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2023/03/07 優しい人

今日も書きたいことがたくさんある。

説明会はしご旅、今日は熊本にある企業の説明会に行くため新幹線に乗って熊本に行った。
昨日の反省をもとに予定よりも少し早めの新幹線に乗って、熊本へ。時間がたっぷり余ったので、個人的には熊本のシンボルであるルフィ像を見に行くことにした。

本当はもう一つのシンボルである熊本城も見に行きたかったが、時間が足りなかったのでまた今度。

県庁の大きな通り(プロムナードと呼ぶらしい)のど真ん中にルフィはいた。

カッケ〜

平日だったが、周りには家族連れや若いカップル、老夫婦などたくさんの人がいて皆ルフィと写真を撮っていた。1人で来ている人間は私しかおらず、勝手に肩身が狭く感じた。

小春日和の、気持ち良い快晴だった。
背から見ると太陽に向かって拳を突き上げる姿は勇ましく、背中は頼もしい。まさに海賊王のいでたちだ……と思うと何だか感極まってしまった。ルフィに似合う良い天気だ。これで肌寒い小雨とかだったら、こうも感動はしなかっただろう。

ルフィを眺めていたら、近くにいたカップルに「写真撮りましょうか?」と声をかけられた。相手はカップル、対するこちらはリクルートスーツを着たお一人様。なんだか照れ臭かったけど、こんなチャンスは滅多にあるものではないので撮ってもらうことにした。1人でリクルートスーツのままルフィのポーズを真似るのも恥ずかしかったので、普通に撮ってもらった。
カップルの写真も撮ってあげた。2人とも一緒にルフィと同じポーズをしていて、着ているジャケットも腕に通さず肩に掛けるこだわりっぷりで、良かった。
その後、彼氏はルフィの麦わら帽子のてっぺんにある傷の写真を何とか撮ろうと必死になっており彼女はルフィの腹筋を超至近距離で撮りまくっていた。2人ともワンピースが好きなんだな、と思うとこちらまで嬉しくなった。


ルフィ像を後にし、説明会の会場に向かう。交差点で信号を待っていると、いきなり年配の女性に話しかけられた。何かと思ってイヤホンを外すと、「スーツかっこいいよ。若いって素敵ね!」と言われた。

ホンマですか……。

街には私と似たような服に身を包んだ就活生がたくさんいた。そのマジョリティーに身を投じ、なんとも没個性的な身なりで自分の魅力をアピールしなくてはならないという矛盾したイベントの中で「かっこいい」と言われたのは初めてのことだった。純粋に嬉しくて、ありがとうございます! と返すと思ったより大きな声が出た。頑張ってね〜と言われながら彼女は去っていったけど、その「頑張ってね〜」すら嬉しかった。説明会、頑張るぞ! と気合いが入った。


説明会の参加者はなんと私を入れて2人だけだった。聞くと、他の日程やオンラインにはもっと参加者がいるらしい。1人じゃなくてよかった。
もう1人の参加者と少し喋った。公務員試験の対策をしているがキツすぎて怖くなったので説明会に参加していること、合同説明会に行くとみんな優秀そうに見えてビビってしまうこと。周りと比べたら何もできてないように思えて不安なこと、面接を一度も受けていないこと。私とたくさん共通点があって、何度も「分かります!!」と言った。住んでいる地域は違えど、抱いている不安は皆おなじなのだろう。

「もう、これがしたいとか無くなってきました」と彼女は言っていた。言われたことはちゃんと真面目にやるし、面倒事も起こさないし、それなりに頑張るからお給料が欲しい。そう言っていた。
その気持ちは凄く凄く分かる。分かってしまうけど、それまでのキャリアや勉強したことがきっとあるのに「どこでもいいから」と言うまでに精神をすり減らされるこの期間は一体何なんだ、とも思った。

自分の価値を下げたくない。これまでの経験、知識、そこから得た学びが私にもあって、そんな大それたことはしていないけど「どこでもいいから」とは言いたくないくらいの価値が自分にはある、と思いたい。
その価値をアピールするのが就活なんだろうけど。その価値を提示して、「で、それがどうしたと言うんですか?」と言われてしまうのが怖いのだ。たくさん自己分析して自分の価値を提示してあなたの会社でこんな貢献ができます!とアピールしても、全くカスらない会社だってある。自分の考える価値が評価されないと、やっぱり悲しくなるし辛くなる。それが繰り返されると精神がすり減るし、その過程を想像するだけでもダメージはある。
就活辛い、の根源はここだと思う。自分の価値に対し疑問を抱かれて最終的には否定される。自分の価値を「いいね!」と思った会社が内定をくれるのだろうけど、社会における「いいね!」の判断基準はそうそう変わらない。

難しい。
別れ際、彼女に「お互い頑張りましょうね!」と言われた。社交辞令の言葉とわかっていても、やはりその「お互い」の持つ意味に頼りたくなってしまう。
応援していますと伝えた。その言葉は嘘ではないから。



せっかくなので晩御飯を熊本で食べることにした。お目当てはサイゼリヤ。
「旅先でサイゼ? もったいない」と思った人がいるならあなたは幸せ者の自覚が足りないと思う。なにせ私の住んでいる県、そして地元の県にはサイゼが無いのだ。サイゼなんてどこでも食べれるじゃんと思ったなら、それは「サイゼがすぐに食べれる幸せ」に気付いていないだけだ。これがどんなに幸せか。
なのでサイゼを有する街に行った時は必ずサイゼに行くのを個人的なノルマとしている。今回のサイゼミッションは熊本で果たすことにした。

しかしサイゼに行く道すがら、ちょっと頼りなさげな看板を見つけた。

「富富飯店」。飯店とあるのだから中華料理店なのだろう。けれど近くにそれっぽい店舗が見つからない。

あった。


看板のある路地の先に、明らかに「飯店」な店があった。正面からは店舗内の様子が全く見えない。

ドアがゴツすぎる。
ちょっと怖い店構えだが、私は知っている。こういう路地裏にある長年やってそうな中華料理店は、大概めちゃくちゃ美味い!

そしてサイゼは福岡にもあるがこの店は熊本にしかない!

気づけばドアを開けていた。
ご夫婦で経営されているのか、スタッフはおばちゃんとおじちゃんの2人だけだった。
ハイボールと餃子定食を注文する。餃子が食べたかった。餃子、大好き。

うわ〜!!!!
最高。

ちゃんとメニューを見ていなかったので気づかなかったが、餃子だけでなく唐揚げもついてきた。この唐揚げがまた美味しくて、カリカリを超えてもはや「ガリガリ」だった。噛むたびに衣がガリガリ音を立てた。美味すぎた。
餃子も美味しい。一口サイズで、口に入れて噛むと肉汁が溢れてめちゃくちゃ美味い!そして食べやすい!
ご飯はおかわり自由とのことで、「まあ酒飲んでるし一杯にしとくか……」と思っていたもののあまりにもおかずが美味しすぎたので普通におかわりした。
デザートのプリンは手作りらしい。手作りプリン独特の卵臭さが得意じゃないので少し不安だったけれど、めちゃくちゃ美味しかった。固めのプリン。美味しすぎた。
安いし。餃子定食、これだけあってご飯おかわり自由で900円。

マジで良かったから共有します。次に熊本に来た時はサイゼじゃなくてここに来よう。


なんか良い一日だったな。移動が多くて大変だったけど、たくさんの人の優しさに触れたような気がする。
写真を撮ってくれたカップルも、かっこいいと言ってくれたおばちゃんも、就活生のあの子も。みんな幸せになってほしい。
美味しいものを食べたから、なんだか思考がまろやかになっている気がする。
昨日もそうだったけど、いろんな人にちょこっとずつ優しさで助けてもらいながらなんとか一日過ごせているのだとつくづく思う。優しい人になりたいな。

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