物語の欠片 韓紅の夕暮れ篇 23 最終話
-カリン-
「闇とは何か、か……」
暖炉の火を見つめながら、族長が呟く。
カリンの問いに対しての言葉だ。その日カリンは、診療所を少しだけ早く閉めて、レンとシヴァが訓練場から降りてくる前に族長の家を訪ねたのだった。
「答えはお持ちでなくとも構いません。考えてみたことはありますか?」
「あると言えばある。しかし私の場合、魔物とは何かが先だった」
「魔物……」
「戦士の一番の仕事は魔物を討つことだ。しかし、それは何故なのか」
「魔物を討つ意味、ですか?」
「マカニの戦士になっ