仕事を辞めずに続けたら、いろんなものを乗り越えられた
いまの会社に勤めて丸5年が経った。これまでの最長記録は新卒のときの4年10ヶ月だったのだけど、ついにそれを更新した。
新卒のときを除けば、ほとんどの会社を2年未満で辞めている。短いときは8ヶ月しかいなかった。幸いにもどの転職もそこそこ成功し、年収増やらスキルアップやらに繋がっている。
言い換えれば、これまでのキャリアアップはほとんど転職でしか発生しなかった。新卒のときの昇給額は年収ベースで2万円に届かない(!)ぐらいで、住民税が増えた分マイナスになったぐらいだった。一方、転職ではおおよそ年収ベースで毎回50〜100万ぐらい昇給している。
唯一の例外が、物流業からITエンジニアに転身したタイミングで、いわゆるポテンシャル枠として採用されたので、30万近く年収を下げることになった。が、このときはエンジニアとしてものすごく恵まれた環境に入れたので、その後のキャリアアップのことを考えると良い判断だったと思う。
3度の転職を経て、基本的に転職以外で収入を上げるのは難しいのが分かってきた。なので、基本的に良いオファーを見つけた段階でジョブホッピングを繰り返すのが良さそうだ、なんて考えていたのだが、現職で良い意味でその常識を覆された。
年収が上がるのだ。在籍しているだけで。入社時にも年収ベースで100万ぐらい上げてもらったのだが、その後も定期的に昇給されて、今では前職の倍近い額をもらっている。いわゆるエンジニアバブルにうまく乗れたところもあると思うのだが、それでもすごいことだ。
わざわざ転職のための労力を割かなくても、今の会社でしっかり頑張れば、成果に見合っただけの収入を得られる。ごく当たり前のことのようにも聞こえるけど、実際にこれを実現している会社は少ないと思う。新卒のときの会社のように雀の涙ほどしか昇給しないか、あるいは昇進試験など「昇進のためだけの」労力を強いられる場合が、自分のこれまでの経験ではほとんどだった。
もちろん、現職でも昇進を狙うならそれなりに自己アピールの必要はある。ただ、それはあくまで「自分がやってきたことの説明」というだけで、自分自身の振り返りにも役に立つことなので、比較的「やってもいいかな」ぐらいのレベルのものだ。
ところで、これまで2年程度で職を変えてきた人間にとって、5年間同じ職場、同じ人間関係の中で仕事をするというのはなかなか大変なことだった。苦手な人や意見が合わない人とずっと仕事をし続けないといけないのだ、どちらかが辞めない限り。
これまでの人生では、自分が会社を辞めることで人間関係をリセットしてきたところがある。言ってみれば、面倒な人間関係のリセットとキャリアアップを一緒に狙えるので、転職はすごく良い選択肢だったわけだ。ところが、今の会社はすごく高待遇なので、率直に言うと何があってもしがみついていたい。
そうすると、意見が合わない人、ちょっとキツい言い方をしてくる人、個人的に妬みそねみの感情を抱いている人などとずっと付き合っていく必要がある。これまで人間関係から逃げてきた自分にとって、これはものすごく大変なことだった。
なのだが、逃げずに向き合っていると、人間否が応でも成長するもので、自分の感情を整理出来るようになったり、建設的なコミュニケーションが上手になったり、相手の言う事をきちんと聞くことを覚えたりするようになった。前の記事で書いた 「ハンロンの剃刀」なんかも、人間関係ときちんと向き合う中で、重要さに気づいたものだった。
中には、同僚の退職という、とても残念な形で終わってしまったコミュニケーションもある。だけど、諦めずに話し続けてくれた同僚の中には、さながら「雨降って地固まる」のように、お互いのことを良く理解して、どんなに言いにくいことも言い合えるぐらいの仲になった人もいる。
もし、おれが適当なところで諦めてしまって、どこか別の会社に転職してしまっていたら、こんなに良い友達は出来なかったと思う。長く続けていてよかったと思うし、次の5年も頑張っていきたいと思う。
最初の方にも書いたけど、福利厚生や働き方、昇給制度などを含めた待遇が優れていたから、どんなに嫌なことがあっても頑張りたいと思えたのだ。その意味では、長く働いてもらうためにそういう制度が重要だと判断した経営陣と、それを完璧に実装・運用しているマネージャー陣とバックオフィスの面々がめちゃくちゃ良い仕事をしていると思う。
就業規則なんかを見ていると、この会社が実現したい働き方を、どうやって日本の労働法の上で実現させるかめちゃくちゃ悩んだ跡が見受けられて、いつもすごいなーと思っている。昇給制度も、よくここまで言語化したな……というぐらい練られている。
この辺の片鱗が Entrance Book にも見られるので、興味がある方はぜひ読ん
でみてほしい。