起きたり、「まさかこんな想定外のことが!」と困惑することは多々あります。

音や声が稽古場での聞こえ方と違ったり、視界が一気に広くなったりするのは当たり前。

お客さんから思ってもみなかった反応がかえってきたり、客席に吸い込まれそうになったり、明るい照明と熱気、アドレナリンでクラクラめまいがしたり。拍手の音で後ろに倒れそうになったり。

私も劇団四季で年間数百ステージを踏んでいましたが、お客さんがいる新鮮さって毎回きちんとあるんです。毎度毎度「お客さんがいる!」と驚き、嬉しくなり、圧倒されるんです。

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劇場に巣食う魔物に打ち勝って、最高のパフォーマンスで、お客さんに作品を届ける。そのための稽古は明日で終わり。

そう、我々にあるのは。

あ、あとは、勇気だけだ!

明日の最終稽古も頑張ります。


公演詳細

本チラシ

ミュージカル「ひみつの箱には、」

日時 (開場は開演30分前・休憩なし)
6月4日(金)19:00
6月5日(土)11:30 / 15:30 / (19:00回は中止となりました)

場所:北沢タウンホール

チケット購入は終了いたしました。配信チケット(生配信ではございません)の発売日は近々お知らせいたします!

ご来場の皆様へ、入場特典のお知らせ

入場特典


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